精神保健福祉士の「短期養成施設」「一般養成施設」とは?
目次
精神保健福祉士の養成施設とは
精神保健福祉士として働くには、国家試験を受けて資格を取得することが必要です。
しかし、この試験は誰でも受けられるわけではなく、まず受験資格を満たさなくてはなりません。
受験資格を得るためのルートは、学歴に関するものや職歴に関するものなど複数ありますが、その多くは「養成施設」と呼ばれる特別な学校で一定期間以上学習することが条件とされています。
養成施設は大きく「短期養成施設」と「一般養成施設」の2種類があり、それぞれに入学できる条件や、受験資格を得るまでの期間などが異なります。
近年は、国家試験を受験する人のおよそ6割をこの養成施設出身者が占めており、養成施設は、精神保健福祉士を目指す人の多くが通る道となっています。
以下では、それぞれの施設の違いなどについて、比較しながら紹介します。
精神保健福祉士の短期養成施設
短期養成施設に入学するためには、高校卒業後に福祉系の大学や短大などに進学して、厚生労働省の指定する「基礎科目」と呼ばれるカリキュラムを履修することが条件です。
4年制大学の場合、卒業後すぐに短期養成施設に入学できますが、短大など学習期間が4年に満たない場合は、学習期間と通算して4年に達するまで、現場で相談援助実務を経験しなければなりません。
短期養成施設においては、入学時点で、すでに福祉職に必要なある程度の基礎知識は身につけているものとみなされます。
このため、精神保健福祉士に求められる精神医学や精神障がい福祉などについての専門知識を、集中的に学習します。
短期養成施設で6ヵ月以上学び、所定の課程を修了すると、国家試験の受験資格が得られます。
精神保健福祉士の一般養成施設
一般養成施設に入学する条件は、短期養成施設よりも緩めです。
福祉系以外の一般の4年制大学を卒業した人や、現場で相談援助実務を4年以上経験した人など、さまざまな人が入学対象となります。
このため、一般養成施設では、精神保健福祉士として働くうえで必要になる知識をゼロから学べるカリキュラムが組まれています。
「共通科目」と呼ばれる医学や福祉に関する基礎科目から、「専門科目」と呼ばれる精神保健福祉の専門分野まで、多くの授業を受けて幅広い知識を身につけます。
一般養成施設において1年以上学び、所定の課程を修了すると国家試験を受けられるようになります。
ただし、学校によっては、よりしっかりしたスキルを身につけるために、1年6ヵ月~1年11ヵ月ほどの長期プログラムが組まれているケースも珍しくありません。
通信制の養成施設
短期養成施設や一般養成施設のなかには、通学制コースだけでなく、通信制のコースが設けられている学校も数多くあります。
通信制の場合、基本的に自宅で勉強し、Web視聴やレポート提出によって学習を進めるというスタイルとなりますので、日中に仕事がある社会人などであっても、ムリなく資格取得を目指すことが可能です。
ただし、精神保健福祉士の養成施設では、定期的に学校に通う「スクーリング」や、実際の医療施設や福祉施設における実習も実施されます。
通信制とはいえ、すべてのカリキュラムを自宅で行えるわけではないという点には、あらかじめ留意しておく必要があるでしょう。