土木工学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
土木工学の概要・理念
私たちの暮らしはさまざまなインフラによって支えられています。
水道の蛇口から清潔な水が出ることや、電線やガス管によって電気・ガスが供給されること、交通においては道路や橋、線路が整っていることが、私たちの暮らしには欠かせません。
こうした設備を建造し、保守点検を行うことで維持していくための知識や技術を研究しているのが土木工学です。
とくに日本は台風や地震といった自然災害に頻繁に見舞われる国ですので、自然環境に耐えうる強度を持った設備であることが必須となります。
こうした設備を整えていくには、材料や構造、設計や測量の手法など、幅広い知識が求められます。
また、あらゆる設備は自然の地形の中に作られますので、どの場所でも同じ条件で建設できるわけではありません。
地盤の硬さや河川の流れ方、土地の高低といった諸条件が複雑に絡み合っているのです。
地形や環境との折り合いをつけながら、大規模な設備を安全かつ効率的に建設する方法を考える、スケールの大きな学問といえます。
土木工学で学ぶこと
土木工学の基礎をなすのは、「地質力学」「水理学」「構造力学」という「三力」と呼ばれる力学です。
橋や道路といった設備を建設するにあたって、その土地の地質や流れている河川の状況に適した材料・構造を見極め、選択する必要があります。
設備のほとんどは大規模なものですので、コンピュータソフトを駆使してシミュレーションを行い、強度などを緻密に計算する手法を学びます。
また、建造の前段階や途中工程で測量を行い、誤差を最小限に留めるための技能や、完成した設備の保守点検を行う上で必要な知識についても学びます。
こうした多岐にわたる研究は理論の習得に留まらず、実習や実験を通じた具体的な検証が求められるケースも少なくありません。
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土木工学の大学での授業科目の例
地質力学
大規模な建造物を建設する土地の地盤や岩盤の性質と、それらの性質による歪みや応力について研究します。
構造力学
構造物が荷重を受けた場合に生じる応力や変形について、力学の理論を応用して解析する方法を学びます。
土木解析学
構造物の建造にあたって考慮すべき力学現象を常微分方程式で表現し、解析する手法を習得します。
建設CAD
大規模な建造物をコンピュータソフトCADで設計するための技能について学びます。
測量学
建造物を建てる土地の状態や建造中の構造物を測量し、誤差を最小限に抑える方法について研究します。
土木工学のレポート・テーマの例
土木工学は大規模な建造物を扱うことになりますので、管理や評価の手法について丁寧に学び、習得していくことが求められます。
また、実際のシミュレーションやコンピュータソフトによる設計といった実習の経過や検証結果をレポートにまとめるケースが多く見られます。
- ・河川流域の水資源管理
- ・複合構造物の性能評価
- ・鋼構造物の点検・維持管理
- ・ダムによる洪水緩和効果
- ・土砂災害の危険性評価と避難行動シミュレーション
土木工学と関連する学問
大規模な構造物は重量も相当なものになりますので、耐えられるだけの強度を保つことができる材料や構造を適切に選択する必要があります。
そのために構造力学や材料力学といった学問分野の知識を持つことは欠かせないことから、土木工学と非常に関連性の高い学問といえるでしょう。
自然の地形の中に建造物を作ることになるため、地質学や水理学といった学問分野の知識も求められます。
また、対象とする構造物の規模こそ異なりますが、建築学と土木工学は重なる部分が多く、親戚のような関係にある学問と考えていいでしょう。
土木工学を学んで就職に有利な業界・仕事
土木工学で学んだ知識や技能を活かして就職するのであれば、ゼネコンをはじめとする建設業界や鉄道業界、コンサルティング業界などが有利になりやすいでしょう。
都市開発やインフラ整備といった事業に携わる上で、土木工学の知識を役立てることができます。
職種としては、ダムや橋梁の設計、計画、調査を担う技術職をはじめ、建設コンサルタントやディベロッパーなどが挙げられます。
また、地方公務員や国家公務員には技術職の募集もあることから、官公庁で公務員として働く道もあります。
土木・建設関係の仕事は私たちの生活に不可欠なインフラとなる設備に関わることから、仕事が安定していて景気の影響を受けにくいのが特徴です。
開発が一段落した地域においても、設備の老朽化や災害への対策など解決すべき課題が山積していることはめずらしくありません。
こうした背景から、就職においても土木工学を学んだ人材は就職先が安定しており、土木系のエンジニアの需要は今後も続く可能性が高いと思われます。
土木工学の知識は人生でどう役立つ?
皆さんは、外出先などで建設中の高架や橋を目にしたことがあるはずです。
私たちが安全で快適に暮らすためにさまざまな設備を建造し、それらを維持していく作業には終わりがありません。
技術の進歩によって、より短期間で効率よく工事を進められるようになったり、耐久性に優れた素材を用いることで構造物の寿命が伸びたりしています。
しかしながら、設備の建造においては既製品が使われることはなく、案件ごとにその土地に合った構造や材料を決めていかなくてはなりません。
こうした人の頭脳と技能を駆使した設計は、今後も衰えることなく受け継がれていくはずです。
土木工学で学んだ知識は、これからも私たちの社会を支え、役立てられていくでしょう。
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