裁判官のやりがい・楽しさ・魅力
裁判官のやりがい・楽しさ
独立が保障された立場で判決を下せる
憲法76条3項は「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と定め、これは裁判官の独立を保障する条文です。
このように裁判官の独立が保障されていることにより、裁判官は自らの良心に基づいて、法律などに照らし合わせながら判決を下すことができます。
どんなに社会的な注目を集めた重大な事案であっても、これを判断する裁判官は他人からの圧力や干渉を受けずに、自分の判断にもとづいて訴訟を進められるということです。
もちろん判決を書くにあたっては、「過去に似たような事案の先例はないか」「量刑や賠償額の相場に照らして不当でないか」といった配慮は必要です。
そして地方裁判所での裁判の場合、下された判決に不服のある当事者は「控訴」することで高等裁判所で争うこともできます。
さらに「上告」して最高裁判所で争う道も開かれていますので、当初の結論はひっくり返る可能性もありますが、「自らが最終的に判断を下すことができる」という点に誇りとやりがいを感じる裁判官は多いようです。
なお、裁判官が出した結論が控訴審や上告審でも認められれば「判例」となり、その後の裁判に大きな影響を与える重要な判例の形成に貢献できることになります。
困っている人を救済する最後の砦
民事裁判の場合であれば、「貸したお金を返してもらえない」「仕入れた品物に欠陥がある」「離婚に応じてもらえない」など、話し合いで決着がつかず困り果てた人たちが裁判所へ救いを求めてくることになります。
こういった人たちの言い分を正面から受け止めて、証拠と照らし合わせながら適切な判断を下すことで、困っている人を助けたり、一定の結論を出して決着をつけさせるのが裁判官の役目です。
裁判所は、「困りごとを救済する、すべての国民に開かれた最後の砦」といっても過言ではありません。
自らの信念にもとづき答えを導き出す
裁判官は、原告と被告の双方から出される証拠を徹底的に調べて、公平・中立な立場から最も適切と思われる解決策を探らなければいけません。
それらの審判は徹底して考え抜かれた末に出されるものですが、その結論が本当に正しいものだったのかどうかは誰にもわかりません。
法律をベースとして自らの信念にもとづき答えを導き出すことは非常に困難であり責任も大きい仕事ですが、その分大きなやりがいを感じられる仕事でもあります。
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裁判官の魅力
手厚い身分保障
裁判官は「特別職」と呼ばれる国家公務員の一つであり、民間企業とは異なりリストラなどの心配もなく安定しているといえます。
そして先ほども説明したように、裁判官は憲法76条3項において立場を保障されている職業であり、たとえば「原告側に有利な判決をしなければ減給する」などといったことはありえません。
「心身の故障のために職務を執行できない」などの場合でない限りは罷免されず、あらゆる行政機関から政治的な圧力を受けないように守られています。
高い給与水準
裁判官は「裁判官の報酬等に関する法律」によって給料が定められており、昇進に応じて段階的に昇給していく仕組みとなっています。
おもな役職者の月額報酬は「東京高等裁判所長官」が140万6,000円、「最高裁判所判事」が146万6,000円、「最高裁判所長官」が201万円と定められ、これに各種手当やボーナスが支給されます。
昇進することでさらに大きな責任がともなうことになりますが、その分高い年収が期待できる仕事です。
柔軟なスケジューリングが可能
裁判官は仕事量が多く、どれも重圧がかかる業務ばかりです。
ただし、言い換えればやるべき仕事をしっかり進められているのであれば、細かいスケジューリングは各裁判官に任されています。
個々の裁量で業務を進める場面も多く、「自分のペースで働きたい」と考える人には向いている職業だといえるでしょう。