教師へ転職するには? 未経験・中途採用はある?
教師への転職状況は?
世の中全体で転職をする人が増えているなか、まったく別の職業から教師への転職を考える人もいます。
しかし、民間企業から教師に転職するケースは、まだそこまで多いわけではありません。
もともと教員採用試験の受験者や採用者は、新卒者よりも、すでに大学などを卒業している既卒者の割合が大きいことが特徴です。
しかし、既卒者の多くは「教職経験者(国公私立学校の教員であった人)」となっており、教職とは異なる職業からの転職者はさほど多くありません。
具体的な数値を見てみましょう。
「令和元年度公立学校教員採用選考試験の実施状況」によると、採用者数に占める教職経験者、民間企業等勤務経験者の数および割合は、以下の通りです。
<小学校>
全体採用者数:17,029人
教職経験者:8,253人
教職経験者の割合:48.5%
民間企業等勤務経験者:522人
民間企業等勤務経験者の割合:3.1%
<中学校>
全体採用者数:8,650人
教職経験者: 4,958人
教職経験者の割合:57.3%
民間企業等勤務経験者:340人
民間企業等勤務経験者の割合:3.9%
<高校>
全体採用者数:4,345人
教職経験者:2,439人
教職経験者の割合: 56.1%
民間企業等勤務経験者:247人
民間企業等勤務経験者の割合:5.7%
<特別支援学校>
採用者数:3,226人
教職経験者: 1,990人
教職経験者の割合:61.7%
民間企業等勤務経験者:192人
民間企業等勤務経験者の割合:6.0%
上記のデータからもわかるように、教員採用試験で採用された既卒者は、圧倒的に教職経験者が多くなっています。
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教師への転職の志望動機で多いものは?
教師は、専門性が高い職業です。
なるためには特別な免許も必要になるため、転職によってこの仕事を目指す人は、「どうしても教師になりたい」という強い意志や目的意識を持っているケースが多く見られます。
転職の志望動機は人によってさまざまですが、「一度は民間企業で働いてみたいと思ったが、もともと憧れだった教師への夢をあきらめきれなかった」という人や、「学生時代は教員採用試験に合格できず民間への就職に切り替えたものの、再チャレンジしたい」という人などは、比較的多いようです。
また、もともと教師に興味はなかった人が、社会人経験を積むなかで教育職に興味を持つようになった、というような例もあります。
いずれにしても、教師への転職は簡単なことではありませんので、自分の志望動機をハッキリとさせておくことは大事です。
未経験・社会人から教師になるには
教員免許状の取得は必須
社会人が転職によって教師を目指す場合も、短大・大学などに通う新卒者と同じように「教員免許状」の取得は必須となります。
教員免許状を取得するには、教職課程で定められている単位を履修し、修了しなくてはなりません。
かつて、教育系学部・学科を卒業している人であれば、すでに必要な単位を取得済みの場合もありますが、そうでない場合は、大学などであらためて単位を取得する必要があります。
昼間に働きながら教職関連の単位取得を目指すのであれば、夜間や通信制の大学を候補に入れるとよいでしょう。
あるいは「科目等履修生」として、教員免許の取得に必要な科目分のみ授業料を支払い、単位を取得できる場合もあります。
このような方法以外にも、幼稚園・小学校・特別支援学校の教師を目指す場合には、「教員資格認定試験」という試験を受けることで教員免許状を取得する方法もあります。
教育実習の時間確保が難しい
社会人が教員免許状の取得を目指すときに最も苦労するのが、「教育実習」の時間をどう確保するかでしょう。
教育実習は最大で4週間ほどの期間となるので、日中に仕事をしている人の場合、教育実習に参加するのは非常に難しいのが実情です。
事前にその期間は休みをもらえるよう、職場に相談しておくなどの準備が必要です。
なかには教育実習に入るタイミングで仕事を辞め、教育実習に専念する人もいます。
社会人を対象とした「特例選考」が実施される自治体も
教員免許状を取得したら、教員採用試験を受けて採用を目指します。
最近では、各自治体で社会人経験者向けの「特例選考」を実施するケースが増えています。
特例選考であれば、一般枠よりも年齢制限が緩く40代以上でも受験できたり、試験科目が一部免除されて論文や適性検査のみであったりするので、社会人にとっては受験しやすいものとなるでしょう。
ただし、応募資格に「社会人経験〇年(3~5年程度が一般的)以上」といった条件があるので、応募予定の自治体の情報をよく確認してください。
私立学校でも社会人経験者を募集するところは多いようです。
母校であれば「卒業生枠」で応募できる場合もあり、もし縁のある高校であれば書類選考、面接の時に有利にはたらくこともあります。
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教師への転職に必要な資格・有利な資格
教師への転職に絶対に必要な資格は、教員免許状のみです。
勤務したい学校の区分に合わせて、小学校なら小学校、高校なら高校の教員免許状と、中学校や高校では科目に応じた免許状を取得する必要があります。
それ以外の資格に関しては、採用試験に応募するにあたって求められることは一般的にありません。
資格そのものが有利にはたらくというよりも、社会人としてどのような経験をして、どのようなスキルを身につけているのかのほうが重要視されるケースが多くなっています。
教師への転職に役立つ職務経験は?
