社会人が働きながら建築士になるには

建築士は、学校を卒業後にすぐ国家試験を受けて目指す人がいる一方、社会人として働いてから目指すことも可能です。

ただし、学歴によっては資格取得までの道のりがやや大変であったり、長期間の実務経験が求められたりする場合があります。

この記事では、社会人が建築士を目指す方法について説明します。

学歴によるルートの違い

建築士を目指す人のなかには、すでに民間企業などに就職し、社会人として働いている人もいます。

働きながら建築士へ転職するために、どのようなルートをたどればいいのかは、その人の学歴によって大きく条件が異なります。

以下では、大きく大卒と高卒・中卒の2つのケースに分けて、転職するための方法を紹介します。

いずれの場合でも、建築や土木に関する科目を履修していたかどうかによって、転職の難易度が変わります。

大卒からの転職

まずは、大学・短大・高専いずれかの「建築学科」を卒業している人の場合です。

こうした人たちは、すでに建築士として必要な知識やスキルを習得しているとみなされ、即座に「二級建築士」あるいは「一級建築士」の試験を受けることができます。

ただし、免許の登録については、二級建築士であれば実務経験不要でできる一方、一級建築士は大卒で2年以上、短大(3年)で3年以上、短大(2年)・高等専門学校で4年以上の実務経験が必要です。

これに対して、建築関連を専門的に学んでいない人については、二級建築士の受験資格を得るまでに7年間の実務経験を積まないとならず、一気に難易度は跳ね上がります。

現在の会社は退職し、専門学校などに通って学びなおす選択肢まで視野に入れる必要があるでしょう。

経済的な負担も長期間にわたってのしかかってくるため、とくに家族がいる人などは、あまり現実的な道とはいえないかもしれません。

高卒・中卒からの転職

高校の建築・土木科を卒業している人は、実務経験不要で「二級建築士」および「木造建築士」の試験が受けられます。

たたし、免許の登録については、高校・中等教育学校卒の場合には2年以上が必要です。

高校の普通科を卒業している場合や、中卒の人については、建築学部以外の大卒生・短大生などと同じように、受験資格を得るために7年以上の実務経験が必要です。

大卒生と比較すると、年齢的に若いケースが多い分まだチャンスが大きいといえるかもしれませんが、やはり建築士としてのデビューが相当遅れることは否めません。

これまで建築に関する勉強を一切していない人が建築士への転職を目指すには、長期にわたって努力し続けられるだけの強い意思が必要になるでしょう。

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建築関係の履修経験がない人へのおすすめの道

大学や短大、あるいは高校などで、建築・土木科目を学んだことがなく、資格取得のために7年間もの実務経験が必要になってしまう人に対して、おすすめの道が2つあります。

ひとつめは、働きながら通信制の専門学校などで学習する方法です。

建築士資格取得のための専門学校のなかには、基本的に通学を必要とせず、Web上で受講、試験、課題の提出などを完結させられる通信講座を開講しているところもたくさんあります。

社会人として仕事を終えたあとに勉強に打ち込むことになるため、負担は決して小さくありませんが、最短の場合2年間で二級建築士の受験資格を得ることが可能です。

もうひとつの道は、デザイン系の設計事務所へ転職するという方法です。

一般的な設計事務所や建設会社と比較すると、デザインや意匠をおもに取り扱っている設計事務所は、資格の有無によって手掛ける仕事内容にあまり差が生じにくいという特徴があります。

就職する際も、とくに建築士資格を求めないところが多くありますから、転職難易度はそれほど高くないでしょう。

デザイン系設計事務所でキャリアを積み、独立や再び転職する際などに資格取得が必要になったら建築士資格を目指す、という働き方も考えられるでしょう。

「社会人が建築士になるには」まとめ

社会人が建築士を目指す場合、過去に建築について学んでいたかどうかで、資格取得までの道のりが変わります。

また、試験はすぐに受けられる場合でも、学歴によっては一定期間以上の実務経験が求められることがあるため、資格について詳しく調べておきましょう。