裁判官のつらいこと・大変なこと・苦労
裁判官のつらいこと・大変なこと
肉体的にも精神的にもハードな仕事
勤務地にもよりますが、たとえば民事事件を担当する裁判官の場合、民事訴訟のほかに破産事件や強制執行事件、さらには逮捕状などの令状の発付を担当するなど、幅広い業務をこなす必要があります。
日中はこのような業務処理に追われてしまい、判決文の起案に取り掛かるのは夕方以降、土日も裁判所で仕事をおこなうケースも珍しくありません。
そして裁判官は被告人の人生を左右する非常に責任の重い判決を下すにあたって、事件について徹底的に考え抜く必要があります。
複雑な事件の場合は過去の判例を何度も読み返しながら結論を導き出さなければならず、肉体的にも精神的にもハードな仕事です。
定期的な転勤は避けられない
裁判官は「判事補」として任官されると、幅広い経験を積むために大・中・小といった規模の違う裁判所を、新任の期間は2年半、その後は3年ごと、さらにその後は4〜5年ごとで異動していきます(ABC方式とも呼ばれます)。
育児や介護など家庭の事情について一定の配慮はありますが、裁判官という職務上、全国の裁判所に裁判官を適切に配置することや地域との癒着を避けるためにも転勤は避けられません。
参考:裁判所 裁判官の人事評価の現状と関連する裁判官人事の概況
これは女性の裁判官も同様であり、ときには子どもと離れて暮らさなければいけないケースもあるなど家族の理解や協力が欠かせません。
また、赴任地や配属される部署によって担当する職務内容も大きく異なることから、幅広い経験ができる一方、慣れない業務にストレスや負担を感じることも多いでしょう。
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裁判官の悩み
裁判官は人事評価が不透明だと言われることもあります。
人事評価は毎年実施されており、裁判官を評価するのは基本的にその裁判官の所属先の裁判所長です。
地方・家庭裁判所長のおこなった人事評価については、高等裁判所長官が調整をおこなうものとされています。
ただし、裁判官の業務の特殊性や独立性の確保の観点から、評価の具体的な内容は公開されないため、「なにを根拠としてどのように評価されているのか」という点がわかりにくくなっています。
そのため、昇進スピードや配属先などについて疑念をもつケースもあるようです。
裁判官を辞める理由で多いものは?
裁判官は、刑事裁判でも民事裁判でも人の犯罪やもめ事を取り扱う仕事であり、つねに人の人生に影響を与える責任重大な仕事です。
裁判官自身も一人の人間であり、「人間が人間を裁く」ということに違和感を持つ人も少なくないようで、その重圧に耐えきれずに辞めてしまう人もいます。
たとえば、殺人の罪を犯した疑いで検察官から死刑を求刑されている被告人がいた場合で考えてみましょう。
被告人が事件について黙秘または否認していたとしても、物的証拠や目撃証言などから「死刑相当」との心証を抱けば、裁判官は死刑の判決を書かなければいけません。
そして死刑が執行されれば、その受刑者の人生が終わります。
「自分が書いた判決によって一人の命が奪われる」こう考えると、刑事事件の裁判官は非常に大きな責任を負っているといえるでしょう。
一方、民事裁判ではどうでしょうか。
民事裁判では、たとえば「労働者が勤務先に対して未払い残業代を請求する」「離婚する夫婦が子どもの親権をめぐって対立する」など、さまざまな問題に対応することになります。
裁判の結果次第では当事者が路頭に迷ってしまう可能性も含んでおり、原告・被告にとってはまさに人生がかかっている局面です。
このようなシビアな場面でも一定の結論を出さなければならず、こういった裁判官の職責の大きさに戸惑う人は多いようです。