教師への転職に役立つ職務経験としては、やはり「教育関連」のことが挙げられます。
最も有利になるのは学校での教職経験です。
非正規の非常勤講師や臨時任用教員から正規雇用を目指す人も多くいますが、たとえ非正規であっても、やはり教育現場で子どもと触れ合い、教育に携わった経験は大きなアピール材料となります。
ただし、同様の経験を持つライバルから一歩抜き出た存在だと思われるよう、現場で何を学んだのか、それによって何を目指したいと思うようになったのか、自分の意見を深く述べられるようにしておく必要があります。
一方、異業種の民間企業での経験も、まったく役に立たないわけではありません。
ビジネスの世界で身につけた他者と協働するスキルや問題解決のスキル、マネジメントスキルなども、教師として生かすことは可能です。
しかし、「それを教職にどう生かせるのか」という視点が重要になりますので、そこは答えられるようにしておきましょう。
また、教職経験はないにしても、できるだけ「子どもと関わったことがある」経験は持っておくほうがよいでしょう。
教師への転職面接で気をつけるべきことは?
転職者の教員採用試験では、面接が合否を大きく左右するといっても過言ではありません。
社会人としての経歴は一人ひとり違いますので、面接官は「目の前の受験者が何を経験し、何を考えているのか」を深く知りたいと考えています。
自分の経験と身につけたスキルについて簡潔にまとめておき、教師への転職を志望する理由は、第三者が聞いてもわかりやすく、説得力のある内容を考えましょう。
とくに、これまで教育に関わったことのない人が教師を目指す場合、「なぜ教師なのか?」という部分を非常に深く突っ込んで問われるケースが多いようです。
準備不足の状態での合格は難しいので、面接官を納得させられる答えを準備しておきましょう。
教師に転職可能な年齢は何歳くらいまで?
公立学校の教師になるための教員採用試験の年齢制限は、自治体によって異なります。
一般選考であれば39歳くらいが上限となるケースが多いですが、社会人経験者の試験を特例選考として実施する自治体であれば、民間の定年近い年齢まで応募できる場合もあります。
実際、40代で初任者として現場に配属される教師もいます。
教師は、年齢によって転職時に大きく有利・不利になることはないと考えられます。
しかし、教員免許状の取得や教員採用試験の合格は簡単な道ではありませんので、熱意とモチベーションを保ち続けることが重要です。
未経験から教師の転職での志望動機
未経験から教師への転職を希望する場合は、なぜまったく別の職業から教師になりたいのか、誰が聞いても納得できるような志望動機を考える必要があります。
教師は「論理的であること」も重視される傾向にあるので、ふわっとした思いだけでは、なかなか理解してもらえないでしょう。
あわせて、異業種での経験やスキルを教職にどう生かせるかアピールする必要があります。
営業力や交渉力、問題解決能力、リーダーシップなど、どのような能力・スキルであっても、考え方次第で教師の仕事に生かすことはできます。
教師の役割や仕事内容をきちんと理解して、自分の持つ経験とスキルが、教育現場でどう発揮できるのかを意識的にアピールしましょう。
「教師になりたい」という熱意を伝えたい気持ちが強過ぎて、空回りし、独りよがりの内容にならないように気をつけることが大事です。