動物看護師の年収・給料はいくら? 手取り額やボーナス、国家資格手当も解説
一般的に、規模が大きくなればなるほど待遇面も充実する傾向にありますが、雇用条件や労働環境は職場によって異なるので、よく調べる必要があるでしょう。
給与額が高くても、労働時間が非常に長く、休みもあまりとれないという場合もあり、待遇や福利厚生で問題があることが少なくありません。
動物看護師の平均年収・給料の統計データ
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、動物看護士の平均年収は、40.6歳で317万円ほどとなっています。
・平均年齢:40.6歳
・勤続年数:7.6年
・労働時間/月:167時間/月
・超過労働:9時間/月
・月額給与:235,800円
・年間賞与:339,900円
・平均年収:3,169,500円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
動物看護師の手取りの平均月収・年収・ボーナス
統計データをもとに算出すると、動物看護師の平均年収は300万円前後となると思われます。
動物病院に就職した場合、東京都内の場合、月額で18万円〜20万円程度、手取りが16万円〜17万円に収まる場合が多いようです。
現在、日本人全体の平均年収が約420万円と言われていることから考えると、一般的な職業よりも給与水準は低めなことがわかります。
動物看護師の初任給はどれくらい?
動物病院に就職した場合の動物看護師の初任給は月額で16万円〜17万円程度のことが多いようです。
初任給が16万円程度とすると、ボーナスがないとすれば単純な年収は192万円となります。
東京など都市圏の動物病院だと、初任給が月額18万円ほどとなるところもあります。
これは最低賃金の水準が高いことや、人手不足により動物病院側が給料を上げて採用したいという考えがあるからです。
一方で、都市部以外の地域ではこれより安く、初任給が14万円ほどになることもあります。
これは地域による差だけでなく、病院ごとの差も大きいため、応募の際にはできるだけ多く情報を集めて給与額を比較してみるとよいでしょう。
動物看護師の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
動物看護師の年収は、勤務先の企業規模とあまり相関がないようです。
10〜99人規模の事業所に勤める動物看護師の年収は333万円、100〜999人規模は309万円、1,000人以上規模は272万円、10人以上規模平均は317万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「その他の保健医療サービス職業従事者」で歯科助手など他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
動物看護師の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
動物看護師の年収は、年齢が上がってもあまり変わらない傾向にあります。最も年収が高い世代は、35~39歳の332万円です。
全年代の平均年収は317万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「その他の保健医療サービス職業従事者」で歯科助手など他職業を含むデータです。
動物看護師の福利厚生の特徴は?
動物看護師の勤務先となる動物病院は、個人経営の小さな病院もあれば、大勢の獣医師や動物看護師が働く獣医大学の付属病院のような大規模なところまでまちまちです。
一般的に、規模が大きくなればなるほど待遇面も充実する傾向にあるようですが、雇用条件や労働環境は職場によって異なっています。
個人経営の動物病院では、社会保険の制度が整っていない場合もあるため、事前に確認しておくことが必要です。
健康保険や年金などに自ら加入するのか、それとも勤務先で加入できるのかによって、自分で負担する額はだいぶ変わってきます。
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動物看護師の給料・年収の特徴
約2人に一人が年収240万円未満
一般社団法人 日本動物愛護協会日本動物愛護協会が実施した「動物看護師の勤務実態に関するアンケート調査」によると、
全国の動物看護師1,455人のうち、年収200万円未満と回答したのが327人、年収200~240万円未満と回答したのが285人でした。
これは全体の約42%で、約2人に1人が年収240万円未満という低い年収で働いているのです。
一般社団法人 日本動物愛護協会日本動物愛護協会 動物看護師の勤務実態に関するアンケート調査
給与や待遇の改善が求められている
現在、全国でおよそ2万人の動物看護師が働いているといわれています。
ペットが増えるにつれ、動物看護師の需要も増えており、2019年には愛玩動物看護師法が制定され、2023年に第1回目の愛玩動物看護師国家試験が行われる見込みとなっています。
しかし動物看護師の処遇についてはたびたび指摘されており、男性の動物看護師が増えないのは待遇や給与に恵まれていないからという声もあります。
動物看護師が国家資格化し、その認知度や必要性が高まるにつれて、給与や待遇の改善が求められているのが現状です。
給与は低めだがやりがいは大きい
動物病院で動物看護師として働くためには、相当な体力と精神力が必要となります。
動物の病状はさまざまで、人間のように予測がつかないケースもあるため、長時間勤務しなければいけない日も多く出てきます。
こうした大変さを考えると、動物看護師の年収は決して高額とはいえないのが実情です。
しかし、毎日好きな動物に触れられる仕事であることや、ケガや病気を負った動物を救うことにやりがいや誇りを感じ、多くの動物看護師が働いています。
施設別の動物看護師の給料・年収
動物病院で働く動物看護師
動物看護師の多くは動物病院で働いています。
給与や昇級は、病院の規模や経営状態によって大きく差があるようです。
経験を積めばしっかり給与を上げてくれる病院もありますが、一定額で頭打ちになってしまうところもあるようです。
病院によっては業績にあわせてボーナスを支払ってくれることもあり、それを考慮に入れると、就職してある程度経験を積めば年収は300万円〜350万円という範囲になると考えられます。
大学病院や二次診療施設で働く動物看護師
大学病院や二次診療施設(かかりつけ医が動物を診察し、他の医療機関の獣医師による診療・治療が必要と判断した場合に搬送される施設)で働く場合は、一般的な動物病院よりも給与がアップすることが多いようです。
とくに24時間体制の病院で夜勤がある場合は、手当てが発生するため収入がアップする傾向にあります。
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動物看護士の年収が高い地域はある?
