土木作業員になるには

土木作業員になるまでの道のり

土木作業員になるにあたって、必ず取らないといけない資格や、通わないといけない学校などはありません。

土木作業員の仕事は現場作業がほとんどのため、必要な知識や技能は実務を経験することによって自然と身についていきますし、資格や免許も、就職後に取得するケースが一般的です。

このため、建設会社や土木施工会社などに就職しさえすれば、誰でもすぐに、土木作業員として働き始めることが可能です。

ただし、現場作業を超えて「工事全体の統括」や「土木工事の企画」など、より大きな関わり方をしたい場合は、工業高校卒や専門学校卒などの学歴があったほうが望ましいといえます。

さらに、「街づくり」などのビックプロジェクトに携わりたい場合は、ゼネコンをはじめとした上場クラスの大手企業に就職することが必要になり、採用されるには大卒以上の学歴が必要になるでしょう。

一介の土木作業員として働く、管理する側や企画する側にまわるなど、どのようなキャリアを思い描くかによって、就職するまでの道のりも異なります。

土木作業員になるまでのルート

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土木作業員の資格・難易度

土木作業員の仕事に関連する資格は複数あり、その難易度もさまざまです。

代表的なものとしては、ショベルカーなどの重機を操縦するのに必要となる「車両系建設機械運転技能者」や、重量物をクレーンのフックに掛けたり外したりする「玉掛け機能講習」などの各種免許が挙げられます。

これらは、数十時間の講習を受けた後、学科と実技の修了試験を受けることが必要ですが、難易度としてはそこまで高くはなく、きちんと講習を聞いていれば合格できるレベルです。

また、キャリアアップするための資格として、現場監督になるのに必要な「土木施工管理技士」という国家資格があります。

土木施工管理技士の取得難易度は高く、受験資格を得るには学歴に応じた実務経験を積むことが必要で、国家試験もしっかりとした勉強が不可欠なレベルです。

土木作業員にはどんな資格や免許がある?

土木作業員になるための学校の種類

土木工事に関する知識を学べる学校は、工業高校、土木系や建築系の専門学校、4年制大学や短大の工学部建築学などがあります。

上述したとおり、土木作業員になるためには学歴は必須ではありませんが、これら土木工学を学べる学校を卒業しておけば、大手企業など待遇面のよい職場に採用されやすくなります。

また、後々のキャリアのことを考えても、学歴があったほうが選択肢の幅が拡がることは間違いありません。

たとえばケガや病気などで体を壊してしまっても、専門知識があれば、管理職や事務員として職場に残れる可能性もあり、思わぬところで学歴が役に立つケースもあるでしょう。

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土木作業員に向いている人

土木作業員にとって最も大切な能力とは、筋力や体力ではなく「注意力」です。

工事現場ではさまざまな事故の危険性があり、ほんの些細なミスや一瞬の油断が、取り返しのつかない重大事故を招くこともあります。

もしも事故を起こしてしまえば、自身や同僚が命の危機にさらされるばかりではなく、「安全管理がなっていない職場」として、勤め先の信頼を失墜させてしまうことにもつながります。

このため、普段から慎重で、注意深い性格の人や危機察知能力の高い人は、土木作業員に向いているでしょう。

逆にいうと、何をするにも集中力が続かない人や、転んだり、刃物で指先を切ったりと日常生活のなかで生傷の絶えない人は、土木作業員にはやや不向きといえそうです。

土木作業員に向いている人・適性・必要なスキル

土木作業員のキャリアプラン・キャリアパス

土木作業員として働き始めた人は、まずは人力作業を担う「土工」として、掘削作業や運搬作業、現場の清掃、通行人の誘導などを行います。

その後は、各自の適性や能力などに応じて役割分担がなされ、引き続き肉体労働をこなす人もいれば、重機を操縦する「機械士工」として働く人もいます。

なかには、キャリアアップを目指して試験勉強に励んで、土木施工管理技士の資格を取り、監督責任者になる人もいます。

また、ひとつの企業に勤め続けるだけでなく、よりよい待遇を目指して転職する人もいますし、独立して一人親方となる人や、自分の工務店を開業する人もおり、土木作業員のキャリアプランは多様です。

土木作業員の雇用形態

土木作業員というと、「日雇い」や「短期」というキーワードが浮かび、なんとなく非正規雇用が多いという印象をもつ人もいるかもしれません。

しかし、総務省統計局の調査によれば、建設関係の仕事に従事する男性のうち、およそ8割は正規雇用であり、土木作業員も、その大半は建設会社などに所属する正社員として働いています。

