通関士になるには? 必要な資格は?

通関士になるまでの道のり

通関士として働くには、通関士試験に合格し国家資格を取得しなければいけません。

通関士試験に学歴、年齢、経歴、国籍などの受験資格は一切ありませんので、取得を目指すにのはいつでも可能です。

あくまでも一例ですが何らかの志望理由があり、最初から通関士を目指すのであれば高校や大学在学中に取得しておけば就職活動を有利に進められるでしょう。

また就職後に通関士資格を取得するケースもあるようです。

通関業者であれば人手不足解消を目的に、商社であればスキルアップや貿易部門設置するためなど、個々の事情により通関士を目指すことになります。

試験対策は参考書や通信講座などを利用するのが効率的でしょう。

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通関士の資格・難易度

冒頭で記したように、通関士として働くには通関士の国家資格取得が必須条件です。

資格取得のためには通関士試験を受験しなければいけませんが、難易度が高いため簡単には合格できないようで、平均すると13~15%程度の合格率です。

参考までに過去数年間の合格者数と合格率を記載します。

■第55回(2021年実施)
受験者数:6961人
合格者数:1097人
合格率:15.8%

■第54回(2020年実施)
受験者数:6745人
合格者数:1140人
合格率:16.9%

■第53回(2019年実施)
受験者数:6388人
合格者数:878人
合格率:13.7%

■第52回(2018年実施)
受験者数:6218人
合格者数:905人
合格率:14.6%

■第51回(2017年実施)
受験者数:6535人
合格者数:1392人
合格率:21.3%

参考:税関 通関士試験受験者数及び合格率等の推移(第1回~第55回)

なお試験科目は以下の3つです。

・通関業法
・関税法、関税定率法その他関税に関する法律、および外国為替、外国貿易管理法
・通関書類の作成要領、その他通関手続の実務

3科目ともマークシート形式で回答を行い、全科目満点の60%以上が合格基準となっています。

通関士に向いている人・適性・必要なスキル

通関士になるための学校の種類

通関士試験の受験資格に学歴や学部などは一切関係ありませんので、高校でも大学でもどの学部に通っていても問題ありません。

学校ではありませんが、通関士試験のための通学講座や通信講座はあります。

効率よく合格するための学習をするため、各講座を利用するのもひとつの方法かもしれません。

通学タイプの受講料は10万円~20万円前後が目安のようで、メリットとしては不明点はその場で質問できますし、受講生同士で情報共有などもできるでしょう。

通信講座の場合は5万円代から受講でき、メリットは自分の都合の良い時間や場所で学習できる点でしょう。

メールなどで質問も可能で、通学講座に比べればタイムラグはありますが疑問解決に役立てられるでしょう。

通関士試験のための通学タイプの学校

通関士試験の合格率は13~15%と低く、難関の部類に入る国家資格といえます。

加えて、通関業法や関税法、関税定率法に外国貿易管理法、そして通関書類の作成をはじめとした通関手続の実務などが試験科目となるため、非常に専門性の高い資格です。

すでに通関業務に携わっている人ならある程度の理解はしていると思いますが、そうでない人はまったくのゼロからスタートとなるため自分で勉強するには厳しいかもしれません。

そうした際に役立つのが通学タイプの学校です。

各種資格取得サポートを専門とするスクール・法律予備校などで開講しており、全50回などカリキュラムに沿って勉強を進められるため、自分で計画を立てる必要もない上に、同じ目的で通っている生徒とも情報共有などができ、一人で勉強するのが苦手な人には向いているかもしれません。

