精神保健福祉士国家試験の難易度・合格率

精神保健福祉士資格とは

精神保健福祉士は、厚生労働省が主管する国家資格であり、社会福祉士介護福祉士と並ぶ「3大福祉系国家資格」とされています。

資格の種類は「名称独占資格」と呼ばれるものであり、精神保健福祉士と名乗って働くためには資格が必須となりますが、生活相談などの業務自体は、資格がない人でも手掛けることが可能です。

このため、就職に際しては、大半の職場で資格取得が条件となっているものの、自治体によっては、無資格であっても、「生活相談員」として雇用されるケースもあります。

ただし、3大国家資格のいずれもない場合、代わりに社会福祉施設などでの数年単位の実務経験が求められますので、かえってハードルは高いかもしれません。

これから精神保健福祉業務に携わりたい人については、必要な精神医学などの知識を身につけるためにも、国家資格の取得を目指すことが最も望ましいでしょう。

精神保健福祉士になるには? 必要な資格は?

精神保健福祉士国家試験の受験資格

精神保健福祉士国家試験の受験資格には、学歴や職歴などに関するさまざまな条件があり、全部で11通りのルートが存在しています。

最も一般的なのは、福祉系の4年制大学で所定の課程を修了する方法であり、全ルートのなかで唯一、学校で勉強するだけで受験資格を得ることができます。

しかし、福祉系以外の大学に進んだ場合であっても、卒業後に「一般養成施設」と呼ばれる専門学校で学ぶことによって、受験資格を得ている人も大勢います。

受験資格を得る方法はかなり複雑ですので、詳細および最新の情報については、下記リンクを参照してください。

財団法人社会福祉振興・試験センター 精神保健福祉士 資格取得ルート図

精神保健福祉士国家試験の難易度・勉強時間

精神保健福祉士国家試験の合格率は、近年60%前後という比較的高い水準で推移しています。

合格率だけをみると、やさしい試験のように感じられるかもしれませんが、上述の通り、試験を受けられるのは、大学や養成施設などの卒業生だけです。

逆にいえば、専門機関で勉強した人であっても、40%は不合格になる難易度ということですので、しっかりと受験勉強に励まなければならないことは間違いありません。

勉強時間については、一概にはいえませんが、1年ほどの期間をかけて試験対策を行うケースが一般的ですが、やり方次第では、それ以下でも合格できる可能性もあります。

なお、社会福祉士の国家試験を所持していると、重複する試験科目が免除され、勉強しなければならないボリュームは半分以下になりますので、難易度はぐっと下がります。

精神保健福祉士国家試験の勉強方法

試験の合格基準

精神保健福祉士国家試験は、「精神疾患とその治療」「現代社会と福祉」といった全16科目からなる5肢択一のマークシート形式で実施され、1問1点、163点満点です。

ただし、社会福祉士資格保持者については、16科目のうち11科目が免除され、問題数も80問になります。

合格基準は2つあり、1つめは総得点において60%程度を獲得すること、2つめは全科目において1点以上得点することです。

つまり、たとえ全体で60%以上の得点があっても、0点の科目がひとつでもあると不合格となります。

試験勉強のポイント

過去問をやりこむ

精神保健福祉士国家試験に合格するためにまずすべきことは、徹底的に過去問に取り組むことです。

繰り返し演習することで、試験形式に慣れることができますし、また例年似通った問題が出題されますので、得点力アップにも直結します。

その際のポイントは、ただ5つのなかから正解を選ぶのではなく、ほかの4つの選択肢の何が間違いなのかということまで、ひとつずつ丹念にチェックしていくことです。

わからない専門用語があれば、その都度教科書や参考書などを使って調べ、自身の知識の定着を図りましょう。

模試を受けて実力を把握する

精神保健福祉士国家試験の受験生向けに、毎年数多くの全国統一模擬試験が開催されています。

それらの多くは、本番のおよそ5ヵ月ほど前、秋頃に実施されますので、その時点での自身の実力チェックには最適です。

とくに、精神保健福祉士国家試験の出題範囲は広いうえ、1科目でも0点があると不合格になってしまうという制度上、苦手分野を早期に発見してつぶしておくことは非常に重要といえます。

模試の判定結果や各科目の得点率を参考にして、各科目の勉強比率を変更したり、勉強スケジュールを調整しましょう。

科目ごとに勉強方法を変える

試験で出題される各科目によって、問題の傾向やおさえておくべきポイントなどは異なります。

たとえば「心理学理論と心理的支援」においては心理学特有の用語に関する理解が重要であり、「精神科リハビリテーション学」では入院患者数などの統計情報の暗記がカギになります。

