裁判官の異動・転勤は多い?
裁判官の転勤のペース
裁判官になると、おおむね3年ごとに配属先が変わります。
具体的には、まず「判事補」として任官されたあと最初の2年半を大規模庁で勤務し、その後は3年間のサイクルを基本として中規模庁、小規模庁への異動を順番に繰り返します。
任官10年を過ぎて裁判長を務められるようになると、同じ裁判所での勤務期間が長くなる傾向になります。
通常は、3月末の年度が変わるタイミングで転勤を命じられることが多いようです。
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裁判官の転勤の範囲
裁判官の採用区分は「全国」です。
現在、全国で500か所以上の裁判所があり、「最高裁判所」は東京千代田区、その下の「高等裁判所」は札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡の8か所に置かれています。
そして高等裁判所の管轄下には「地方裁判所」「家庭裁判所」「簡易裁判所」が設置されており、裁判官はこれらすべての裁判所への配属の可能性があります。
そのため、たとえば「定年まで関東地区内でぐるぐる転勤する」というわけではなく、はじめに東京に配属されたら、次は北海道、名古屋、愛媛、神奈川…というように、全国規模であちこち配属先が変わると考えておきましょう。
配属先によって取り扱う案件の数もまちまちですが、一般的には都市部のほうが激務であるといわれていますので、公平を期す意味で、都市部と地方の交互に配属されることが多いようです。
毎年一定時期に勤務先の希望を伝える機会がありますが、全国どこへ行ってもいいように覚悟しておく必要があるでしょう。
ちなみに、転勤は定年まで続きます。
裁判官は転勤を断れる?
転勤を命じられたとしても、結婚や出産、親の介護など、私生活上どうしても転勤に応じられないというケースもあるでしょう。
その場合は事情を考慮してくれる場合もありますが、よほどの事情でないかぎりは辞令をそのまま受ける人が多いようです。
仮に人事異動に素直に応じない裁判官が続出した場合、裁判所全体の運営計画は大きく狂ってしまうことになります。
そして、これは女性の裁判官も例外ではなく、ときには配偶者や子どもと離れて暮らさなければいけないケースも考えなくてはなりません。
結婚して子どももいるような家庭の場合は、家族の理解や協力がなければ続けていくことは難しい仕事だといえるでしょう。
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裁判官が定期的に転勤する理由
このように裁判官は定期的な異動を命じられていますが、転勤をおこなうのには理由があります。
それは、1つの地域に長く居続けることによりその地域の人々と私的な交流が生まれ、それによって公平性・中立性が害されてしまうことを避けるためです。
裁判官は「人を裁く」という、公平・中立な立場でないとできない仕事を任されています。
慣れない土地で、また一からその裁判所のやり方を学んでいくのは大変なことですが、こういった地域との癒着を避けるためにも転勤は避けられません。