「通訳案内士」とは

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訪日外国人に対して日本の魅力をわかりやすく伝え、滞在中の生活を広くサポートする。

通訳案内士とは、日本を訪れる外国人の観光客に対して、日本の観光地や文化を案内したり、旅行中のサポートをする仕事です。

高い語学力が必要とされるだけでなく、日本の文化や歴史、経済など幅広い知識が必要です。

また、旅行スケジュールの管理やホテルの予約といったツアーコンダクター的な業務を担当することもあります。

通訳案内士になるためには、国家試験に合格することが必要です。

難易度は高く、英語受験者の合格率は12%ほどです。

正社員としての雇用形態はほとんどなく、依頼を受けてスポットで仕事をすることになるため、収入は不安定です。

季節によっても仕事量にばらつきがあるので、ほとんどの通訳案内士は兼業として働いています。

「通訳案内士」の仕事紹介

通訳案内士の仕事内容

日本の魅力を外国語で伝える仕事

通訳案内士は、日本を訪れる外国人観光客を各地の観光地へ案内しながら、日本の文化や伝統を外国語で伝える仕事です。

外国語を使ってガイドをするため、英語を中心とした外国語のスキルは必須です。

文化や言語だけでなく、外国人が興味を持つような日本の歴史や経済などの知識についても勉強する必要があります。

また、旅行スケジュールの管理やホテルの予約、滞在中のトラブルの対応など、ツアーコンダクターさながらの業務を担うこともあります。

通訳案内士の役割は、日本に対する観光客のイメージに大きく関わることから「民間外交官」とも呼ばれるほどです。

なお、国内において報酬を受け取り外国人を案内するときには通訳案内士の資格が必須となります。

通訳案内士の就職先・活躍の場

フリーランスとして働く人が多い

通訳案内士はフリーランスで働く人が多い職業です。

日本を訪れる外国人は年々増加しており外国語が堪能な通訳案内士の需要が高まっている一方で、環境業を営む企業へ正社員として就職できる機会は多くありません。

フリーランスで活躍している通訳案内士は「日本観光通訳協会」という社団法人に登録後、そこからガイドの仕事を斡旋してもらうことが多いです。

通訳ガイドの業務のみを担う社員を雇う旅行会社や代理店は少ないですが、通訳案内士の資格を持っていると総合職の採用には有利になるでしょう。

通訳案内士の1日

案件によって1日の流れはさまざま

外国人観光客を日本各地へ案内する通訳案内士の1日はツアーの内容によって異なります。

ここでは、一般的なツアーを例にとって紹介します。

9:00 出勤
お客さまが滞在するホテルに出向き、合流します。

10:00 観光地を案内
お城や寺社仏閣などを英語等で案内し、疑問に回答します。

12:30 昼食
お客さまが昼食をとっている間に午後のスケジュールを確認します。

14:00 美術館見学
団体券を購入し、英語等で館内を案内します。

16:00 お土産購入
お土産の紹介をしながら買い物スポットを案内します。

18:00 勤務終了
お客さまをホテルへ送り届け、勤務終了です。

20:00 翌日のガイド先の下調べ
連日ガイドが続く場合は勤務終了後に次の目的地の情報収集をします。

通訳案内士になるには

通訳案内士の資格を取得する

通訳案内士になるには、国家資格である通訳案内士の資格を取得する必要があります。

受験資格に制約がないため、過去には14歳の合格者も出ています。

しかし、通訳案内士に求められるのは外国語の知識だけではありません。

日本の歴史や地理、文化、産業など、外国人に日本の魅力を伝えるための幅広い知識が求められ、難易度の高い試験となっています。

資格の取得後は、旅行代理店や日本観光通訳協会などに登録し、仕事を紹介してもいながら働く人が多いです。

通訳案内士の学校・学費

通訳案内士の養成講座を受講する人も

通訳案内士の受験資格には制約がなく、学歴をはじめ年齢や国籍にも制限がありません。

資格取得のために必ず修了しなければならない課程がないため、受験だけであれば誰にでも門戸が開かれている試験のひとつです。

しかし、合格をするには難易度の高い試験です。

外国語系の学校や、通訳・翻訳者の養成スクールなどで通訳案内士の講座を受講する人も増えてきています。

単発講座の受講費は1回あたり1万円程度、通学の場合は年間20万円〜40万円前後の学費を設定している学校が多いようです。

通訳案内士の資格・試験の難易度

語学力以外の知識も問われる難関試験

通訳案内士の資格は、報酬を受けて外国人に日本を案内する際には必須となります。

通訳案内士の合格率は20%と数ある資格の中でも難関の部類に入るといえるでしょう。

まずは1次試験に合格し、次いで2次試験に合格する必要があります。

多くの人がつまずくのが1次試験に日本語で行われるマークシート方式のテストです。

日本の地理や歴史などに関しては1から勉強する科目もあり、語学力以外のところでハードルの高さを感じる受験生が多いようです。

一部の筆記試験では、各言語や地理・歴史の能力検定の点数によって免除される科目もあります。

通訳案内士の給料・年収

スポットでの仕事が多く収入は不安定

通訳案内士はフリーランスで働く人が多い職業で、その場合の収入は、1回の仕事ごとに支給される「日当」となります。

日当は1万円~3万円程度が相場となっていますが、長期ツアーのガイドが入ると、もっと多くの額を一度に得ることもできます。

しかし、フリーランスは基本的に福利厚生などもなく、特に新人のうちはあまり稼げず不安定な生活になりがちです。

まずは多くの経験を積み、安定して仕事を受けられることを目指す必要があるでしょう。フリーランスとして働く通訳案内士の場合、収入は1回の仕事ごとに日当として支払われます。