ひとつの勉強方法に固執するのではなく、単語帳をつくったり、ノートにまとめたり、演習問題をひたすら解いたりと、各科目ごとにさまざまな勉強方法を試してみることも有効かもしれません。

自分だけで対策することが難しいと感じるなら、大学や養成施設の担当講師に積極的にアドバイスを求めるとよいでしょう。

精神保健福祉士国家試験の受験者数・合格率

精神保健福祉士国家試験受験者数の推移

精神保健福祉士国家試験の受験者数は、7,000人前後を推移しています。令和5年度の受験者数は、前年度より若干減少し6,978人となりました。

精神保健福祉士国家試験受験者数_令5

精神保健福祉士国家試験合格率の推移

精神保健福祉士国家試験の合格率は、例年60%前後を推移しています。令和5年度の合格率は70.4%となりました。

精神保健福祉士国家試験合格率_令5

令和5年度 精神保健福祉士国家試験 合格者の男女比

令和5年度の精神保健福祉士国家試験の男女別合格者数は、男性1,482人、女性3,429人で、比率にすると男性30.2%、女性69.8%となっています。

精神保健福祉士国家試験合格者男女比率_令5

令和5年度 精神保健福祉士国家試験 受験資格別合格者数

令和5年度の精神保健福祉士国家試験の受験資格別合格者数は、養成施設卒業者が3,227人、保健福祉系大学等卒業者が1,684人となっています。

精神保健福祉士国家試験受験資格別合格者数_令5

令和5年度 精神保健福祉士国家試験 年齢別の合格者数

令和5年度の精神保健福祉士国家試験年齢別の合格者数は、30歳以下が1,898人で最も多くなっています。31歳〜40歳は835人、41歳〜50歳は1,183人、51歳〜60歳は793人となっています。

精神保健福祉士国家試験年齢別合格者数_令5

令和6年度 精神保健福祉士国家試験の概要

試験日 令和7年2月1日(土曜日)、2日(日曜日)
申込書受付 令和6年9月5日(木曜日)から10月4日(金曜日)(消印有効)まで
試験地 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県
受験資格 1.4年制大学で指定科目を修めて卒業した方(令和7年3月31日までに卒業見込みの方を含みます。)
2.2年制(又は3年制)短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(又は1年以上)相談援助の業務に従事した方(令和7年3月31日までに従事する見込みの方を含みます。)
3.精神保健福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した方(令和7年3月31日までに卒業(修了)見込みの方を含みます。)
4.精神保健福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した方(令和7年3月31日までに卒業(修了)見込みの方を含みます。)
試験科目 精神医学と精神医療、 現代の精神保健の課題と支援、精神保健福祉の原理、ソーシャルワークの理論と方法(専門)、精神障害リハビリテーション論、精神保健福祉制度論、医学概論、心理学と心理的支援、社会学と社会システム、社会福祉の原理と政策、社会保障、権利擁護を支える法制度、地域福祉と包括的支援体制、障害者福祉、刑事司法と福祉、ソーシャルワークの基盤と専門職、ソーシャルワークの理論と方法、社会福祉調査の基礎
合格基準 1 問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
2 1を満たした者のうち、試験科目9科目群(ただし、(注意2)に該当する者にあっては、5科目群。)の各科目群すべてにおいて得点があった者。
[1] 精神医学と精神医療
[2] 現代の精神保健の課題と支援
[3] 精神保健福祉の原理
[4] ソーシャルワークの理論と方法(専門)
[5] 精神障害リハビリテーション論、精神保健福祉制度論
[6] 医学概論、心理学と心理的支援、社会学と社会システム
[7] 社会福祉の原理と政策、社会保障、権利擁護を支える法制度
[8] 地域福祉と包括的支援体制、障害者福祉、刑事司法と福祉
[9] ソーシャルワークの基盤と専門職、ソーシャルワークの理論と方法、社会福祉調査の基礎

(注意1)配点は、1問1点の132点満点である。
(注意2)精神保健福祉士法施行規則第6条の規定による試験科目の一部免除を受けた受験者にあっては、配点は、1問1点の48点満点である。

合格率 70.4%(令和5年度)
合格発表 令和7年3月4日(火曜日)
受験料 ・精神保健福祉士のみ受験する場合:24,140円
・精神保健福祉士と社会福祉士を同時に受験する場合:36,360円(=精神19,520円+社会16,840円)
・精神保健福祉士の共通科目を免除して受験する場合:18,820円
詳細情報 社会福祉振興・試験センター