Webデザイナーの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
さまざまなWebサイトの「見た目」部分の制作に携わるなど、重要な役割を担っています。
ここでは、そんなWebデザイナーの仕事内容や活躍の場、求められるスキルなどについてまとめています。
Webデザイナーと似た要素をもつ職業との違いについても紹介していますので、キャリアを考えていく参考にしてください。
Webデザイナーの仕事とは
Webデザイナーは、Webサイトを制作する人のことです。
制作工程のなかでも「ページの見た目をデザインすること」を主な業務としています。
Webサイトの目的やコンセプトにあわせて、テキストやバナー、写真、図表などを配置したり、色の使い方やレイアウトを考えて調整したりします。
また、HTML/CSSやJavaScriptなどを使った「コーディング」まで行うことも多いです。
Webデザインでは、単なる見栄えのよさを追求するだけではなく、Webサイトがユーザーにとって使いやすいものであるかや、サイトの目的をきちんと実現できているかどうかが重視されます。
たとえば、ECサイトでは「そのサイトを通じて、売上をアップさせること」が大事な目的となってきます。
その目的を叶えるデザインをすることが、Webデザイナーには求められてくるのです。
Webデザイナーは、デザインによって、クライアントがサイトに求める効果を生み出すために仕事をします。
なお、Web業界は、流行の表現や制作で使用する技術の変化が激しいため、Webデザイナーは常に勉強し、スキルを磨き続けることが大切です。
Webデザイナーの業務の内容
以下では、Webデザイナーの業務内容を、大きく3つに分けて紹介していきます。
業務1.Webデザイン設計
ホームページを作る際には、その内容となるコンテンツ(文章など)の設計とは別に、デザインの設計が必要です。
デザインの設計では、まず大まかな画面の割付を決める「ワイヤーフレーム」、色やテキスト、素材を画像として作成する「モックアップ」、WebページとしてHTMLやCSSなどで仮にページを作成する「プロトタイプ」を作成します。
クライアントの意向をヒアリングによって引き出し、「Webディレクター」の指示や助言を受けながら、目的を実現するためのデザインを作成することがWebデザイナーの中心的な業務です。
業務2.素材作成
Webデザインをするうえで、手持ちの素材だけではイメージしているようなサイトが作れない場合があります。
その際には、Webデザイナーが素材の作成も行います。
たとえば、商品や景色、人物などの写真を撮影・加工したり、素材を組み合わせたり、自分で図や表、イラストなどを描く場合もあります。
ロゴやバナー、イメージ画像などの素材の質や統一感にこだわることは、制作物の質を高めるためにも重要な業務です。
業務3.コーディング
Webデザイナーの業務は、基本的に見た目を調整していくデザイン部分です。
ただし、「コーダー」と呼ばれるコーディング専門の職種が配置されていない職場では、Webデザイナーがコーディングも行います。
コーディングとは、HTMLやCSS、JavaScriptなどを用いて、Webサーバーで表示されるページを作成することを意味します。
コーディングの分野は、プログラミングに関連する専門知識や技術が求められてきます。
また、高度なフロントエンド(表示される画面)の開発においては、ネットワークやプログラミング、ユーザーインターフェース(UI)など、より幅広い知識が必要になってきます。
Webデザインからコーディングまで、まとめて仕事をする人は「Web制作者」と呼ぶこともあります。
Webデザイナーの役割
通常、Webサイトは一人だけで作られるものではありません。
多くの場合は制作チームを組み、Webデザイナーは「Webディレクター」や制作チームの管理者の指示を受けて、デザイン業務を担当します。
チームにおいて、基本的にWebデザイナーはフロントエンドのデザインを担当します。
フロントエンドでも、「無限スクロール」や「ハンバーガーメニュー」といわれるパーツの実装は別のエンジニアが担当することも多いですが、勤務先や案件によって、Webデザイナーの業務範囲はさまざまです。
いずれにしても、Webデザイナーの担当部分は、ホームページの顔ともいえ、サイトの第一印象を大きく左右します。
Webデザイナーは、クライアントの意向をよく理解し、目的達成のためのデザインを検討しなくてはなりません。
また、Webサービスでは、使いやすさがデザイン面で大きく左右されるため、「UI(User Interface)」についても専門的な知識をもって画面を設計することが求められます。