ただし、実際の求人形態は多様で、もちろん正規雇用の募集もありますが、派遣社員や契約社員、アルバイト・パートといった非正規の募集も大量にあります。

たとえば道路建設などの大掛かりなインフラ工事や、地震や豪雨などに伴う災害復旧工事では、一時的に大量の人手が必要になるため、短期で土木作業員の募集がなされるケースもよくあります。

けがや事故といったリスクの大きい土木作業員にとって、最も望ましい雇用形態は、いうまでもなく正社員でしょう。

その一方、非正規には非正規なりのメリットがあることも否めません。

以下では、雇用形態別に、土木作業員の仕事内容や特徴、給料などの待遇面についてご紹介しますので、働き方を決めるうえでの参考にしてください。

正社員の土木作業員

正社員の特徴

正社員の土木作業員の最大の特徴は、学歴や実務経験、資格などがなくても、採用されることがそこまで難しくないことです。

近年は、土木作業員全体の高齢化、少子化による若年層人口の減少などによって、業界全体で人手不足にあえいでおり、やる気さえあれば正社員として雇うという企業は数多くあります。

正社員であれば、社会保険や労災保険など企業からの福利厚生を受けることができ、万一のときも安心です。

また、社員の育成に熱心な企業も多く、資格取得などのサポートを受けることもできることから、キャリアアップも図りやすいでしょう。

非正規と比べると仕事で抱える責任は大きくなりますが、特段の事情がない限り、正社員として働くに越したことはありません。

正社員の待遇

正社員として働く土木作業員の収入は、月給25万円前後、年収にして300万円~350万円前後が相場です。

土木作業員の勤務先の多くは、働いた日数によって月給が上下する「日給月給制」が採用されているため、時期や天候によっては、仕事がない・仕事ができないという日もある程度発生します。

また、ボーナスの支給が一般企業より少なかったり、あるいはまったくないというところもあり、そうした事情が、それほど年収が高くない要因となっています。

しかし、土木作業員の給料は自身の実力次第です。

正社員であれば、上述したようなキャリアアップによって、相場以上の金額を稼げるチャンスも十二分にあります。

派遣社員の土木作業員

派遣社員の特徴

派遣社員や契約社員の土木作業員は、請け負った工事が完成するまで、あるいは3ヵ月間だけ、半年間だけといったように、期間を区切って働きます。

被災地の復興工事などでは、作業の進捗状況をみながら随時契約を更新していくこともありますが、あくまで有期契約であり、雇用形態としては不安定といわざるを得ません。

また、正社員とは違って、それほど手厚い福利厚生を受けられるわけではなく、任意保険に加入するなど自分で万一の事態に備えることも必要になります。

興味の幅が広く、多様な現場を経験してみたい、さまざまな技術を磨きたいという人は、あえてリスクを引き受けて非正規で職場を転々とするという選択肢もあるかもしれません。

派遣社員の待遇

派遣社員の土木作業員の給料は、採用時点での能力や保有資格によって決まるため個人差が大きくなりますが、月給25万円~50万円前後が相場です。

土木施工管理技士などの難関国家資格を持っていたり、海中や地下など特殊な現場に対応できる専門的スキルがあると、高単価になります。

しかし、雇用期間が短い関係上、必ずしも1年を通して休みなく働き続けられるとは限らず、年収ベースでみると正社員より劣るケースが目立ちます。

まして生涯年収で比較するなら、正社員を超えることはきわめて困難といえるでしょう。

アルバイト・パートの土木作業員

アルバイト・パートの特徴

土木作業員は、建設業界の仕事のなかでも「大工」や「左官職人」「とび職」などとは違って、基礎技術がなくても、筋力や体力さえあれば、いきなり即戦力として働くことも可能です。

