プログラマーになるには

プログラマーになるまでの道のり

プログラマーになるための、決まりきった方法はありません。

仕事をするにあたって資格は必須ではなく、学歴や、IT業界の経験不問で採用する企業も多くあります。

そういった意味では、やる気さえあれば、誰にでも広く門戸が開かれている職業といえるでしょう。

ただし、一般的には以下のいずれかの方法で目指す人が多いです。

プログラマーを目指す一般的な道のり
  • 大学へ進学する(学部・学科はIT系に限らない)
  • IT系の専門学校でプログラミングのスキルを磨く
  • 独学でプログラミングを学ぶ(スクール、書籍などを活用)

プログラマーは、プログラミングのスキルが強く問われる職業です。

IT系の専門学校に通えば、とにかく現場で役立つ「即戦力」になるスキルを身につけられます。

一方、大手企業への就職を希望する人は、大学に進学しておくと学歴面では有利です。

ITを専門に学んだ人は優遇されるケースもありますが、IT系学部出身者以外でも、本人の意欲と適性によってはプログラマーとして採用する企業は少なくありません。

また、最近では書籍やインターネット、オンラインのプログラミングスクールなども増えており、プログラミングを学ぶ敷居は低くなっています。

自学を続ける強い心があれば、100%独学でプログラマーになることも可能です。

プログラマーになるまでのルート

プログラマーを目指す人におすすめの資格は?

プログラマーの資格

プログラマーとして働く場合は、資格よりも「現場でプログラムを組めるスキルがあるか」が重要視されます。

とはいえ、IT系の資格はたくさんあります。

資格取得のために努力すればスキルアップにつながりますし、自身のレベルを客観的に証明しやすくなるため、取得しておくに越したことはありません。

プログラマーが目指せる資格にはさまざまなものがありますが、ここでは以下の3種類を紹介します。

プログラマーの代表的な資格
  • 基本情報技術者
  • Oracle Certified Java Programmer
  • PHP技術者認定試験

上記3種類とも、試験の合格により資格が認定されます。

基本情報技術者はプログラマー全般にわたる能力を、残り2つは主要なプログラミング言語のスキルを証明する資格です。

基本情報技術者

基本情報技術者は、情報処理推進機構が実施する「情報処理技術者試験」のひとつで、ITエンジニアのベースとなる資格です。

試験は毎年4月と10月の第3日曜日に丸一日かけて行われ、午後の試験では以下の通り、プログラミング言語に関する設問も含まれます。

  • C
  • Java
  • Python
  • アセンブラ言語
  • 表計算ソフト

受験者は上記5種類のなかから、得意な言語を1つ選んで回答します。

受験料は5,700円と、比較的安価です。

試験はすべてマークシート方式で行われる一方、毎回の合格率は25%程度であり、決して簡単ではありません。

→参考:情報処理推進機構 基本情報技術者試験

Oracle Certified Java Programmer

Oracle Certified Java Programmerは、Oracle社が認定するJavaの資格です。

この資格は、以下に挙げる3つのレベルに分かれています。

  • Gold(設計者の意図を正しく理解して独力で機能実装が行えるレベル)
  • Sliver(上級者の指導のもとでJavaの開発作業を行えるレベル)
  • Bronze(Javaプログラミングの基本的な知識を有するレベル)

