着付け師の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「着付け師」とは

着付け師の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

お客さまから依頼を受け、慶事から弔事まで目的別に着物を手早く、美しく着付ける。

着付け師は、お客さまから依頼を受けて、着物を手早く、美しく着付ける仕事です。

着付けの場は慶事から弔事まで多岐にわたり、状況に合わせた着付けを行うだけの技術が求められます。

着付け師として働く人は、まず着付け教室に通って技術を学び、そのうえで美容院や写真館、呉服屋、結婚式場などで正社員として勤めるケースもあれば、着付けスタッフとして成人式や卒業式シーズンなどの繁忙期に限って依頼先に出向き、着付けを行うケースもあります。

着付けの仕事だけで安定した収入を得るのは難しく、副業や趣味の延長で仕事をする人も少なくないようです。

ただし、一度得た技術が一生モノになる点は強みです。

またヘアメイクのスキルも併せて身につけることで、仕事の幅を広げられる可能性も高まるでしょう。

「着付け師」の仕事紹介

着付け師の仕事内容

着物の着付けを行う人

着付け師は、依頼を受けて着物を手早く美しく着付けることが仕事です。

現在、着物など和装の着付けが自分一人できる人はほとんどいませんので、そうした人を対象に着付けを行います。

着付けの依頼は人生の節目にあたる成人式・学校の卒業式・結婚式、またはお葬式などの機会にされることが多く、着付けの場は慶事から弔事まで、さらに老若男女多岐にわたります。

着付けの技術が優れていることはもちろんのこと、こうした依頼者の状況に合わせた判断を適宜行いながら支度をする能力が必要です。

また、着付けだけでなく、和装のメイクやヘアアレンジまでを手がけている人や、着付け教室の講師として指導を行うことをメインに活動している着付け師も少なくありません。

着付け師になるには

着付け教室で着付けを習うところから

着付け師になるためには、まず着物の支度が一人前にできる技術を得なければなりません。

大手の教室の場合、独自の昇級制度や資格制度を設け、コース制をとっているところもあり、最上級のコースまで進むと、着付けの仕事をあっせんしてもらえることもあるようです。

ただし着付け教室に通う際は、自分で着物を一式用意しなければならないことが多く費用が高額になりがちだということも理解しておきましょう。

その後、美容院や写真館、結婚式場などに就職するのが、着付け師として働く近道です。

着付け師の学校・学費

特別な学歴は必要なし

着付け師になるために特別な学歴は必要ありません。

ただし、着付けを行えるようになるためには、まずは着付け教室に通い、適切な指導を受ける必要があります。

着付け教室は大手のものから個人宅での指導、市民講座などさまざまな形態があり、通う期間やかかる費用もまちまちなので、しっかりと調べ自分に合った教室を選ぶことが必要です。

また、進学時で既に着付け師に興味がある場合は、服飾系専門学校に通い、和装コースを選択するなどの方法もあります。

着付け師の資格・試験の難易度

着付け技能士の資格が有利

着付けを生業とするためには特別な資格は不要ですが、教室を開いたり、着付けの講師を目指したりする場合は、国家資格である着付け技能士の資格を取得することが必要になります。

1級は実務経験5年以上、2級は実務経験2年以上が対象となっており、着付けをたしなんでいる人は取得しておくと就職活動でも有利になるでしょう。

美容院や写真館などに勤務して着付けの仕事をする場合は、着付けの他にもメインの仕事を行うことが多いため、着付けができれば資格不問であることがほとんどです。

着付け師の給料・年収

着付け師だけで食べていくのは難しい

着付け師は、着付けだけで食べていくだけの収入を得るのは難しい仕事です。
そのため、着付け師の多くはヘアカットやヘアメイクも一緒に手がけていたりします。

美容院や写真館、呉服屋、結婚式場などに正社員として勤務している人の場合、固定の月収に技術料が上乗せされて支払われるのが一般的です。

成人式や卒業式シーズンなど繁忙期のみ稼働する着付けスタッフの場合は、半日で2万円前後の収入になるようですが、需要が限定的で募集も少ないのが実情です。

大手教室で教鞭をとる着付け教室の講師は授業数で収入が決まり、1コマ当たり、2000円前後が平均です。

着付け師の現状と将来性・今後の見通し

和装ブームで外国人への需要が拡大

現代社会において日常的に和服を着ることはめっきり減ってしまいましたが、特別な場には着物で臨みたいと考える女性は多いです。

しかしその一方自分で着付けができる人は少なく、着付け師の需要は今後もあると考えてよいでしょう。

また、近年では海外の和装ブームから外国人観光客向けに着付けをする会社も増えてきており、新たなビジネスチャンスが広がっています。

一度スキルを手に入れれば結婚・出産後も働けるといった点でもメリットがあるため、今後も着付け師を目指す女性は増えていくことでしょう。

着付け師の就職先・活躍の場

和装を扱うさまざまな場所

着付け師は、和装を扱うさまざまな場所で活躍しています。

なかでも着付け師が多く活躍しているのは、美容院や写真館です。

ここでは人生の節目や記念写真を撮る人のために着付けを行います。

また、和装を扱う呉服店や百貨店などの着物売り場で活躍する人もいて、こちらはお客様に対し、さまざまな商品を勧め販売しながら、和装を行います。

さらに、結婚式場でも着付け師は働いています。

結婚式場を利用する新郎新婦やその家族、参加する方のために着付けを行います。

また、着付け教室などで教鞭をとり新人を指導する着付け師もいます。

着付け師の1日

朝が早いところがほとんど

着付け師の一日のスケジュールは、勤務先によってさまざまです。
ただし、写真撮影や結婚式など、予定の時間に着付けを間に合わせなければならないため、朝は早いところが多いようです。

