「国際公務員」とは

国際連合などの国際機関に所属し、国際社会の利益と共存のために仕事をする。

国際公務員とは、大きく分けて「国際連合」「国連総会により設立された国連の下部機関」「専門機関」「その他の国際機関」の4種類の国際機関で働く人のことをいいます。

国際公務員は、「国」という概念を超えて国際社会の利益と共存のために仕事をすることが求められ、なるには修士号以上の学位を持っている必要があります。

国際公務員の年収は、基本給+地域調整給+各種手当で計算され、おおむね500万円~1000万円の間に収まるようです。

人権・貧困・紛争などの国際問題の解決のための国際機関は、各種の問題があり続ける限り存在するものと考えられますが、今後は専門分野にプラスしてITリテラシーの高い人材への需要が増加することが予想されます。

「国際公務員」の仕事紹介

国際公務員の仕事内容

国際機関で働く職員

国際公務員とは、国際連合および関連する専門機関で仕事をする職員のことをさします。

所属先の機関によってそれぞれ国際公務員が携わる仕事の種類や内容は異なりますが、国という概念を超えて国際社会の利益と共存のための仕事であるという共通した理念をもつ職業です。

国際公務員には大きく分けて、専門職と一般職があります。

専門職の国際公務員は、各機関に貢献できる専門的な知識や技術を活かした仕事をします。

たとえば、各機関の開発・経済援助、環境保護などのプログラムの遂行に直接携わる業務や、会計、人事、広報などの総務的な業務などがあります。

一般職は、各機関の本部や各地の事務所において、専門職のサポートとして一般事務を担当します。

国際公務員の就職先・活躍の場

就職先や活躍の場はたくさん存在する

世界193か国が加盟する(2018年5月現在)国際連合には、「国際教育科学文化機関(UNESCO)」「国際労働期間(ILO)」「世界保健機関(WHO)」などのいくつかの専門機関があり、これらの国連関係の組織で働く人を総称して国際公務員と呼びます。

国際公務員の種類に「専門職」と「一般職」があることは前述の通りですが、各領域における経験や専門知識を有し、即戦力として活躍する国際公務員へのなり方によって、「キャリア組」と「出向組」というふうに分けることもできます。

キャリア組は、試験や空席に応募して国際機関に採用され、国連システム内でキャリアアップしていく人たちで、多くの人は、こちらのパターンで国際公務員になっていきます。

一方、出向組といわれるのが、加盟国政府の関係省庁からの人材派遣によって国際公務員として働く人たちで、この人材派遣も頻繁に行われており、派遣期間は2年~5年程度となることが多いようです。

とくに専門機関では、よりいっそう高度な知識や技能が要求され、スキルの高い人材の活躍の場であるといわれています。

国際公務員1日

基本的に、自国以外の国に赴任する

国際公務員は、専門職として働く場合、基本的に自国以外の国に赴任します。

国際公務員は、世界のあちこちで働いているために、1日の流れも勤務地や職種などによってだいぶ異なるのが実情です。

国連事務局の専門職として働く国際公務員のある1日を見てみましょう。

8:30 
出勤したら、まずはパソコンでのメールチェックをします。
日々たくさんの連絡が入ってくるため、重要度の高いものから対応していきます。

9:00
現在関わっている難民救済のプロジェクトの会議に出席、多様な国籍を持つ同僚と意見を出し合いながら、具体的な対応策を会議で練っていきます。

12:00
昼休み。忙しいときはデスクでサンドイッチなどで済ますこともあります。

13:00
他機関と合同で行うスカイプ会議に出席します。

15:00
当日行われたミーティングや会議の内容を書類にまとめていきます。

国際機関では必ず文書で残されるため、事務処理にかかる時間も長くなります。

16:30
翌週の途上国の難民キャンプ視察に向けて、出張準備を進めていきます。

18:00
退勤

国際公務員になるには

いくつかのルートがある

その国出身の専門職職員の人数が少ない国の者を対象として行われる「国連ヤングプロフェッショナル・プログラム(YPP)」は国連本部が1年に一度実施する試験で、2018年現在、日本でも実施されています。

国際公務員になるためのほとんどの試験で職務経験が求められるのに対し、このプログラムは未経験者でも応募することが可能です。

また、「JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー」派遣制度という制度もあり、この制度は、外務省が派遣取決めを結んでいる国際機関に対し、原則として2年間日本人を派遣するというものです。