1日のガイドで得られる日当は平均すると1万円〜3万円程度が相場となっています。

数週間など長期のツアーを担当するとある程度まとまった金額を稼ぐことができますが、安定した収入にはなりにくいでしょう。

繁忙期・閑散期によって仕事量が左右するため、通訳案内士の業務のみで生計を立てている人は非常に少ないです。

他に収入源を持っている人がアルバイトとして従事しているほか、通訳や翻訳の仕事と兼業で通訳案内士の仕事をしている人も多くいます。

通訳案内士のやりがい、楽しさ

自分のガイドで日本の魅力を伝えられる

通訳案内士は、ガイドをする国のお客さまがどんな情報を求めているかをよく観察し、彼らのニーズを満たすような案内の方法を考えなければなりません。

また、日本の文化やマナーは世界から見れば常識はずれで不思議なことも多くあります。

言語も文化もまったく異なるお客さまに日本独自の歴史や作法を理解してもらい、さらには好きなってもらうための重要な役割を担っているのが通訳案内士だといえるでしょう。

自分のガイドに満足していただき「楽しかった、ありがとう」と声をかけてもらった時が、通訳案内士にとって最もやりがいを感じる瞬間のひとつです。

通訳案内士のつらいこと、大変なこと

綿密な下調べと体力が必要な仕事

通訳案内士のガイド前には綿密な下調べが必要です。

観光地の情報から関連する歴史や文化、一般常識などを事前にインプットしてお客さまを迎える準備をしなければなりません。

ツアーの当日は1日中動き回るため体力も消耗します。

日本に慣れないお客さまを案内するため予定通りに進まないことも多く、トラブルに対処したり細やかな気配りが求められたりと、精神的にも落ち着く暇がありません。

観光地のガイドは日本語でも大変な仕事です。

外国語でお客さまを取りまとめるのには相当な気力と体力が必要となるでしょう。

通訳案内士に向いている人・適性

柔軟な対応力とホスピタリティの精神

通訳案内士は、外国人観光客の日本に対する印象を左右する重要な仕事です。

高い語学力や日本に関する幅広い知識はもちろん、親しみやすい人柄やコミュニケーションが備わった人材が求められます。

また、旅行にはつきものとも言えるトラブルを臨機応変に対処する能力や、大人数をまとめることのできる統率力も必要となるでしょう。

しかし何より大切なのは、お客さまに心から旅行を楽しんでもらいたいという日本的な「おもてなしの精神」かもしれません。

通訳案内士志望動機・目指すきっかけ

語学力を活かしたいと考える人が多い

通訳案内士の志望者には、ある程度の語学力があり外国人とのコミュニケーションを楽しめる人が多いです。

英語以外のさまざまな言語を習得している日本人は意外と多いものの、活躍できる場はごく限られています。

通訳案内士には、英語や中国語といった習得者が多い外国語以外にも受験可能な言語がたくさんあるため、語学力や海外在住などの経験を活かしたい人にはぴったりの試験です。

現時点において通訳案内士の業務のみで生計を立てるのは難しいですが、語学力を活かせる場所を見つけたいと考える人が毎年の受験に挑んでいるようです。

通訳案内士の雇用形態・働き方

フリーランスとして代理店等に登録する