まったくの初心者を対象にしたコースや経験者を対象にしたコースなど、理解度に合わせたコース選択もでき効率的に学習が進めらられるでしょう。

また、平日の夜や土日に講座を開くスクールも多く、すでに通関業務に関わっている人をはじめ、社会人として働いている人たちも通いやすいメリットがあります。

その場で講師に質問でき、疑問解決もスピーディーに行えるのもメリットでしょう。

通関士試験のための通信講座

首都圏などであれば通学も可能ですが、それ以外の地域に住んでいる人たちは通学できないケースもあります。

そうした際に役立つのが通信講座です。

通関士試験対策の講座を開講しているスクールをはじめ、有名な大手の通信教育の会社でも、通関士試験対策の通信講座を行っています。

教材もセットになっており、好きな時間、好きな場所で取り組むことができ、自分のペースで勉強を進められるのはメリットでしょう。

通学同様、初心者向けや経験者向けの講座、DVD実務対策講座の貨物分類編だけなど、スポット的に利用できる場合もあり、そうした際は費用も抑えらます。

通信講座で多いパターンは「テキスト・問題集のみ」のセットと「DVDなどで講義映像を視聴できるもの」の2つに分けられるようです。

後者の方は講師が話している内容を聞けるため通学している気分で受講でき、理解しやすいでしょう。

テキストのみ、講義映像を視聴の双方に共通しているデメリットは疑問に思ったことをその場で質問できない点です。

しかし急いで解決したいケースはあまりないと思いますし、メールや専用ツールなどで質問できるサポート体制も整っているためあまり心配する必要はないでしょう。

通関士試験のための学校と通信講座の費用

学校と通信講座ではそれぞれメリット面での違いがありますが、費用面での違いも気になるところでしょう。

通学タイプの学校の場合は100,000円~250,000円程度で、50~60回の受講カリキュラムで構成されている初心者向けや、再チャレンジのための再受講割引などさまざなパターンがあります。

対して通信講座は費用は50,000円~100,000円程度で、通学タイプ同様に初心者向けや必要な教材だけを選べる経験者向けなどがあります。

通学・通信とも選ぶコースによって費用は変わりますし、自分にあったスタイルが一番効果的ですので、実際に検討する際は自分で調べたり、問い合わせをしたりしましょう。

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通関士に向いている人

緻密なデスクワークが好きな人

通関士の仕事はデスクワークが基本となります。

申告書類作成や取引書類のチェック、NACCS(ナックス)入力など、通関士としての知識を生かした事務処理能力が求められます。

どの業務もミスが許されず、緻密な確認や作業の繰り返しになるため、そうした業務が苦にならない人は向いているでしょう。

分析や計算が好きな人

通関士は輸出入するモノに対し統計品目番号を振り分けますが、分類によって関税率も変わってくるため通関士の責任も重大です。

関税率表解説・分類例規に照らし合わせたり、過去の事例や法律書に照らし合わせたりして分類を決めますが、依頼品の情報分析を行わなければ正しい判断ができません。

依頼者にとっても不利益を与えてしまうので、物事を分析するのが好きな人にも向いているでしょう。

また、関税計算も必ずセットで行わなければいけないため、計算が得意な人も向いているといえます。

あらゆるモノに興味を持てる人

貿易する品は多種多様であるため通関士は毎回違うモノを対象に通関申告しなければいけません。

扱うモノに興味が持てなければ素材や目的など、正しい分析ができず統計品目番号も振り間違えてしまいます。

そうした間違いを起こさぬよう、扱うモノに対しては常に興味を持つ必要がありますし、蓄積された商品知識は通関士として仕事を続ける以上、永続的に役立てられるでしょう。

通関士に向いている人・適性・必要なスキル

通関士のキャリアプラン・キャリアパス

いくら資格を保有していても実務経験がなければ戦力にはなりませんので、とにかく経験を積むのが一番の近道といえます。

会社によって教育制度は違いますが、制度が整備されている場合はしっかり併用しましょう。

経験がない場合、輸出業務を行うのが一般的なようで、ある程度経験を積んだ後に複雑な関税手続きのある輸入業務を行うようです。

そうした実務をおおむね3~4年繰り返し行うことで、一人前の通関士として業務を任せられるといわれています。

通関士のキャリアパスとして考えられるのは、実績と能力が認められ管理職への昇進でしょう。

ほかには通関士の経験を生かし他業種への転職等が考えられます。

通関士としてメーカーや商社に勤められますし、貿易業務の要として重宝されるかもしれません

また、通関のプロとして営業や経営企画などでもその経験や知識は生かせるため、異業種でも活躍できる場は広がるでしょう。

通関士を目指せる年齢は?

繰り返しになりますが通関士資格の受験資格に年齢制限はありません。

そのため通関関連の仕事に就いた後に通関士を目指す人も珍しくなく、通関業務に携わっている社会人の方が理解度が高く、勉強もスムーズに進むかもしれません。

そうした背景もあり、通関業者で通関業務や通関事務を行った実務経験が5年以上ある人は一部の科目免除があります。

通関士は女性でもなれる?

学歴、年齢、性別、国籍に関係なく通関士資格は取得できるため、当然女性でもなれます。

近年は女性の通関士も多く活躍しているようで、第54回(2020年実施)の通信士試験合格者857人の内訳は男性424人、女性433人という結果になっており、女性比率も決して低いものではありません。

通関業者以外にも商社やメーカーなど、貿易を行う会社も職場となり得るため女性通関士が活躍する機会も多いでしょう。

通関士の求人状況・就職先の選び方

通関士の就職先にはどんなところがある?

