建築士が独立してフリーランスになるには?
建築士のフリーランスの働き方・仕事内容
建築士は、個人または法人形態を取り、自身の事務所を開業することも可能な職業です。
フリーランスとして働く場合の最も大きな特徴は、自分でどのような仕事を請け負うのかを自由に決められることです。
戸建住宅を専門に手掛ける人もいれば、意匠面に特化したデザイナー的な働き方をする人、自身の理想の建物を追い求めてコンペに参加し続ける人もいます。
自分以外に多くの建築士を雇い、チームを組んで大掛かりな案件に取り組むこともできるでしょう。
ただし、独立するためには建築士としての能力だけでなく、一つの事務所を運営する経営者としての手腕も問われることになるため、働き方としてのリスクは高まります。
建築士を目指す人のなかには、将来的な独立を視野に入れている人も多くいますが、独立したほうがいいかどうかは個人の資質や適性によって分かれるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
フリーランスになるまでのキャリアパス
実務経験ゼロのままいきなりフリーランスとして仕事をはじめても、成功する可能性はほとんどありません。
まずは企業などに就職し、実務スキルを身につけることが必要ですが、将来的に独立を考えている人の多くは、建設会社やハウスメーカーなどよりも、建築設計事務所を就職先に選ぶケースが多いようです。
すでに独立している代表者の働きぶりを間近に見ることで、独立時に役立つ多くの知識を得ることができるでしょう。
建築士としてのキャリアを十分に積み、いよいよ開業するところまでたどり着いたら、最初に設計事務所の登録を行わなければなりません。
無登録のまま事務所を営業して報酬などを受け取ると、建築法によって懲役刑や罰金刑の対象となってしまいます。
事務所は、保有する資格に応じて「一級建築士事務所」「二級建築士事務所」「木造建築士事務所」の3種類があります。
どの種類であっても、事務所には必ず「管理建築士」という資格の保有者を1名以上置かなければならないと建築士法で定められているため、管理建築士を雇うか、自身が管理建築士になる必要があります。
管理建築士の資格を取得するには、3年以上設計などの業務に従事したあと、指定登録講習機関が行う講習を受けなくてはならないため、独立する前に必ず準備しておきましょう。
なお、この事務所登録の有効期間は5年間で、5年ごとに更新手続きを行うことが必要です。
建築士のフリーランスのメリット・デメリット
独立して働く場合、業務内容や設計の方針、生活スタイルなどを自分で自由に決められるようになるのは大きなメリットです。
収入についても、成功すれば会社員時代をはるかに上回ることもできますが、同時に少なくないリスクも伴います。
自分の生活費はもちろん、スタッフの人件費をはじめとした事務所の運営費用を確保し続けるためには、長期間にわたって安定的に案件を受注できるだけの営業地盤やコネクションが不可欠です。
しかし、とくに独立して間もない時期は、案件獲得に必要な知名度も信用力も十分でなく、苦労する局面も多いでしょう。
事務所を維持していくために、仕事を選り好みできない可能性もありますし、自身の営業力が不足していれば、そもそも案件を受注できずに廃業となってしまうこともあり得ます。
独立するかどうかは、自分の実力だけでなく、人脈、経営者としての資質、生活や家族のことなど、多くのものを天秤にかけて慎重に決断するべきといえます。
20代で正社員への就職・転職
建築士のフリーランスの給料・年収
独立して設計事務所を開いている建築士というと、ものすごく高給を得られるような印象があるかもしれません。
そのイメージ通り、年収1000万円~1500万円を得ている人もなかにはいますが、実際の収入は個人によって大きく開きがあり、年収200万円~300万円でなんとか食いつないでいるという人も珍しくありません。
独立するには500万円~1000万円の開業資金が必要とされていますが、その投資に見合ったリターンが得られるかどうかは、個人のスキル次第といえるでしょう。
工務店などとのパイプがあって、ある程度定期的に受注が舞い込む環境が整っていないと、投資回収はおろか、生活にさえ困窮する可能性もあります。