あわせて、「ユーザーがWebサイトを通じて得られる体験」を意味する「UX(User Experience)」についての理解も重視されます。
Webデザイナーの勤務先の種類
Webデザイナーは、Web制作会社やWebサービスの企画・運営会社など、いわゆる「Web業界」の企業を中心に活躍します。
また、Web業界以外でも、自社でWebサイトやWebサービスを手掛ける企業は増えているため、活躍の場は広がっています。
制作チームの分業体制がしっかりしているWeb制作会社では、Webデザイナーは基本的にデザインや素材の作成がメインです。
しかし、Web系の企業以外では、WebデザイナーはWeb制作の専門家と見られることも多く、デザインのみならずコーディングやSEO、企画・運用などまで広く求められることもあります。
熟練したWebデザイナーのなかには、独立して自分の制作会社を作ったり、フリーランスとして働いたりする人もいます。
勤務先によって働くスタイルや待遇、担当する案件の種類が違ってくるため、自分に合った会社や働き方を選ぶことが大切です。
Webデザイナーの仕事の流れ
ここでは、クライアントから依頼を受けてWebサイトを制作する際の、Webデザイナーの仕事の大まかな流れを説明します。
ただし、実際には、プロジェクトの内容や参加メンバーによっても担当業務や進め方は若干変わってきます。
-
1.チーム結成・キックオフミーティング
クライアントからWebサイトに関連する案件を受注すると、まずは制作チームが組まれます。関係者が集い、プロジェクト開始を宣言し、プロジェクトの目的やゴールなどを確認するキックオフミーティングを開催します。
-
2.ヒアリング
チームにおいて、Webデザイナーはまずクライアントにヒアリングを行い、ターゲットやイメージカラーの有無など制作に必要な情報を集めます。 -
3.ワイヤーフレーム作成
ヒアリング内容や仕様書の情報をもとに、ホームページの骨格となる「ワイヤーフレーム」を作成します。ワイヤーフレームは、トップページや上層ページ、下層ページ、モバイル用のページと種類別に作ります。
-
4.モックアップ作成
その後、画像作成ソフトで実際の画面イメージを示す「モックアップ」を作成し、クライアントに確認してもらいます。このとき、不足している素材があれば自分で作成または調達します。
-
5.コーディング
モックアップのOKが出たら、次はコーディング作業です。コーダーが別にいる場合は、Webデザイナーはコーディングは行わない場合もあります。まず「プロトタイプ」と呼ばれるバージョンを作成し、Webブラウザで表示して使いやすさや見えやすさ、発色などをチェックします。
プロトタイプの確認後、完成版を作成してWebサーバーにアップロードし、クライアントからOKが出れば制作完了です。
Webサイト制作に関わる職種
Webサイト制作に関わる職種は多くあります。
ただ、それぞれメインの業務は決まっていても、必ずしも明確に線引きがなされているわけではありません。
たとえば、Webデザイナーが簡単なプログラミングをすることや、ディレクターのようにクライアントとWebサイトの方向性について話し合うこともあり得ます。
そのため、職種ごとの主な仕事内容を理解しつつ、関連する分野の知識・スキルを積極的に学んでおくと、活躍の幅が広がります。
ここでは、Web制作の仕事を「上流工程」「下流工程」の2種類に分けて、それぞれに該当する職種を紹介していきます。
上流工程を担当する職種
Web制作において、クライアントとの打ち合わせや企画を行い、Webサイトを制作するために必要な情報を集め、指示書(仕様書)にまとめるのが「上流工程」です。
上流工程では、まず制作の流れを熟知している必要があります。
クライアントに対する価値を生み出す最も重要な役割を担うため、経験や実績のある人が担当するのが一般的です。
- Webプロデューサー
- Webディレクター
- Webプランナー
- Webマーケター
それぞれについて、詳しく説明します。
Webプロデューサー
Webプロデューサーは、Webサイトを通してどのような企画を行い、クライアントに対する価値を提供するかを構想し、制作案件としてまとめます。
Webそのものの知識だけでなく、マーケティングやプロモーション、予算管理やプロジェクト管理など、ビジネスに関する幅広い知識とスキルが要求され、Web業界で最も難しい職種のひとつです。
プロジェクトの総合的な責任者となる人をWebプロデューサーと呼ぶこともしばしばあります。
Webディレクター
