警察官の転勤・人事異動はどうやって決まる? 県外への転勤もある?



警察官には転勤や異動があります。

地方公務員として働く警察官は採用された都道府県内での異動となりますが、異動後には、これまでとはまったく異なる仕事をすることもあります。

この記事では、警察官の転勤・異動に関する情報を説明します。



警察官の転勤・異動の特徴

都道府県警で働く警察官の多くは、数年ごとに転勤や異動をします。

ここでは、警察官の転勤・異動事情について説明します。

特徴1.転勤・異動の頻度

警察官をはじめ、公務員の仕事には転勤・異動がつきものです。

地方公務員として都道府県の警察署で働く>警察官は、一般的には3年~5年ごとに転勤あります。

ただし、1~2年で転勤になる場合もあれば、10年以上ひとつの部署に留まる場合もあり、明確な基準はありません。

何らかの問題を起こした場合には、1年以内に異動を命じられることもあります。

特徴2.転勤・異動の時期は主に年2回

警察官は年に2回、3月と10月に転勤することが多いですが、4月や7月、1月でも転勤の可能性があります。

この時期に多い理由は、新人が配属されたり、昇進・降格があったりすること、また現職者のキャリアアップのためなどです。

特に仕事ぶりが評価されたり、今後キャリアアップが期待されたりする人は異動が増える傾向です。

内示は都道府県によって異なりますが、10日から14日前ほどに出されます。

特徴3.転勤・異動先の希望は通る?他部門へ異動することもある?

都道府県で働く警察官の主な異動先は、都道府県内の警察署、交番、駐在所または警察本部です。

同じ部門内での配置換えもあれば、「交通部門」から「地域部門」、「機動隊」から「刑事部門」といったように、部門間をまたいで異動することもあります。

とくに若手の警察官は、幅広い業務を経験することでスキルを高めていく必要があるため、まったく違った仕事を手掛ける部門に異動することもあります。

異動先については、本人の希望も考慮されるものの、100%希望が叶うわけではありません。

なお、最近では、家族の勤務事情や子どもの学校の都合などで転居の負担が重いと判断される場合には、ある程度、転勤先が考慮されるケースも増えているといわれます。

ただし、異動先の希望と同様、必ずしもすべての家庭事情が考慮されるわけではないことは知っておきましょう。

特徴4.引っ越しをしなくてもいい異動が増えている

警察として働く場合、異動は避けられないものですが、転勤をせず自宅から通える範囲で仕事を続けるケースが増えてきています。

最近では、民間企業でも転勤を免除したり、引っ越しなしで異動できるようにするケースが増えていますが、警察でもこの動きが広がっています。

警察官は勤務する警察署の管内に住むことが一般的で、以前は別の警察署に異動すると引っ越しが必要でした。

たとえ自宅から通える勤務地に異動しても、単身赴任をすることがあったのです。

しかし、現在、都道府県によっては警察官の住む場所に関するルールを大幅に緩和し、離れた自宅から警察署へ通うことができる制度を採用しています。

今は、転勤の発令も「個別の事情を最大限に配慮する運用」とし、異動する人数も減少傾向にあります。

転勤を減らすことで、仕事を続けることができるだけでなく、働く人がモチベーションを保ち続けすくなるメリットがあるとされています。

特徴5.他の都道府県に転勤することはない

各都道府県の警察官採用試験を受けて採用されている地方公務員の警察官は、原則的には各都道府県ごとに採用され、その自治体の中で働きます。

つまり、千葉県警で働いている警察官は、大阪府警に異動することはありません。

たとえば他の都道府県に住む人と結婚した場合や、介護などの理由で他の都道府県に住む親と同居する場合など、警察官の人事異動においては都道府県をまたぐ配置は考慮してもらえません。

ただし、警察官の採用試験自体は、どの都道府県でも受験することができます。

これから警察官を目指す人は、将来、自分がどの都道府県で生活したいかをしっかりと考えておくといいでしょう。

警察官の異動先として人気の部門(刑事課や交通課など)

警察官にはさまざまな職場があります。

異動先としてとくに人気のある部門を以下で紹介します。

刑事課

刑事が所属するのが、犯罪捜査・犯人逮捕などを専門に担当する刑事課です。

テレビドラマや映画などに出る刑事の姿に憧れて警察官になった人は多く、刑事課は、多くの若手警察官が希望する部署です。

しかし、刑事課はさほど所属人数が多いわけではありません。

まず地域課で経験を積み、優秀な実績を残していく必要があります。

交通課(白バイ隊員)

白バイに乗るためには、基本的には都道府県警の「交通機動隊」に入る必要があります。

しかし、交通機動隊には警察官として一定のキャリアを積み、白バイに乗るための特別な訓練に参加して実力が認められた人だけが入隊できます。

このほか、各警察署の「交通課」に配属されたのち、適性や能力などが認められて白バイに乗る人もいます。

白バイに乗れるチャンスがあることから、交通課も人気がある部門となっています。

地域課

地域課は、多くの警察官が所属する部署で、とくにパトカーに乗りたい警察官が多く志望します。

しかし、パトカーには選ばれた警察官しか乗れません。

パトカー乗務員には、職務質問や取締りでの実績が必要で、現場での冷静な判断力も求められます。

また、自動車警ら隊にはパトカー乗務員の精鋭が集まっているため、自動車警ら隊を目指す人も地域課を志望します。

生活安全課(少年係)

生活安全課(少年係)は、18歳未満の少年少女が被疑者となる事件に対応する部署で、万引き事件から他人を殺傷する重大事件まで、幅広い捜査に対応します。

取調べの相手が18歳未満の少年であるため、対応方法は成人とは異なり、試行錯誤が求められます。

一筋縄ではいかないことが多いですが、少しずつでも少年と信頼関係を築き、不良少年を更生の道へと導くことは少年係の醍醐味といえます。

国家公務員と地方公務員の転勤・異動先の違い

国家公務員試験に合格して警察官になる「キャリア組」は、異動で全国各地に赴くことがあります。

一般的には、昇進するとそれだけ転勤する頻度が高くなる傾向があるため、キャリア組としてトップを目指すなら、ある程度プライベートを犠牲にする覚悟が必要です。

警察組織だけでなく、人材交流やスキルアップを目的として、外務省などの他省庁に出向することもあります。

一方、都道府県警察で働く地方公務員の警察官は、原則として都道府県内での異動です。

異動先によっては転居が必要となる場合もありますが、警察本部や警察署周辺には独身寮や家族向けの宿舎があり、経済面における負担は少なくなっています。

また、民間の賃貸住宅に入居しても、家賃の一部は補助される制度があります。

まれに、本人の希望や努力によって、海外勤務(在外公館勤務)や他の省庁への出向も可能です。

「警察官の転勤・人事異動はどうやって決まる?」のまとめ

人事異動と聞くと、慣れない業務や人間関係に戸惑ったり、覚えることが多くて負担に感じたりと、ネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。

しかし、転勤や異動は決して悪いことばかりではありません。

今までとは違った仕事にトライすることで、視野が拡がったり、自分でも思わぬ適性が見つかったりすることがあります。

警察官を目指すのなら、転勤・異動を前向きに捉えて成長していきたいものです。