女性の土木作業員のキャリアパス・結婚後の生活

女性の土木作業員の現状

土木作業員というと、一昔前までは完全に男性だけの職業とみなされてきました。

しかし、近年は慢性化している働き手の不足を補う目的もあって、土木業界全体が労働環境の改善やイメージアップ活動などを積極的に行っており、土木作業員に従事する女性は年々増加しています。

女性の土木作業員を表す「ドボジョ」という言葉も世間一般に広まり、土木作業員の女性割合はおよそ15%ほどになっています。

ドボジョの先駆者たちによって1983年に設立された「土木技術者女性の会」という組織も、全国各地に200人以上の会員を有するまでに成長し、女性技術者を支援するさまざまな活動を行っています。

ただしそれでも、土木工事が男性優位の現場であることは、依然として変わりないのが現状です。

たとえば、女性専用のトイレがない、女性の更衣室がないなど、受け入れ体制が不十分な現場も少なくありません。

女性であっても、土木作業員になることは十分に可能ですが、さまざまな面で我慢や不便を強いられやすい点には、あらかじめ覚悟しておく必要があるでしょう。

女性の土木作業員の強み・弱み

土木工事現場には、さまざまな立場や職種の関係者が多数出入りし、工事の進捗状況や今後の進め方など、逐次確認し合い、打ち合わせなどを行いながら、作業が進められます。

そうした複数の人が絡むコミュニケーションの場において、全員が男性だと、ときには意見が対立したりして、雰囲気が険悪になるケースもしばしば見られます。

しかし、そこに女性が1人でもいると、お互いの意見を調整するなどして、全体の潤滑剤となり、現場がうまく回っていくというケースが多いようです。

女性の土木作業員は、女性らしい優しさや気遣い、やわらかみなどが、ギスギスしやすい男性社会において、大きな強みになるでしょう。

反対に、女性の土木作業員の弱みとしては、やはり肉体的な強さで劣るという点があります。

近年は資材や機械、工具類の軽量化が進み、女性でも扱いやすくなっているとはいえ、それでも女性には相当な重労働です。

たとえば重機を操縦する、施工完了した現場を検品するなど、専門スキルや知識を磨いて、体力面をカバーしていく努力が必要になるでしょう。

結婚後の働き方

土木作業員の仕事は、朝が早い代わりに、安全上の問題や騒音・振動などの問題もあって、終業時刻はかなりきっちりと定まっています。

このため、夕方以降の時間はゆとりが生じやすく、仕事が終わったあとに料理や洗濯、掃除といった家事をこなすことで、結婚してからも独身時代と同様に働き続けることは十分に可能です。

しかし、日中は土木作業員としてハードワークをこなし、夜も家事に追われるとなると、肉体的にも精神的にも休まる暇がほとんどないかもしれません。

よほどタフでない限りは、配偶者と家事を分担することが不可欠となるでしょう。

さらに、大規模な公共工事などでは、地元の土木施工会社だけでは人員が賄えず、かなり遠方まで応援要請がかかることもよくありますので、土木作業員は意外と出張が多い職種でもあります。

数日間にわたって家を空けることもありますので、そうした業務に対して配偶者の理解を得ておくことも必要です。

土木作業員は子育てしながら働ける?

土木作業員として働きながら子育ても同時に行うというのは、現状かなり厳しいといわざるを得ません。

土木作業員は、働いた日数に応じて給料が支払われる日給月給制の職場が一般的であり、出産休暇や育児休暇といった長期休暇制度のある職場はほとんどありません。

事情が何であれ、現場に出られない期間の収入はゼロです。

また、日中は保育所などに子どもを預けて働き続けるとしても、夜間以降に子どもの食事や入浴、授乳、寝かしつけなどを行うのは、体力的にきわめて過酷です。

睡眠時間もろくに取れない状態で現場に出ると、思わぬけがや事故を招くリスクも高まります。

少なくとも、子どもがある程度成長し、手がかからなくなるまでは、休職することが現実的な選択肢となるでしょう。

ただ、短期契約で休み休み働く、あるいはCADオペレーターとして事務作業メインで働くといったように、体力的な負荷を軽くすることで、職場復帰を早めることはできるかもしれません。

土木作業員は女性が一生働ける仕事?

土木作業員は、肉体労働がおもになるハードな仕事ですし、未だに根強い男性社会で、女性だからといって特別な配慮がなされることもほとんどありません。

結婚や出産、育児など、ライフイベントの多い女性の場合は、キャリアを中断せざるを得ないことも多いでしょう。

ただ、その一方で、土木作業員は、多様な仕事内容があり、体力作業ばかりではなく、専門的技能が必要になる作業も複数あります。

技術と資格さえあれば、たとえ体力的なハンデがあっても、あるいは子育てなどでブランクがあっても、即戦力人材として、最前線で活躍することは十分に可能です。

努力次第で「手に職をつけられる」という意味においては、土木作業員は、女性が一生働ける仕事といえるでしょう。