裁判官の階級の種類を6つ紹介 エリアに序列はある?
裁判官の種類
裁判官には、以下の6種類があります。
- 最高裁長官
- 最高裁判事
- 高裁長官
- 判事
- 判事補
- 簡裁判事
それぞれ法律で定員が決められており、最高裁長官・最高裁判事を除き、高裁長官が8人、判事が2,125人、判事補が927人、簡裁判事が806人となっています。
まず裁判官として任官されてから10年未満は「判事補」となります。
判事補は、3人以上の裁判官による「合議審」に加わることができますが、裁判長として単独で審理をおこなう「単独審」はできません。
裁判官としてのキャリアが10年以上となり「判事」として任命されることで、裁判長を務められるようになります。
ただし、判事補経験が5年以上で最高裁判所の指名を受けた者は「特例判事補」となり、こちらも単独で審理をおこなうことが可能です。
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裁判官のキャリアパス
裁判官は「判事」として任命後しばらくは、地方裁判所や家庭裁判所の合議審の右陪席と同時に単独審を担当し、さらに高等裁判所の陪席裁判官、地方・家庭裁判所の中小規模支部の支部長等を務めるのが一般的です。
そして判事任命後10年目前後から、人によっては地方・家庭裁判所の取りまとめ役であり、合議体の裁判長である「部総括」に指名されることもあります。
判事任命後20年経過後くらいからは「所長」に任命される人も出てくるようになり、さらに出世する人は「高等裁判所長官」に任命される人もいます。
なお、「高等裁判所部総括」に任命される人は、所長経験のある人がほとんどとなっているようです。
高裁長官のポストの格付け
高等裁判所長官のポストは8つあり、法的には同格であるとされるものの、東京高等裁判所長官はほかの高裁長官よりも給料が高く設定されています。
高裁長官には大まかな序列が存在しており、東京・大阪は「上位」、名古屋・広島・福岡は「中位」、仙台・札幌・高松は「下位」といった事実上の格付けがされているようです。
また、最高裁判所長官に到達するのは非常に限られたスーパーエリートであり、そのほとんどが東京大学や京都大学など日本を代表する大学を卒業していたり、卒業後も華々しい経歴を歩んできた人ばかりです。
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裁判官の人事評価制度
裁判官の人事評価は毎年実施されています。
基本的には所属先の裁判所長が人事評価をおこないますが、地方・家庭裁判所長のおこなった人事評価については、高等裁判所長官が調整をおこなうものとされています。
ただし、裁判官の業務の特殊性や独立性確保などの観点から評価内容の開示はされず、たとえば「自分のなにが悪くて出世が遅れているのかわからない」など不信感を抱くケースもあるようです。
なお、平成10年までは、人事評価をおこなう際の参考書類には「事件処理能力」(正確性、速度、法廷の処理)、「指導能力」(職員に対する指導、部の総括者としての適否)、「法律知識および教養」、「健康」、「人物性格の特徴」、「総合判定」という項目を設けた書式が用いられていました。
それらの評価形式では「視点が固定的になりがちで人物像がわかりにくい」といった理由から、平成16年4月からは裁判官の人事評価に関する規則に基づき、自由記載欄としてより具体的に評価する新しい人事評価制度が実施されています。
国民に求められる優れた裁判官を育成、適材配置するためにも人事評価は必要とされており、裁判官という特別な職種をどのように評価していくかは引き続き課題として取り組まれています。