また、資格のレベルに加えて、Javaのバージョンごとに資格が認定されることも特徴です。

試験はピアソンVUEが運営するテストセンターで行われ、希望する日時で受験可能です。

なお受験料は、各レベルとも26,600円(税抜)となっています。

Oracle Java SE 11 認定資格

PHP技術者認定試験

Webサイトの構築をする上で主要言語となっているPHPには「PHP技術者認定試験」があります。

試験は以下の通り、2種類に分かれています。

  • PHPプログラミングの基本知識を問う「初級試験」
  • PHPの言語仕様から実用的なプログラミングテクニックまでの知識を問う「上級試験/準上級試験」

これに加えて、不定期に上級よりも上の「ウィザード試験」が行われる場合があります。

初級試験は70%正解で合格となる一方、上級試験/準上級試験は50%正解で準上級合格、70%正解で上級合格となります。

試験はオデッセイコミュニケーションズにて、希望する日時および会場を選んで受験することが可能です。

また受験料は初級が12,000円(税抜)、準上級・上級は15,000円(税抜)となっています。

参考:一般社団法人BOSS-CON JAPAN PHP技術者認定機構

スキルアップをしていくことが大切

上記に挙げる資格は、勤務先によっては従業員に対して取得が必須となっている場合もあります。

加えて、勤務先によっては社内で勉強会や研修会を開いたり、勉強にかかる費用や受験料を負担してくれたりする場合もあります。

受験料は数万円など高額となる場合も多いため、一発で合格できるように十分な準備をすべきでしょう。

プログラマーにとって、スキルアップし続けることは不可欠です。

資格の取得に向けて勉強をすることは、自分自身のレベルアップにもつながる点で有効な方法です。

プログラマーになるためにはどんな学校にいけばいい?(大学学部、専門学校、スクール)

プログラマーになるための学校の種類

プログラマーになるための学校は、大きく分けると、大学、専門学校、民間スクールの3つがあります。

それぞれの特徴は、以下の通りです。

プログラマーになるための各学校の特徴
  • 大学は、プログラミングも学ぶが、主な役割は「学問の研究」である
  • 専門学校は、プログラマーとしての実践的なスキル(技術)を中心に2~3年かけて学ぶことが多い
  • 民間スクールの学習期間は数ヵ月~1年程度で、カリキュラムがさまざま。1日当たりの講義時間は短めで、自学自習が必須

もし高校生以下で、これからITに関する幅広い専門的知識、プログラミングの技術をしっかりと習得したいのならば、大学の情報系学部やIT系専門学校が有力な進学先候補となるでしょう。

しかし、プログラマーを採用する多くの企業では「学部・学科不問」としているため、あまり気にする必要はありません。

文系からプログラマーになる人も多くいます。

しかし、大手企業のなかには大卒者のみを採用する企業もあるため、就職を踏まえた「学歴」という観点では、大学に進学するほうが有利です。

一方、勤務先にあまりこだわず早く現場に出たいと考えている人、いち早く即戦力となるスキルを身につけたい人は、専門学校に進むケースも多く見られます。

プログラマーを養成するコースを選ぶと有利になります。

学費は大学・専門学校とも、年間で100万円~200万円程度が必要になる場合が多いです。

学校に進学することはメリットも大きい

学生時代に知識・スキルの土台を固められる

プログラマーは、なるために必須となる資格や免許などはありません。

また、学歴そのものよりも、仕事としてどれだけプログラミングに触れ、自分で腕を磨いていくかが重視される世界です。

どちらかといえば現場に入ってからの勉強や努力のほうが重要ともいえ、必ず大学や専門学校に進学しなくてはならないわけではありません。

プログラマーになるための学校に通うためには、それなりの費用がかかります。

日本政策金融公庫が公表した「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」よると、年間の学費は以下の通りです。(※子ども1人当たりの費用)

  • 国立大学の場合:103.5万円
  • 私立大学文系:152.0万円
  • 私立大学理系:183.2万円
  • 専門学校:116.9万円

→参考:令和3年度 教育費負担の実態調査結果

一方で、まったく何も知らないで就職するよりも、学校でプログラマーとしての知識と技能を身につけた状態で就職するほうが、入社後に仕事を理解しやすくなるため成長も早くなるという意見もあります。

企業では、必ずしもじっくりと研修が行われるとは限りません。

しかし、学校であれば仕事を始める前に座学や実習を通じて、落ち着いて体系的に学べるためです。

プログラミングを学ばざるを得ない環境に身を置き、土台を固めることは、プログラマーを目指す上で有効な方法のひとつです。

このため、プログラマーになるために、あえて学校に通う道を選択する人も少なからずいます。

在学中に「インターンシップ」を経験できる

最近では、在学中に、提携先の企業で実際に業務を経験できる「インターンシップ」を行う学校が増えています。

プログラマーを目指す人にとっては、プログラマーが活躍する職場や実務に触れることが大きな成長のきっかけになるものです。

もしインターンシップ中に企業に気に入ってもらえれば、優先的に選考を受けられたり、入社が確約される可能性もあります。

企業側にとっても、学生の資質をじっくりチェックできる、早めに人員を確保できるなどのメリットがあるため、最近では積極的にインターンシップを取り入れる企業が増えています。