JPOに選出されると、派遣先国際機関と雇用契約を結び、1年間勤務します。

その後、派遣先機関からの要請があれば雇用期間は1年間更新され、原則として合計2年間働きながら、正規職員を目指します。

国際公務員の学校・学費

学歴や、高い専門性が要求される

国際公務員の募集区分は大きく「一般職」と「専門職」の2つに分けられています。

一般職の場合は学歴を問わなかったり、学士号(大卒)でも応募できる職種がありますが、専門職を目指すのであれば、経済・会計・法律・政治・行政・農業・広報・開発・ロジステクス・ITなどといった、国際機関で求められる分野の学位、とくに博士号まで求められるのが現状です。

語学については、共通語として英語もしくはフランス語の能力が必要になります。

国際公務員として働く人の9割以上が「修士卒以上」の学歴であるともいわれており、中卒や高卒で国際公務員になるのは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

国際公務員の資格・試験の難易度

国際公務員に資格は不要

国際公務員になるために、基本的に資格というものは必要ありません。

特定の免許がなくては仕事ができない職種ではなく、公募への応募や国連が実施する試験、外務省の派遣制度などに合格すれば、国際公務員として働く機会を得ることができます。

しかしながら、国際公務員として国際的な課題に向き合っていくためには、各専門分野におけるハイレベルな知識や経験、学歴などが求められてきます。

実際のそれぞれの出身大学を見ても、名だたる大学が名を連ねています。

また、すべての国際公務員に共通して必要とされるのが、英語・フランス語を中心とする外国語の能力です。

応募条件として資格が掲げられているわけではありませんが、語学力は必要不可欠になりますので、語学の資格を取っておくことは必須になるでしょう。

国際公務員の給料・年収

基本給に様々な手当てがつく

国連機関に勤務する国際公務員は、基本的に、各機関が採用する「共通制度」という基準で給料が決められています。

共通制度は「OECD」や「IMF」など一部の国際金融関係機関を除いた多くの機関が採用しており、国連機関の勤務条件はほぼ統一されていることになります。

国連機関における共通制度での給料については、一般にポストの高さによって「基本給」が決められており、これに勤務地による「調整給」や「手当」などがつきます。

国際公務員の給料はドル立てで計算され、職員が希望する通貨で支払われます。

国際公務員のやりがい、楽しさ

世界規模の仕事ができるという喜び

国際公務員は、中立的な立場で国際平和と国際協力のために日々働くことになります。

国際公務員が向き合う事柄も、世界レベルでの紛争や貧困、災害、環境、教育、人権、法律など大きなものばかりで、つねに広い視野を持って物事を考えることが求められます。

国際公務員が取り組む課題は、解決までが非常に困難なものもたくさんあります。

しかし、「世界中の人々がより良く暮らせる社会をつくる」「世界のために」という使命感の下で仕事に従事できることは、この仕事ならではのやりがいになるといえるでしょう。

国際公務員のつらいこと、大変なこと

高度な専門性と熱い熱意が求められる

国際公務員になれるのは、学生時代からつねに真剣に勉強し、職務経験を積んで、厳しい試験などを乗り越えてきたひと握りの人のみという厳しい世界です。

各国から集まる職員たちは、それぞれ国際的な課題に取り組んでいく強い使命感や責任感を持ち、ハイスキルな知識や経験を持つエキスパートです。

そこに身を置き、しっかりと仕事をしていくためには仕事に対しての熱心さはもちろん、、自分の専門性を磨き続ける努力も欠かせません。

また、治安のよい地域ばかりに赴任するわけではありません。

業務に対するプレッシャー以外にも、そうしたところに苦労を感じる人もいるようです。

国際公務員に向いている人・適性

勉強熱心で志の熱い人

国際公務員に向いているのは、勉強熱心で、向上心の強い人、そして志を熱く持っている人です。

国際公務員として働く人のうち、全体の約9割程度は「修士卒以上」の学歴を持つといわれていることから、大学卒業後さらに大学院で専門性を高めていくことになるため、勉強が好きでなくては国際公務員になることは難しいといえるでしょう。

また、国際公務員として就職するには、専門分野に関する経験や知識も求められます。

何を専門にするかは人や派遣先によってそれぞれ異なりますが、追及していきたいテーマを見つけ、主体的に努力できるような人は国際公務員としての適性があるといえるでしょう。

国際公務員志望動機・目指すきっかけ

人の役に立ちたいという強い意志

国際公務員を目指す人たちは、世界を舞台に活躍したいという強い意志を持っています。

とくに国際公務員は、途上国の貧困問題や教育問題、紛争、災害、環境問題といった大きなテーマを扱うため、世界平和や国際的な課題に関心が強く、それらに関わる仕事がしたいという思いを持っている人が多く志望します。