このため、アルバイトの求人も非常に豊富で、大学生やフリーターが土木作業員として働くケースもよく見られます。

アルバイトの土木作業員の仕事内容は、砂煙を防ぐための水撒きや資材運び、現場の清掃、通行人の誘導など、危険度が少なく単純な仕事に限られているケースが目立ちます。

なお、土木作業員のアルバイトは、運転免許が求められることもあるため、応募の際には確認しておいたほうがよいかもしれません。

アルバイト・パートの待遇

アルバイト・パートの土木作業員の給料は、一般的なアルバイトとは違って時給ではなく日給で計算され、日給1万円~2万円前後が相場です。

働く地域や作業内容、人手の充足状況にもよりますが、未経験者については日給8,000円となることも珍しくなく、そこまで効率よく稼げる仕事とはいえません。

ただ、これから本格的に土木工事に携わるかどうか悩んでいる人は、アルバイトで働くことは、現場の雰囲気を知るうえでよい経験となるでしょう。

また、その日の仕事終わりに、日払いで給料が支給されるところも少なくないため、すぐに現金が必要な場合は、ありがたい仕事といえるでしょう。

フリーランス(親方)の土木作業員

土木作業員のなかには、企業に雇用されるのではなく、独立してフリーランスで働く人も一部います。

フリーランスの土木作業員は、元請業者と直接工事契約を結び、工事現場ごと、あるいは作業日数ごとに報酬を受け取って働きます。

得られる報酬は完全に自身の能力次第となりますが、労働時間でみれば間に企業を挟まない分、雇われよりもはるかに高単価です。

しかし、自分の都合のいいように、途切れなく依頼が入るわけではなく、時期によっては仕事がない日々が続く可能性もあり、収入は不安定になりがちです。

また、いかに収入が多くても、健康保険や国民年金、各種任意保険などの保険料をすべて自分で負担しなければならないため、支出も大きな額にのぼり、実際に使えるお金は限られます。

フリーランスになれば仕事の自由度が上がるのは間違いなく、自分の腕次第で効率よくお金を稼げる可能性もありますが、同時に相応のリスクがあることを知っておく必要があります。

土木作業員を目指せる年齢は?

土木建築業界は、少子化の影響や、「汚い、危険、きつい」といういわゆる3Kのイメージが強いこともあって、慢性的な人材不足が続いています。

このため、業界全体で資格をもたない人、実務経験のない人の受け入れに寛容であり、だいぶ年齢を重ねてからでも土木作業員を目指すことが可能です。

それでも、土木作業員は肉体労働が主体で、体力的な負担が非常に大きい仕事のため、未経験者の場合は40歳前後が採用されるボーダーラインとなるでしょう。

なお、関連資格のなかには、実務経験不要で、自力で取得できるものも複数あります。

年齢上限近くから土木作業員を目指すなら、就職前にそれらの資格取得に励むことをおすすめします。

土木作業員は女性でもなれる?

一昔前までは、女性の土木作業員はほぼ存在しませんでした。

しかし近年は、各企業がイメージアップ活動を行うなど人員確保のためにさまざまな努力を続けていることもあって、女性も徐々に増えつつあります。

土木作業に従事する女性を表す「ドボジョ」という言葉を聞いたことのある人も多いでしょう。

ただし、依然として女性が働きやすい職場になっているとは言い難い面も多く、女性用トイレや女性専用更衣室のある工事現場はまれですし、産休や育休制度の整っている職場もあまりありません。

女性であっても、土木作業員として活躍することは十分に可能ですが、環境改善への取り組みはまだまだ道半ばであるため、不便や我慢を覚悟しておくことが必要です。

女性の土木作業員のキャリアパス・結婚後の生活

土木作業員の求人状況・就職先選びのポイント

土木作業員の就職先にはどんなところがある?

土木作業員の就職先は、工務店やゼネコンなどの建設会社や、土木施工会社です。

土木工事を手掛ける企業の事業規模は幅広く、親方が個人で経営している小さなところから、資本金100億円を超える大企業まであります。

また、その事業内容も各社ごとに異なる特徴があり、地方自治体から委託を受け、護岸整備工事を専門とするところもあれば、高速道路事業団からの依頼で、アスファルト舗装工事ばかりを手掛けるところもあります。