インターンシップに力を入れている学校は就職率が良い傾向にあるともいわれます。

仕事をスタートする前に資格取得にも挑戦できる

プログラマーのレベルを判断する上で、よく使われる材料としてIT系の「資格」が挙げられます。

しかし、社会人になると仕事をしながら勉強や試験を受けることは、時間的にも精神的にも難しいものがあります。

一方、とくにIT系専門学校の場合は、資格対策講座そのものが授業に組み込まれている場合もあります。

周りも資格勉強をする人が多いため、合格に向けて学習に取り組みやすく、資格を取得しやすい環境にあるといえるでしょう。

資格はプログラマーにとって必須ではありませんが、自分の知識・スキルレベルを高める努力をすることは非常に重要です。

学生のうちにたくさんの勉強を重ね、自身のレベルアップにつながる資格を取得できる点は、学校に通う大きな強みといえます。

民間のスクールでもプログラマーになれる?

大学や専門学校に通わずに、民間のプログラミングスクールで学んでプログラマーを目指すことも可能です。

最近では、オンライン完結型のスクールも数が増えているため、日本全国どこにいても、自身に合うスクールを選びやすくなっています。

ただし、スクールのカリキュラムや質はさまざまです。なかには「高額な学費を払ったのに、それに見合う内容ではなかった」といわれるものもあります。

自分自身に合うスクールは人それぞれ異なるため、まずは自分が何を学びたいのかを明確にして、主体的にスクール選びをすることが重要です。

また、民間スクールの多くは、大学や専門学校のように、長期的にじっくりと学べるわけではありません。

「自学」の姿勢が必要になるため、学習中の質問に答えてもらえるなどのサポート体制などにも注目しましょう。

プログラマーの学校選びのポイントは?

プログラマーを目指せる学校は数多くありますが、重要なポイントは、自分自身のプログラミングに関連する知識・能力をアップさせることです。

多くのIT企業は、採用にあたって「学部・学科不問」としています。

そのため、せっかくプログラミングを学べる学科に進学しても、自身のプログラミング能力を磨かなければ、自学自習で学んだ人に簡単に追い越されてしまいます。

できるだけ実践的な学習をするために、実習を多く取り入れている学校を選ぶことがおすすめです。

せっかく学ぶのですから、自らプログラミングせざるを得ない環境に身を置くことがスキルアップにつながります。

また、インターンシップが授業の一環として行われ、それが単位として認定される学校かどうかも、一つの判断基準となるでしょう。

プログラマーに向いている人

プログラマーには、以下のような人が向いています。

プログラマーに向いている人
  • 論理的に物事を考えられる人
  • 地道な作業を根気よくできる人
  • 集中力や体力がある人
  • 常に技術動向をチェックし、スキル向上を怠らない人
  • 効率よく作業し、付加価値の高いプログラムを組むよう心がける人

プログラミングでは複雑な処理を筋道立てて考えるスキルが求められるため、論理的に物事を考える人は向いています。

また、プログラマーは地道な作業を短時間で効率よくやる必要もあるため、根気や集中力も求められます。

納期が近くなると残業や休日出勤が必要となる場面も多くなるため、それなりの体力も不可欠です。

さらに、IT業界の技術は常に進歩し続けているため、常に学んでスキルを向上させている人、効率よく付加価値の高いプログラムを作れる人も、重宝されることになります。

上記にあげた5つの特徴は、いずれもプログラマーとして欠かせません。

簡単にいえば、プログラマーは、技術力とコミュニケーション能力の両方が求められる職種といえます。

不足しているスキルがあれば、早めに身につけていくことを意識したいです。

プログラマーに向いている人・適性・必要なスキル

プログラマーのキャリアプラン・キャリアパス

プログラマーのキャリアプランやキャリアパスは、大手企業と中小・ベンチャー企業では異なる場合が多いです。

どちらも入社後は開発プロジェクトに配属され、プログラム開発や既存システムのコードを修正するなどの作業を任されます。

経験を積むにしたがい、難易度の高いコードを書く業務や、新人を教える役目も任されるようになるでしょう。

一方で「プログラマーからSE、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャーに出世」といったキャリアパスは、見本として示されがちです。

これを裏付けるように、大手企業では30代や40代になるとプログラミング業務の現場から離れ、管理業務に専念する人が増えます。

もちろん「プログラマーの道を究める」コースを用意されている企業も多いですが、その定員は決して多くはありません。

一方、中小企業やベンチャー企業では、管理業務を兼務しながらプログラマーの仕事も続けるエンジニアもいます。

本人の努力次第では、「システムエンジニア(SE)」など上流工程に携わるようになったり、さらに知識を広げて「ITコンサルタント」になったりする道も開けます。

プログラマーを目指せる年齢は?