厚生労働省の職業情報提供サイトを見ると、動物看護士の年収が高いエリアは、1位が中国エリア344万円、2位が中部エリア327万円、3位が関東エリア295万円となっています。
また、都道府県別にみると、1位は奈良県668万円、2位は福井県531万円、3位は三重県439万円です。
これを見ると、都市圏で勤務すれば年収が高い、とは言い切れないようです。
ただし、地方と都市部では動物病院数にばらつきがあり、一概には比較できないため、参考程度に考えておくとよいでしょう。
動物看護士の年収が低い理由は?
動物看護士の年収が低い理由として、動物病院は自由診療であり、全額自己負担であることがあげられます。
人間の場合、保険が適用されるため、体調がすぐれないと病院に気軽に行くことができます。
しかし動物病院では診療費や治療費、薬代はすべて飼い主が負担しなくてはならず、人間ほど気軽に行くことができないのです
そのため動物病院は売り上げを大きく伸ばすことが難しく、動物看護士のみならず、獣医などの従業員に高い給料を払うことができないところが多いのです。
もちろん、経営がしっかりしている動物病院もあり、高い給与が支払われているところもありますが、そうした病院はその分競争も厳しく、採用は狭き門となります。
他の動物と関わる職種と比べて年収に違いはある?
医師の平均年収は46.1歳で約1,436万円であり、動物看護士と比べると獣医の方が年収が大幅に高いことがわかります。
トリマーの平均年収は、41.2歳で394万円ほどとなっており、トリマーの方が若干高い傾向にあります。
国家資格化により給与はどうなる?
愛玩動物看護師は、2019年に制定された「愛玩動物看護師法」により誕生した新しい国家資格です。
「愛玩動物看護師法」が2022年5月1日に施行されたことで、以後、動物看護師と名乗って働くには、国家資格である「愛玩動物看護師」の取得が必要になっています。
これまで無資格で働けていた動物看護士ですが、愛玩動物看護師の資格を取得することにより、採血・投薬やカテーテルの挿入などの業務ができるようになりました。
愛玩動物看護師の資格を取得すると、今より業務の幅が広がり、より給与アップに反映されるなど、職業としての社会的な地位向上にもつながることが予想されます。
国としても国家資格を取得することで、月々の資格手当や、昇給の際に考慮されることなどを期待しており、給料や昇給に大きく関わってくると考えられるでしょう。
動物看護師が収入を上げるには
できるだけ規模の大きい施設に就職すること
動物看護師が収入を上げる方法の1つ目は、経営が安定した大規模な施設に就職することです。
大学病院や二次診療施設などで働く場合は、一般的な動物病院で働くよりも収入がアップする傾向にあり、動物医療の最前線で働けるため知識やスキルも身につきます。
さらに夜勤がある場合は夜勤手当がつくため、より収入がアップしやすくなります。
愛玩動物看護士の資格をとる
2つ目は、愛玩動物看護師などの資格を取得することです。
資格手当がもらえることもありますし、動物医療に関する知識や技術を身につけることで昇級もしやすくなります。
動物看護師は特別な資格や知識がなくてもなれる仕事ですが、動物に関する専門学校で学ぶなどで、動物医療や動物看護に関する知識を身につけることで業務にも生かせ、収入アップも目指せるでしょう。
動物看護師の給料・年収のまとめ
動物看護師の平均年収・給料について、給料や待遇面に関してはあまり恵まれているとはいえません。
一般的に規模が大きくなればなるほど待遇面も充実する傾向にありますが月額で18万円〜20万円程度・手取りが16万円〜17万円・平均年収は240万円前後というデータもあり、個人経営の動物病院では社会保険の制度が整っていない場合もあるため、事前に確認することが必要です。
動物看護師が収入を上げるためには、経営が安定した大規模な施設に就職すること・認定動物看護師などの資格を取得することといった方法が考えられます。