精神保健福祉士に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介

精神保健福祉士に向いている性格・適性

相手の立場を思いやれる人

精神保健福祉士が業務を行ううえで最も必要になるのは、相手の難しい立場や痛みを理解できる優しさです。

精神障がいは、一般的な障がいとは事情が異なり、どうして自分がこんな状況に置かれてしまったのか、自覚症状がない人も少なくありません。

精神病院などでは、本人の同意を得ないまま入院させることもあるため、患者によっては、家族からも社会からも見放されたような気持ちになり、強い孤独感に苛まれるケースも見られます。

そうした混乱状況のなか、医師看護師のように治療を行うのではなく、あくまでよき相談相手として寄り添う精神保健福祉士は、患者にとって大きな心の支えとなります。

ときには厳しい言葉をぶつけられたり、反対に何も口を聞いてくれないこともあるかもしれませんが、精神保健福祉士は、どんな患者に対しても、温かい心で思いやりを持って接することが求められます。

人付き合いが得意な人

精神保健福祉士は、小さな子どもからお年寄りまで、幅広い年齢層の患者の相談に応じます。

患者の性格やこれまでの生活環境、趣味嗜好、抱える症状などもさまざまであるため、精神保健福祉士は、誰とでも仲良くなれる、コミュニケーション能力の高い人が向いているでしょう。

また、精神保健福祉士には分野をまたいだ数多くの職場がありますが、どこで働くにしても、ほかのスタッフや地域の各施設との連携が欠かせません。

常日頃から密に連絡を取り合い、人間関係を構築しておけば、スムーズに仕事を進めることができます。

日常生活においても、友人が多い・複数のコミュニティに所属しているなど、社交性があって人付き合いが得意な人は、精神保健福祉士の適性があるでしょう。

客観的に自分を見つめられる人

精神保健福祉士には、患者の前に立ちはだかる困難をどうにかして解決したいという熱い気持ちももちろん大切ですが、かといって熱くなりすぎるのも問題です。

障がい者だからといって、身の回りのことを何から何までお世話するのでは、「障がい者の自立」という目的にそぐわなくなりますし、何より本人のためになりません。

障がい者を特別視し、変に気を遣いすぎることは、端的にいえば「逆差別」であり、偏見を助長することにつながる可能性もあります。

前のめりになりすぎてもいけないし、冷めすぎてもいけないというのは、非常に難しいことではありますが、自分を客観的に見つめ、バランス感覚を保てる人は精神保健福祉士に向いているでしょう。

たとえば医療施設においても、治療を担当するのではなく、一歩引いた視点から状況を俯瞰的に見つめる精神保健福祉士だからこそ、気づけることもあるはずです。

精神保健福祉士になるには? 必要な資格は?

精神保健福祉士に必要なスキル・能力

注意力

精神保健福祉士は、面談や日常訓練プログラムを行うなかで、病気のことから世間話まで、患者とさまざまな会話をして、そのなかから個々が抱える問題の解決に必要な糸口を見つけ出します。

そのためには、相手の話に真剣に耳を傾けつつ、些細な表情の変化やしぐさを見逃さない注意力が必要になります。

精神障がい者のなかには、自分の意思を表現することが苦手な人もよく見受けられますので、患者から発せられるわずかなサインに気づけるかどうかは、精神保健福祉士の仕事にとって非常に重要です。

忍耐力

精神障がいは、一朝一夕ですぐ治るようなものではなく、日によって良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に改善に向かっていくケースがほとんどです。

また、生活面の問題や経済的な問題など、本人や家族が抱えるさまざまな悩みも、解決までに長い時間がかかることも決して少なくありません。

このため、粘り強く課題解決に向けて取り組んでいける忍耐力や根気強さがあることも、精神保健福祉士にとって大切な資質のひとつといえます。

精神保健福祉士に向いていないのはどんな人?

自分の意見を通したい人

精神保健福祉士は、まず精神障がい者や家族の意向を汲み取って、当事者が求めるそれぞれのゴールにたどり着けるようにサポートすることが役割です。

このため、どんなときであっても、基本的に優先されるべきは相手の意見であり、自分の意見を通したいという我の強い人には不向きといえます。

相手の意向を聴取するところまでは同じでも、自分が「これがいい」と感じたものを他人におすすめしたいという人は、精神保健福祉士などの福祉職ではなく、一般企業の営業職のほうが向いているでしょう。

経済的に成功したい人

現状、精神保健福祉士はそこまで高給が得られる職業とはいえません。

国家資格が必要になる専門職であり、また活躍できるフィールドも幅広くあるものの、自身の知識やスキルをどれだけ高めても、またどんな職場を選んだとしても、一般人の2倍も3倍も稼ぐことは難しいでしょう。

やりがい、安定性、社会的意義など、仕事に何を求めるかは人それぞれであり、何が正しいというわけでもありませんが、経済的成功を望む人は精神保健福祉士にはあまり向いていないかもしれません。