一口に土木作業員といっても、どんな現場で働き、どんなスキルが身につくかは就職先次第といえるでしょう。

なお、土木業界の企業のなかには、いまだに労働基準法を遵守していないなど、いわゆるブラック企業も一部残っているため、就職先は慎重に吟味することが大切です。

土木作業員の求人の状況

建設業界は、社会全体の景気の波による影響を受けやすいものの、土木工事については官公庁が発注元となる公共関係の案件が多いため、需要は底堅いことが特徴です。

その一方で、土木作業員の仕事は、危険、きつい、汚いという「3K」のイメージが強いこともあって、若い世代からの人気は決して高いとはいえません。

さらに職人全体の高齢化もあって、業界全体で人材は枯渇気味です。

これらの結果、どこの企業も求人活動にはきわめて積極的であり、近年はずっと「売り手市場」が続いています。

まったくの未経験でも、なんの資格もなくても、やる気さえあれば採用するという企業は数多くありますし、年齢制限も緩めです。

給料などの待遇面も、以前に比べれば格段に改善されていますし、各種保険も整備されています。

これから土木作業に従事したい人にとっては、非常に恵まれた環境にあるといえるでしょう。

土木作業員の就職先の選び方

手掛けたい工事内容で選ぶ

土木工事にはさまざまな種類があるため、上述したように、企業ごとに請け負う工事内容はある程度の傾向があります。

このため、道路工事やダム建設工事、トンネル掘削工事、橋梁工事、宅地造成工事など、まずはどのような工事を手掛けたいかという観点から就職先を選ぶ方法が考えられます。

一般的な業界の場合、就職先の規模と手掛ける案件の規模は、ある程度比例しますが、建設業界では、ひとつの現場に元請け業者や下請け業者、孫請け業者などが混在するため、あまり比例しません。

たとえば中小企業や零細企業であっても、大規模インフラ工事の現場に携わることも十分に可能です。

企業規模や知名度にとらわれることなく、事業内容自体に着目してみるとよいでしょう。

勤務体系で選ぶ

土木作業員の就職先は日勤の職場が大半です。

しかし高速道路や線路の修繕・補修工事、除雪作業などを手掛ける企業の場合、作業効率などの関係で夜勤が発生することもあります。

工事が長期間におよぶと、当面は昼夜逆転の生活になるケースもあるため、就職先を選ぶ際には勤務体系にも留意する必要があるでしょう。

ただし、深夜帯の勤務は日中よりも時間給が高いことが多いため、体力的にはきつくなるものの、お金を稼ぎやすくなるというメリットもあります。

健康面に自信があり、なおかつ私生活にも支障が生じないなら、収入面を期待し、あえて夜勤の多い職場を選ぶという選択も有効です。

資格取得の支援体制で選ぶ

土木作業員の仕事のなかには、重機の操縦や玉掛けのように、免許や資格が必要になるものも数多くあります。

資格があればあるほど、資格手当や勤務手当がついて給料アップにつながりますし、管理職などに昇格するためには資格取得が必須となることも多々あります。

働きながら資格取得に励むのはなかなか大変ですので、後々キャリアアップすることを考えているなら、就職する時点で、従業員の資格取得をサポートしてくれる職場を選ぶことも大切です。

職場によっては、希望者向けに社内研修を実施しているところや、取得にかかる費用を企業で負担してくれるところもあります。

就職を希望している先が人材育成に熱心かどうか、一度チェックしてみるとよいでしょう。

土木作業員の志望動機・面接

土木作業員を目指すきっかけは人それぞれです。

体を動かすのが好きで、屋外で働きたいという人もいれば、インフラのように規模が大きく、社会への影響力が強いモノづくりに携わりたいという人もいます。

家庭の事情や将来のことを考えて、シンプルにお金を稼ぎたいという人も少なくありません。

土木作業員の志望動機については、あまり深く思い悩んだり、変に飾ったりせず、ストレートにそうした「自分のなかの理由」を書いてみましょう。

どこかで借りてきたような崇高な理念を掲げるよりは、多少拙くても、自分の言葉で真実を述べたほうが、土木作業員になりたいという熱意が伝わります。

面接においては、元気よく挨拶し、面接官の目を見て、明るくハキハキとした受け答えを心掛けましょう。

礼儀作法に気をつけてさえいれば、十分に採用されるチャンスはありますが、過去の経歴などを踏まえて、土木作業員に必要な注意力や集中力、体力などをアピールできれば、尚よいでしょう。

土木作業員の志望動機・面接で気をつけるべきことは?

就職先はどのように探したらいい?

土木業界は慢性的な人手不足に陥っているため、就職先は全国どこでも比較的容易に見つけることができます。

一般の求人サイトや建設業界専門の求人サイト、街中の求人情報誌などに広く求人情報が掲載されていますし、ハローワークなど公的機関を利用してもいいでしょう。

ただし、中小以下の企業では労災などの保険に未加入だったり、掲載されている雇用条件と違うというケースも一部見受けられるため、就職先の情報は、できる限り多角的に収集してみるべきです。

学校の学生課や就職課に相談したり、先生や卒業生などを頼って、実際に働いている人の声を聞いてみると、「思っていた職場と違った」という事態を防ぐのに役立ちます。

なお、ゼネコンなどの大手企業を志望する場合は、定められた期間内に、各企業のホームページから個別にエントリーすることが必要になるケースもありますので、注意が必要です。