警察官になるには|必要な学歴や向いている人、目指せる年齢などを紹介

警察官は、国家公務員あるいは地方公務員として採用され、全国各地の警察署などで活躍しています。

警察官になるためには、警察官になるための採用試験を受けて合格し、採用されなくてはなりません。

この記事では、警察官になるまでのルートや、必要な学歴、向いている人などをまとめて紹介しています。

警察官になるまでの道のり

警察官になるまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。

ここでは、警察官として現場で活躍できるようになるまでの道のりを紹介します。

警察官として採用されるまで

警察官は、国家公務員と地方公務員、2種類の立場で働く人がいます。

また、なるための方法やルートは、警察庁に所属する国家公務員、いわゆる「キャリア」と、都道府県警察に所属する地方公務員の「ノンキャリア」とで、大きく分けられます。

人数を比べると、ノンキャリアの警察官のほうが圧倒的に多いです。

警察庁に採用されて国家公務員として働くためには、「国家公務員総合職採用試験」に合格した後、警察庁に対する「官庁訪問」を行って、数回にわたる採用面接を突破することが必要です。

一方、都道府県警察に採用されて地方公務員として働くためには、各都道府県が実施する「警察官採用試験」を受ける必要があります。

警察官採用試験には、Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類といった難易度の異なるいくつかの区分があり、どの試験を受けて警察官になったかで、就職後の昇任スピードなどが異なります。

警察官のキャリアとノンキャリアの違いについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
警察のキャリア組とノンキャリア組の違いは?

警察官として採用されてから

国家公務員総合職採用試験を突破した人の場合、採用後は「警察大学校」に入学して、幹部候補生として必要な知識を学びます。

一方、都道府県の警察官採用試験に合格した人に対しては、採用後に各地の「警察学校」に入学することが義務づけられています。

警察学校は全寮制で、6か月~10か月間にわたる研修を受け、業務に必要な知識や技能を身につけます。

警察学校では、厳しい規律の下、警察官としての心構え、剣道や柔道といった武道、拳銃の取り扱い、法律などを学びます。

いずれの訓練も、体力面・精神面ともに厳しいものであることを覚悟しておいたほうがよいでしょう。

警察学校を無事に卒業し、配属が決まると、いよいよ警察官としての勤務が始まります。

警察官になるまでのルート

警察官の資格・難易度

警察官の試験を受けるために、特別な資格・免許は求められません。

もともと公務員試験は広く開かれたものであり、年齢などの要件を満たしていれば誰でも受験するチャンスを得られます。

しかしながら、キャリアになるための国家公務員総合職採用試験は、数ある公務員試験のなかでも非常に難易度が高いものとなっています。

加えて、警察庁は就職先として人気の省庁であり、採用されるための競争は熾烈です。

毎年の採用人数は10名前後に過ぎず、きわめて狭き門といえるでしょう。

一方、都道府県警の警察官採用試験については、年度によって異なりますが、全国合計で15,000人前後の募集があります。

難易度は地方自治体や区分によって多少の差があるものの、近年の採用倍率は6倍~10倍前後です。

試験は筆記試験や面接(人物)試験、体力検査、身体検査などが行われます。

筆記試験の難易度はそこまで高くないものの、面接や体力試験で不合格になってしまう人もいるため、十分な準備は欠かせません。

なお、武道や語学などのすぐれた成績・実力を持っている人を対象として、特別な採用試験を実施する都道府県もあります。

警察官採用試験の合格率・倍率

警察官になるための学校の種類

国家公務員総合職採用試験を受けるためには、「大卒以上」の学歴であることが条件です。

キャリアを目指す人の大半は、東京大学をはじめとした超難関大学の出身者ばかりであるため、できる限り高学歴であることが望ましいでしょう。

都道府県警察になるための警察官採用試験は、Ⅰ類~Ⅲ類の各区分に応じて「大卒程度」「短大卒程度」「高卒程度」とされています。

しかし、それらは筆記試験で問われる知識レベルを便宜的に表現したものにすぎず、学歴が必要になるわけではありません。

どの区分の試験を受ける際にも、特定の学校や学部・学科などを卒業することが条件として課されることはなく、誰にでも警察官になれるチャンスがあります。

ただ、採用試験の倍率を考えれば、しっかりとした対策が必要であることは間違いなく、公務員試験のための専門学校や予備校に通ったりして勉強する人も大勢います。

警察官になるためにはどんな学校に行けばいい?(大学・専門学校・公務員予備校)

警察官に向いている人

警察官は、日々さまざまな犯罪に対して立ち向かっていくため、正義感が強く、勇気のある人が向いているといえます。

ただし、犯罪や事件の背景には、複雑な事情が絡んでいることもよくあるため、自身の正義感だけで独断専行してしまうと、より事態を悪化させることにもつながりかねません。

正義感と共に、チームワークを重んじる協調性があること、そしてどんなときでも冷静でいられる強い精神力を備えていることが必要です。

警察官に向いている人・適性・必要なスキル

警察官のキャリアプラン・キャリアパス

警察学校を卒業した後の新任警察官は、まず交番勤務となるケースが一般的です。

その後は、希望や適性等に応じて、刑事課、交通課、生活安全課などの各部署へ異動し、数年単位でジョブローテーションしながらキャリアを形成していきます。

また、警察組織は階級制度が導入されており、最も下の階級である巡査からスタートして、勤続年数を積んだり昇任試験を受けることで、巡査長、巡査部長、警部補、警部へとステップアップします。

なお、警察庁に採用されたキャリア職員については、法整備などを担う組織の幹部としてキャリアを積んでいくことになり、階級は警部補からのスタートとなります。

警察官の階級については、以下の記事で詳しく紹介しています。
警察官の階級一覧|階級別の役職・仕事内容・年収を解説

警察官を目指せる年齢は?

警察官採用試験には年齢制限があり、各地方自治体によって若干の差があるものの、おおむね17歳以上、30歳~35歳未満とされています。

近年は警察官を志望する人が減っているため、多くの地方自治体で採用年齢の上限を引き上げる傾向にあり、今後はより年齢制限が緩和される可能性も十分にあります。

警察官になれるチャンスが拡がっているともいえますが、若い受験生にとってはライバルが増えることに間違いはなく、今後採用倍率が上がることもあるかもしれません。

【参考】警察官に関するデータ

最後に、警察官に関するデータを紹介します。

警察官の仕事を詳しく知るためにも、ぜひチェックしてみてください。

110番通報受理件数の推移

警察庁の資料によると、平成30年中の110番通報受理件数は、約916万件です。約3.4秒に1回、国民約14人に1人から通報を受理したことになります。

110番通報受理件数の推移_30

出所:警察庁 令和元年 警察白書

地方警察官の退職数の推移と退職者予想

毎年10,000人近くの地方警察官の退職者数が見込まれています。そのため、今後も警察官の採用は現状と同程度はあると想定できます。

地方警察官の退職者数の推移_28

出所:警察庁 平成29年 警察白書

「警察官になるには」まとめ

警察官は、国家公務員(キャリア)あるいは地方公務員(ノンキャリア)として働く人がいますが、全体で見れば、ノンキャリアの人のほうが圧倒的に多いです。

地方公務員の警察官を目指すのであれば、各都道府県で実施されている警察官採用試験を受け、合格し、採用されることが最初のステップとなります。

この採用試験は、年齢などの条件さえ満たせば誰でも受けられるものとなっているため、どのような学校からでも警察官を目指すことは可能です。