Webディレクターは、Web制作の現場監督のような役割です。
案件に必要な人員の割り振りやスケジュール管理、制作したサイトの監修などを担当します。
案件管理だけでなく、クライアントやプロデューサーとの報告・連絡・相談なども担う、大事な役割です。
Webプランナー
Webプランナーは、Webサイトの企画を立てる人のことです。
クライアントの要望やニーズをヒアリングし、Webサイトの目的やコンセプトをまとめ、現場の制作チームに伝えます。
Webマーケター
Webマーケターとは、Web業界におけるマーケティングの専門家です。
WebディレクターやWebプランナーなどと一緒に、マーケティングの観点から数字やデータを分析しつつWebサイトの企画を立てていきます。
Webサイトへのアクセスを伸ばすために、SEOの施策を検討したり、どのような媒体に広告を出稿すればよいのかといったことも考えます。
TwitterやInstagramなどのSNSを活用したマーケティングも、Webマーケターが担当するのが一般的です。
下流工程を担当する職種
Web制作において、上流工程のスタッフが作成した指示書をもとに、実際にWebサイトの制作を行うのが「下流工程」です。
いわゆるクリエイターとしての役割を担い、各クリエイターが、自身の強みや専門スキルを発揮しながら質の高い制作物を作り上げていきます。
ときには他のクリエイターと協力・調整するべき部分もありますし、製作者の立場から、ディレクターを通してクライアントに提案や要求を行う場合もあります。
それぞれについて、詳しく説明します。
Webデザイナー
Webデザイナーは、Webサイトのページデザイン、画面のレイアウト作成や素材作りなどをおもに担当します。
Web制作の実務で中心的になる職種でもあり、関連分野も広く、さまざまな技術を修得している人も多いです。
コーダー
コーダーとは、Webデザイナーが制作したデザインをもとに、「コーディング」と呼ばれる作業を行っていく人です。
実際にWebサイトの動きを作っていく役割を担います。
HTMLやCSSだけを担当するコーダーは減ってきており、最近では、WebデザインやJavaScriptを用いたフロントエンド開発ができるコーダーが主流になっています。
Webプログラマー
Webプログラマーは、Web上で動作するプログラムを作成し、Webサイトにさまざまな表現手段やサービスを実装します。
JavaScriptを主に使うフロントエンド部分は、Webデザイナーやコーダーが兼務することもあります。
一方、PHPやPerlなどを使うサーバーサイドの部分については、専門知識・スキルを備えたプログラマーが実装することが多いです。
Webライター
Webライターとは、企業メディアなどに掲載する文章・記事を作成する人のことです。
一般的な文章力はもちろん、ユーザー視点での読みやすさ、SEO、セールスライティングを意識した記事を書くための知識が必要になってきます。
Webデザイナーと関連した職業
ここでは、Webデザイナーと同様にデザイン領域を専門とする「グラフィックデザイナー」と、Webの世界で専門技術を発揮して活躍する「Webプログラマー」をピックアップします。
それぞれ、Webデザイナーとの仕事の違いを知るのに参考にしてください。
Webデザイナーとグラフィックデザイナーの違い
Webデザイナーは、同じデザイン業である「グラフィックデザイナー」とは技術的に重なる部分が多いです。
しかし、WebデザイナーはWeb媒体、グラフィックデザイナーは紙媒体をメインで扱うことが、両者の大きな違いといえます。
関わる媒体の違いから、求められる知識やスキルにも違いがあります。
ただし、いまは広告手段が多様化している事情もあり、両方のスキルをもってさまざまな方面で活躍しているデザイナーも多いです。
WebデザイナーとWebプログラマーの違い
「Webデザイナー」と「Webプログラマー」は、しばしば同じチームの中で制作に携わります。
どちらもWebサイトの制作に関わるという点では共通していますが、Webデザイナーは主にデザインを、Webプログラマーは裏側で動くプログラムの実装を担当します。
企業の規模によっては、どちらの職種もコーディングを担当するケースがあります。
「Webデザイナーの仕事」まとめ
Webデザイナーは、Webサイト制作の際の「見た目」を設計していく職業です。
単に美しく、見た目がきれいなサイトを作るだけではなく、ユーザーにとって使いやすく、サイトの目的を実現するデザインをつくりあげていく力が求められます。
Webサイト制作はプロジェクトを組んで分業で行われることが多いため、他のメンバーとの連携や協力も重要です。