通関士の就職先として最も一般的なのは通関業者です。

その名の通り、通関業務をメインとする会社でクライアントから依頼され貨物の通関業務を請け負います。

クライアントも貨物も多種多様で、通関士としての実力が発揮される就職先といえるでしょう。

そのほかには倉庫会社や商社、メーカーも挙げられます。

倉庫会社の場合は保税地域にある自社大型倉庫の運営がメインですが、顧客の利便性を高めるため通関業を兼務する場合があり、そうした倉庫会社では通関士が必要になります。

商社やメーカーの場合は取り扱う貨物の量も多いため通関部署を設置し、通関業者とスムーズなやり取りを行いスピーディーな貿易のために通関士を採用する場合があります。

またコスト削減のため、自社で通関業務を行う企業もあり、そうした際には通関士が必要となります。

通関士の勤務先・勤務地の種類

通関士の求人の状況

インターネットの求人情報を検索してみると分かりますが、通関士を募集している会社はたくさんあります。

そもそも通関士は人手不足といわれており、通関業務を営む企業であればニーズは高いといえます。

通関士で募集している場合もあれば、通関事務で募集している企業もあり、後者の場合は実務経験が歓迎条件になっており、通関士のサポートが主業務のようです。

通関士の募集条件は当然ながら有資格者が挙げられますが、新卒の場合は通関部門での業務を経験し、通関士資格の取得を目指せる会社もありますのであきらめずに探した方がよいでしょう。

通関士の就職先の選び方

航空貿易か海上貿易か?

会社によって航空貿易と海上貿易どちらを主業務にしているかによって働き方が変わってきます。

海上貿易の通関業務だとシフト制で24時間対応するケースもありますし、海上貿易の通関業務だと営業所によっては取扱量が多く忙しい日々を過ごすかもしれません。

会社に通関士が何人在籍しているか、どういう編成で配置しているかなど、入社後に想定と違っていたとならないように確認しておきましょう。

業務内容

通関士として就職した際に自分が行う業務内容を確認しておくことが必要です。

通関業者であれば、「通関書類(輸出入)審査」、「通関書類作成」、「税関への説明」、「税関検査の立ち合い」などがメインとなるでしょう。

商社やメーカーであれば、「通関書類作成」に加え、「通関業者へ依頼する輸出入通関書類の提出や貨物の説明」、「貨物の物流管理」などを担当する場合があります。

純粋な通関業務をメインとするか、それとも守備範囲を広げるためさまざまな業務を経験したいかなど、個人の考え方によりますがミスマッチとならないよう注意が必要です。

サポート・教育体制

特に経験の浅い、もしくは未経験の通関士にとっては重要なポイントでしょう。

知識はあっても実際の業務となるとそう簡単に物事は進みませんし、会社によってもローカルルールがあるため教育体制が整っていると安心するでしょう。

通関士の志望動機・面接

通関士の志望動機は人それぞれですが、あくまでも一例として挙げると「外国と関わる国際的な仕事がしたい」、「日本経済を支える貿易関係の仕事がしたい」、「誰でもできないスペシャリストとして活躍したい」などが挙げられます。

通関士資格は合格率15%程度の難関国家資格である上に、貿易を行う際、通関士にしかできない業務も多々あるためプロフェッショナルとしての意識と責任感の高さをアピールする人もいるようです。

通関士の志望動機、面接

就職先はどのように探したらいい?

通関士の求人の探し方はさまざまありますが、ほかの職種とさほど変わりません。

代表的なのはハローワークでしょう。

誰でも無料で利用できますし、最近はインターネットでも求人検索できるため利便性も高まってきましたが、実際に応募する際は窓口に行き手続きをしなければいけません。

ほかには転職エージェントを利用する方法もあります。

自分の経歴や希望を登録すれば、転職エージェント側でマッチした求人を探してくれるほか、スカウト機能を使えば企業側からアプローチもしてくれるので在職中の人であれば手間なく探せるメリットがあります。

個別面談によって詳細ヒアリングやアドバイスを行ってくれる会社もあったり、物流関係を専門としたエージェントもあります。

利用者は無料の場合がほとんどなので登録しておいて損はないでしょう。

求人サイトで自分で探すのも一つの方法です。

いくつもの求人サイトの情報を集めているため、こちらも希望条件などを登録しておけばマッチした求人を知らせてくれるため探す時間を省けます。

便利な方法がいくつもあるので、上手に使い分けて効率よく情報を収集しましょう。

参考:通関士に関するデータ

通関業従業者数(通関士)

通関業の従業者数は貿易量の増加とともに年々増えてきています。2021年4月時点における通関業従業者数は全体で16,447人。そのうち8,342人が通関士として働いています。

通関業従業者数の推移_2021
出所:財務省 2021年4月

税関別通関業従業者数

税関別通関業従業者数_2021
出所:財務省 2021年4月

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