現在における通訳案内士の主な雇用形態はフリーランスです。

一般社団法人である日本観光通訳協会や、旅行会社・代理店に個人で登録し、案件が発生するたびに仕事をもらって働く方法が一般的です。

フリーランスで働く場合、給与は日当として支払われることになります。

旅行のシーズンによって斡旋してもらえる仕事量に増減があるため、安定した収入を得られる働き方とはいえないでしょう。

他の収入源を持っている方や主婦・主夫の方など、空いた時間に副業として仕事をする人が多くなっています。

通訳案内士の勤務時間・休日・生活

勤務時間は長いが柔軟な働き方ができる

通訳案内士の働き方は、フリーランスとして旅行会社や代理店などに登録をし、案件ごとに仕事をもらうというのが一般的です。

1日がかりのツアーを担当する仕事もあるため、勤務日の拘束時間が早朝から夜遅くまでになることは多いでしょう。

一般企業の内勤などに比べると勤務時間は長くなりますが、登録制であれば働きたい時に仕事を入れることができるため柔軟な働き方が可能です。

休日も比較的自由に決めることができます。

ただし、通訳案内士のみで食べていくには一定以上の勤務日数が必要となるでしょう。

通訳案内士の求人・就職状況・需要

派遣会社へ登録しつつ自分を売り込む

通訳案内士の求人で最も多いのが、旅行会社や派遣会社などへの登録の募集です。

インバウンド事業が盛んになるなか通訳案内士の需要は増えており、基本的には資格さえあれば登録できる会社がほとんどです。

全国にいる登録者の中からツアーの行き先や言語などの条件に合った人材が選ばれ、仕事の依頼を受けることになります。

ただし経験の長いベテラン案内士が優先されることも多く、積極的に研修を受けて知識を増やしたり、みずから旅行会社へ営業をかけたりと、受注するための努力は必要となるでしょう。

通訳案内士の転職状況・未経験採用

仕事の数は少ないがやりがいは大きい

現在、外国人観光客を日本各地へ案内する仕事を担うのは同じ外国人のガイドまたは日本人ボランティアであることが多いです。

そのため、通訳案内士に回ってくる案件の数は必然的に少なくなり、この仕事のみで生計を立てるのはまだまだ厳しいのが実情です。

とはいえ、通訳案内士の仕事は、語学力があり外国人とのコミュニケーションに関心がある人にとっては大きなやりがいを感じられる職業です。

資格さえ取得すれば自由に働ける点に魅力を見出せるなら、通訳案内士としてのキャリアを始めるには十分な理由となるでしょう。

通訳案内士の現状と将来性・今後の見通し

通訳案内士の重要性の認識が課題

通訳案内士という職業は、世間ではまだまだ地位を確立できていないところがあります。

国家資格とはいえ、せっかく取得しても実際に通訳案内士を生業としている人は資格取得者全体の2〜3割程度といわれています。

その背景には、通訳案内士に依頼できる絶対的な仕事量が足りないという理由があるようです。

一方で、日本への外国人観光客の数は右肩上がりに増加しています。

日本の魅力を伝える仕事を外国人ガイドやボランティアに任せるのではなく国家資格を持った通訳案内士に依頼すべきだという認識が高まっていけば、将来的には活躍の場も広がっていくでしょう。