ここでは、結婚式場で着付けをしている着付け師を例にご紹介します。

7:00 出勤
スタッフとその日の式の流れや着付けの時間を確認し、下準備をします。

8:00 着付け開始
基本的には式場内の着替え室で行いますが、ときには出張することもあります。
新郎新婦だけでなく、結婚式に来られた親族や友人の着付けを行うこともあります。

10:00 すべての着付け終了
すべての作業が終わり、新郎新婦を送り出します。

12:00 休憩

14:00 午後からの式に向けて2組目の着付け開始

16:00 午後着付けの終了

17:00 帰宅
場合によっては式の最中お直しのためスタッフとして参加し、残業することもあります。

着付け師のやりがい、楽しさ

人生の特別なときを彩る仕事

和装を普段から嗜んでいる人はほとんどいません。

現在和装に触れる機会は、成人式や卒業式、結婚式など、人生の節目ばかりです。

そうしたお客様の大切なときに彩りを添えることができるのが、着付け師の仕事です。

どんなに大変な仕事でも、着付けをしたあとお客さまがぱっと笑顔になり、うれしそうにしているのを見ると、こちらも本当にうれしくなります。

また、「着崩れもなく一日過ごせました」「きれいに着付けていただいてうれしかった」などと、お客さまから感謝の言葉をいただくと、着付け師としたやりがいを感じます。

着付け師のつらいこと、大変なこと

失敗の許されない仕事

失敗の許されない仕事

着付け師に向いている人・適性

細やかな心遣いができ、体力のある人

着付け師には着物を着る人を最も美しく見せる完璧な着付けを行う技術が求められますが、それだけでは良い着付け師ということはできません。

完璧な着付けを追求し、ハレの日を彩る細やかな心遣いができる人に向いているでしょう。

さらに着付けの場は慶事から弔事まで多岐にわたるため、その場や相手に応じた適切な判断や振る舞いも必要不可欠です。

また着付けには力仕事が数多くあり体力勝負な一面もあります。

一日に何人も着付けするような職場では体力も求められます。

着付け師志望動機・目指すきっかけ

和服の良さを広く伝えたい

普段和装にまったく親しみのない人が、突然着付け師になりたいと思うことはほとんどないでしょう。

もともと和装が好きだったという人が多く、「和装をもっとたくさんの人に楽しんでほしい」「和服の良さを伝えたい」といった思いから着付け師を目指す人が多いようです。

また、成人式や卒業式の際に自分で和装をしたり、結婚式で花嫁が和装をしているのを見たりして魅力を感じ、もっと和装をしたみたい、極めてみたいと着付け師になる人もいるようです。

着付け師の雇用形態・働き方

繁忙期にはアルバイトやパートも

美容室や写真館、結婚式場などに努めている着付け師の場合は、多くが正社員として働いています。

なかには着付け以外にも、洋装のフィッティングをしたり、ヘアカットやヘアメイクをしたりと、さまざまな仕事を並行して行っている人もいます。

着付けの依頼は土日や祝日はもちろんですが、成人式・卒業式シーズンなどは予約が一気に集中し人手が足りなくなります。

こうした繁忙期には多くの美容院や写真館でパートやアルバイト、派遣社員、繁忙期限定スタッフが募集されます。

着付け師の勤務時間・休日・生活

早朝出勤が多い仕事

さまざまな場所で活躍する着付け師ですが、着付けの依頼はイベントの開始時間に合わせ午前中にされることが非常に多いため、早朝出勤になる場合が多くなります。

場合によっては遠方の現場や依頼者の自宅に直接出向くこともあり、かなり早い時間に起床することも珍しくありません。

繁忙期は残業も多く、拘束時間が長くなりがちです。

一方、着付け教室の講師として雇われている場合は受け持ちの授業に間に合うように出勤、終了後は退勤となり、比較的拘束時間は少ないといえるでしょう。

着付け師の求人・就職状況・需要

着付け師のみの求人は少ない

着付け師の働き方はさまざまで、美容院や写真館、呉服屋、結婚式場などで正社員として働く形もあれば、着付けスタッフとして成人式や卒業式シーズンなどの繁忙期に限って依頼先に出向き、着付けを行う形もあります。

こうした着付けができる人向けの求人は比較的豊富にありますが、理美容師の免許やメイクアップアーティストの資格などを必須としているものが多く、着付けがメイン業務とならない場合も多いのが実情です。

着付けを専門に行いたいのであれば、着付け教室の講師として働くがおすすめです。

着付け師の転職状況・未経験採用

着付け以外にもさまざまなスキルが必要

着付け師として活躍するためには、着付け以外にもさまざまなスキルが必要とされます。

メイクやヘアスタイルのアレンジなどの美容技術を必須とする求人が多く、異業種から着付け師を目指すのは難しいといえるでしょう。

ただし、もともと理美容やヘアメイクのスキルがある人が、スキルアップを目指し着付けを学ぶというケースは多いようです。

まったくの未経験から転職で着付け師を目指す場合は、着付け教室で一から勉強し、理美容の技術なども勉強するぐらいの覚悟が必要です。