世界にはたくさんの課題があるため、それらを自分の力によって解決に導くために尽力したいという並々ならぬ情熱や使命感が、国際機関で働く原動力となるでしょう。

そのほか、多国籍の人たちと一緒に働きたい、語学力や学んできた専門分野を生かせる仕事がしたいといった思いを持っている人もいます。

国際公務員の雇用形態・働き方

勤務地によって大きく変わる

国際公務員という職業に就くと、多くの場合、一般企業で勤務した場合とは大きく異なった働き方や生活スタイルになると考えて間違いありません。

国際公務員は専門職に就くとほとんどが母国外での勤務となり、実際日本人職員は多くの人が海外で勤務しています。

基本的には正職員という雇用形態で勤務することになりますが、勤務時間や休日も派遣先によって変わってきます。

業務内容や階級によってはフレックス勤務として、仕事を滞りなくこなせる範囲で個人が勤務時間を調整できることはあります。

国際公務員の勤務時間・休日・生活

人や派遣先によってまちまち

国際公務員の休日についても、勤務先となる派遣先機関によって異なります。

多くの場合、平日に仕事をして土・日曜日に休みの週休2日となるようです。

休暇については、年齢やポストに関わらず1年につき30日間の年次有給休暇が与えられるのに加え、病気休暇、特別休暇、出産休暇があります。

また、本国外で勤務する職員は、2年に1回(勤務困難地では1年に1回)機関側の費用によって家族とともに自国へ帰ることができる帰国休暇制度もあります。

国際公務員と聞くと多忙を極めるイメージを持つ人もいるかもしれませんが、普段は機関ごとに定められた休日をきちんと取得することができ、日本とは異なる生活環境での暮らしを楽しむことなどもできるようです。

国際公務員の求人・就職状況・需要

狭き門で競争が激しい

国際公務員になるためのルートはいくつかありますが、いずれの方法であっても狭き門であることは確かです。

少ない募集に優秀な人材が押し寄せるため、勝ち上がり採用にこぎつけるまでの難度は相当高いことを覚悟した方がよいでしょう。

また、現地採用や欠員補充の公募への応募は、自分で各機関の採用情報をこまめにチェックする必要があり、未経験者が応募することは困難なケースが多くなっています。

国際公務員は基本的に、採用後ただちに第一線で活躍できる即戦力になれる人が求められます。

日本の一般的な企業のように、入社後に時間をかけて教育を行っていくということはあまりなく、その点も新卒者にとっての国際公務員の厳しさといえるでしょう。

国際公務員の転職状況・未経験採用

未経験や若手にもチャンスはある

新卒者や、20代~30代前半くらいの若い人が国際公務員に応募できるチャンスに、「YPP試験」や「JPO派遣制度」が挙げられます。

前者は、自分の国がその試験の対象国で32歳以下、申し込む分野の学士号(大卒)以上の学歴があれば、応募することが可能です。

しかし、試験の倍率は数百倍にのぼるとされているため、合格の難易度は相当に高い物であると考えておくほうがよいでしょう。

後者のJPO派遣制度については、外務省が派遣取り決めを結んでいる国際機関の業務に関連する分野で2年以上の職務経験を持つ人が応募できるものとなっていますが、35歳以下で、大学院修士課程以上を修了する必要があります。

年1回の選抜試験に合格すれば、実地研修を兼ねて国際機関に一定期間勤務することができ、能力次第では正規職員として採用につながる可能性があります。

どちらにせよ、英語もしくはフランス語の高い能力が必要とされるため、事前に語学力を高めておく必要があります。

国際公務員の現状と将来性・今後の見通し

スキルの高い人材を求めている

日本は国際連合に対し、大口出資国ですが、出資額に比較すると日本人の国際公務員の割合は非常に低いという現状があります。

日本人の有能な高学歴の若手にはまだまだ不安定な雇用形態の中でつねに競争が求められる責任の重い国際公務員という職種は、敬遠されがちなのかもしれません。

実際、国連機関でも有期雇用契約で働いている人もおり、希望した全員が正規職員として雇用されるとは限りません。

しかし、国際社会が高度にIT化していくなかで、最近では専門分野にプラスしてITリテラシーの高い人材への需要が増加傾向にあります。

世界中の優秀な国際公務員と対等に渡り合い、国際問題を解決していく熱意と志のある有能な人材はますます求められています。