高卒で市役所職員になるには? 試験内容や初任給についても解説
市役所職員になるためには、どうすればいいのでしょうか。
また、初任給はどのくらいなのでしょうか。
この記事では、高卒から公務員になる場合のルートや待遇、給与体系について解説します。
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高卒で市役所職員になるには採用試験を受ける
市役所職員は、一般行政職である「事務系」と専門知識を活かす「技術系」に分かれます。
どちらを目指すにしても、各市役所の採用試験に合格することが必要です。
市役所職員採用試験は、難易度によって「上級」「中級」「初級」に区分され、高卒で応募する場合、通常「初級」試験を受験します。
初級試験(高校卒業程度)の年齢制限に注意
高校卒業程度の「初級試験」を受験する場合、年齢制限にも注意が必要です。
自治体によって異なりますが、初級試験では「17歳~20歳」程度の年齢要件が多いです。
卒業後すぐなら問題ないですが、数年経過してから受験する場合や民間企業経験後の場合、年齢制限を超えてしまう可能性があります。
その際は、短大卒業程度の「中級試験」や大学卒業程度の「上級試験」が選択肢となります。
上級試験は年齢幅が広い傾向があり、「22歳〜30歳」程度の範囲で受験可能ですが、難易度が高いため専門学校や予備校での学習が重要です。
初級試験(高校卒業程度)の試験内容と競争率
初級試験では、主に「教養試験」「作文」「面接」などが一般的な試験内容として課されます。
教養試験では、国語、社会、数学など多岐にわたる科目の「一般知識」が問われます。
また、数的推理や文章理解などの「一般知能」も試されます。
作文では、適切な表現や論理的な構成能力が求められ、コミュニケーションスキルや表現力が評価されます。
面接では、個別の職務に関する質問や意欲、適性を探る質問が行われます。
この段階では人物評価が重要な要素となります。
ただし、試験の難易度や競争率は自治体や年度によって大きく異なります。
例として、ここでは札幌市と熊本市の2022年度の試験結果を見てみましょう。
札幌市 5.9倍
熊本市 4.7倍
札幌市 3.7倍
熊本市 2.0倍
このように札幌市と熊本市を比較すると、同じ年度であっても最終競争率には差があります。
なお、事務系の職種は多くの自治体で毎年募集が出されていますが、技術系の職種は自治体や年度によっては募集がないこともあるので注意が必要です。
高卒の市役所職員の初任給は平均15~16万円
高卒で市役所職員になったときの初任給についても確認しておきましょう。
札幌市と熊本市における、事務系職員の初任給は以下のとおりです。
高卒 182,700 円
大卒 206,596円
高卒 159,300円
大卒 193,500円
このように、市役所職員の初任給は、各市の民間企業の給与水準を参考にして設定されており、そのため市によって給料格差が生じています。
人事院や総務省のデータを見ても、1年目高卒公務員の基本給が約15~16万円に対し、同じ1年目であっても大卒者の基本給は約18~19万円となっています。
高卒:154,303円
大卒:186,350円
人事院『R.4国家公務員給与等実態調査の結果/第7表』
特に高卒の職員の初任給は、大卒に比べて3万〜4万円ほど低く設定されていることが一般的です。
初任給は高卒の場合でも必ずしも高額ではありませんが、その後の給与は基本的に勤続年数に応じて増えていく仕組みで、定年近くになると年収700万円を超えることもあります。
なお、大卒は高卒よりも初任給が高い傾向がありますが、高卒が新卒で入庁してからの年数が多くなることから、高卒も長期間勤務することで給与が上昇し、生涯賃金を考えると大差がなくなることがあります。
高卒の場合、初任給は大卒よりも低いことが多いですが、長期間の勤務によって給与が年々増加していくため、生涯賃金で見た場合、大卒との差が縮まっていくのです。
こうした安定した給与面に加え、充実した手当や福利厚生、ワークライフバランスの取りやすさなど、公務員としての働き方や待遇も魅力です。
高卒からでも出世はできる?
高卒で公務員になった場合、課長級以上の役職に出世することは難しいことが一般的です。
公務員の出世や昇進は、学歴や試験の難易度だけでなく、経験や業績、人間関係など多くの要因が影響します。
大卒と比較した場合、高卒公務員の出世には限定されることが多いです。
大卒の方が上位の役職に就くことが多いのは、一般的に学術的な知識や専門的なスキルが求められる役職において、大学教育を受けた人材が優位に立つことが影響しています。
ただし、学歴だけが出世に影響するわけではなく、実務での実績やスキルも重要なポイントで、高卒から役職についているひとも大勢います。
高卒で市役所職員になるには?のまとめ
高卒で市役所職員を目指す際は採用試験をクリアし、専門知識や実務力を身につけることがポイントです。
初任給は市によって異なり、各地で差がありますが、経験を積むと生涯賃金は大卒とさほど変わりありません。
高卒の学歴は出世に影響があることも多いですが、実務経験を積んで役職に就く人もいます。