女性の警察官は大変? 結婚生活や子育てとの両立はできる?
近年、女性警察官の仕事内容の幅は広がってきており、男性と同じようにさまざまなキャリアを描くことができます。
身体能力の面においては、どうしても男性警察官に劣ってしまう部分が出てきてしまいますが、ストーカーや性犯罪の事件が起きた際には女性警察官の方が話しやすいという強みがあります。
職場結婚が多く、結婚後も仕事を続けることは可能ですが、独身時代と同じようにバリバリ働くためには配偶者や家族などの協力が必要不可欠です。
ここでは女性警察官の現状や、結婚・子育てを経てなお働き続けることができるのかどうかについて、詳しく解説していきます。
女性の警察官の現状
かつての女性警察官は、男性警察官とは任される業務内容がある程度異なる部分がありました。
ミニパトに乗って駐禁を取り締まったり、生活安全課で市民からの相談に乗ったりすることはあっても、白バイに乗ったり、機動隊に所属して警備活動を行ったりすることはほとんどなかったのです。
しかし近年では、男女における仕事の差はほとんどなくなりつつあります。
自身の希望次第で、男性と同様さまざまなキャリアを描くことが可能です。
女性警察官の採用人数も毎年右肩上がりで、全国合計で1,000人を超える女性の採用が続いており、現職として約27,000人の女性警察官が活躍しています。
ただ警察官全体の男女構成比でみれば、女性の割合はまだ10%程度にすぎず(令和3年現在)、現状では男性がかなり多い職場であることに変わりはありません。
女性の警察官の強み・弱み
犯罪や事件のなかには、ストーカー事件や性犯罪、ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)など、被害者の大多数が女性を占めるものもあります。
そうした事件を担当し、被害者から事情聴取する際などは、同性であることが女性警察官ならではの強みとなります。
男性警察官よりも被害者に心を開いてもらいやすかったり、女性の置かれている立場を理解して、より親身な対応を取ったりできるでしょう。
女性警察官の弱みとしては、筋力や持久力など、身体能力でどうしても男性に劣りがちなことです。
警察官の業務は、ときに男性であっても疲れ果ててしまうほど心身ともにハードです。
男性の容疑者などと対峙しないといけないケースもあります。
訓練においても、女性だからという理由で男性より甘やかされるといった「逆差別」もありませんので、とくに運動が苦手だったり、あまり体力に自信のない人の場合は、人一倍努力が必要かもしれません。
結婚後の働き方
警察官は、日によって当番(夜勤)や日勤を繰り返す不規則な勤務体系である部署も多く、休日であっても急な呼び出しがかかることもあります。
結婚後も独身時代と同じように働き続けることはもちろん可能ですが、そういった業務に対する配偶者の理解や家事の分担などは不可欠といえるでしょう。
近年では、ワークライフバランスを意識した職場も増えつつあり、以前よりは家庭生活と両立しやすい環境になっており、結婚を機に離職するという人は減りつつあります。
なお、警察官は職場結婚が非常に多い職業として知られています。
ほかの職業の人と休みのスケジュールがなかなか合わず、職場以外で出会いの場が少ないこともその要因ですが、同業のほうが勤務スタイルや仕事に対する理解を得られやすいという理由も大きいようです。
警察官は子育てしながら働ける?
政府が「働き方改革」を推進している影響もあって、公務員の一種である警察官は、出産休暇、育児休暇など子育てを支援するための福利厚生制度はかなり充実しています。
一部の都道府県警察では、ベビーシッターを利用する際の補助が受けられたり、一般的には1年間である育児休暇を最長3年まで延長したりすることが可能です。
子育てと仕事を両立したい女性にとっては、非常に働きやすい環境といえるでしょう。
しかしそういった取り組みは現状ではまだ道半ばであり、どの職場でも十分な体制が整っているとは一概に言い切れない面もあります。
結婚や出産、育児などをしながら警察官として第一線で働き続けたいなら、各都道府県警察の採用情報をよく比較検討して、できる限り支援制度の充実している自治体を選んだほうがよいかもしれません。
あるいは故郷で就職し、家族や友人からのサポートを仰ぐという方法も考えられるでしょう。
警察官は女性が一生働ける仕事?
警察官は、民間企業とは異なって倒産することもリストラされることもなく、自分の意思で退職したり不祥事を起こしたりしなければ定年まで働き続けられます。
少子化によって警察官全体のなり手が減少しつつある現状を鑑みれば、今後さらなる女性警察官の活躍が期待されますので、それを後押しするための制度もどんどん拡充していくでしょう。
すでに、都道府県警察の本部長や警察署長など重要ポストに女性が起用されるケースも増えており、女性の視点を生かした組織づくりが積極的に行われています。
社会全体でも、男性の育児参加などが積極的に推奨されていますので、これから警察官を目指す人は、結婚や出産など多数のライフイベントを経ながらでも生涯にわたって働き続けることが可能でしょう。
参考:女性警察官に関するデータ
都道府県警察の女性警察官数の推移
女性警察官の人数は年々増加しています。都道府県警察の女性警察官の人数は、令和3年時点で27,697人になっています。
全警察官に占める女性警察官の割合の推移
全警察官に占める女性警察官の割合も徐々に増えており、令和3年時点では10.6%になっています。
女性警察官のまとめ
警察官の福利厚生制度はかなり充実しているため、子育てと仕事を両立したい女性にとっては非常に働きやすい環境といえます。
とはいえ、まだ制度が整いつつある状況でありどの職場でも十分な体制が整っているとは一概に言い切れない現状です。
結婚・出産後も第一線で働きたいと考えている場合は、支援体制が整っている自治体を選んだり、故郷で就職して家族などにサポートしてもらったりする方法をとるのもよいかもしれません。