プログラマーは、ある意味体力勝負の面があります。

そのためプログラマーを目指せる年齢には、上限があることが一般的です。

未経験者の場合、30代は20代よりも不利であり、30代後半以降になるとなかなか採用されない人も多くなるでしょう。

とくにWebやゲーム、アプリの開発をする職場では、その傾向が強まります。

もし未経験からプログラマーを目指すなら、20代のうちに就職を決めておくことがおすすめです。

一方、他の言語で経験を積んできた人であれば、スキルがあって熱意を示せば、年齢が高くても採用される可能性があります。

文系でもプログラマーになれる? 数学力は必要?

文系もプログラマーになれる?

プログラマーというと、なんとなく「理系」のイメージを抱く人もいるかもしれません。

しかし、実際には多くのIT企業において、文系のプログラマーが活躍しています。

企業によっては、文系と理系の比率がほぼ同じという場合もあるほどです。

一部、非常に高度な情報系の専門知識を駆使して働くプログラマーもいますが、業務システムなど企業でよく使われるシステム開発であれば、文系・理系問わず、技術を身につけていくことは可能です。

文系だからといって、引け目を感じる必要はありません。

文系のプログラマーの強み

文系のプログラマーは、以下のような強みを発揮しやすいです。

  • コミュニケーション能力
  • わかりやすく、伝わりやすい文章を書く力

プログラマーは、プロジェクトにおいてチームを組んで働くことが多い仕事です。

システムエンジニア(SE)や他のプログラマー、プロジェクトリーダーなどと意思疎通を図り、連携を取りながらプログラミングを進める必要があります。

コミュニケーションが得意であることは、プログラマーにとって大きな強みのひとつになります。

また、プログラマーはプログラムを組むだけでなく、仕様などについてドキュメントを作る機会も多いです。

文章作成が得意な人も、その強みを生かして働くことができるでしょう。

文系のプログラマーの弱み

文系出身のプログラマーのなかには、文系ならではの弱みをもつ人もいます。

プログラマーの仕事では、物事を順序立てて考える「論理的思考力」が必要っです。

理系だと、たとえば数学の「証明」などのように、自然とこのような考え方を身につける機会が多いです。

一方、文系の人は数学が不得意でもなんとかやっていける場合があるため、論理的な考え方はやや苦手な方もいるかもしれません。

プログラマーに数学力は必要?

プログラマーは、数字を扱うこともあるため、数学力が必要と思う人もいるかもしれません。

しかし、実際には、高い数学力は求められない現場が多いです。

それよりも必要とされることは、アルファベットに抵抗がないことと、論理的思考力といえるでしょう。

プログラムを組む場合、どの言語でもアルファベットを使用していくため、英数字に抵抗感がないことは必須条件です。

またプログラムにおいては、順接や逆説、否定、条件分岐など、論理的な考え方が頻繁に用いられます。

そのためプログラマーとして仕事をするためには、論理的思考力を身につけていくことが欠かせません。

多くの企業は文系・理系関係なく採用している

ここまで解説した通り、プログラマーの仕事では、文系のスキルも役立ちます。

そのため、プログラマーを採用する際、多くの企業では「学部・学科不問」としています。

選考ではプログラマーとしての適性があることのほか、なによりもプログラミングへの興味関心と、学ぶ意欲が重視されます。

そのため、自身をうまくアピールできれば、文系でも理系でも採用を勝ち取ることができます。

一部の企業では理系出身者だけを採用する場合や、特定の学部・学科に限定して募集するケースもありますが、文系だからといってプログラマーになることをあきらめる必要は一切ありません。

プログラマーは女性でもなれる?

プログラマーは女性でもなれる職種です。

スキルさえあればキャリアアップが可能であり、男女の区別なく高いレベルの仕事を任せてもらえる点は魅力です。

一方、プロジェクトが佳境に入る時期は、女性でも男性と変わらず、徹夜や休日出勤が必要になる場合があることは心得ておく必要があります。

開発現場は、男性が多数を占めるところも多いため、女性にとっては働きにくさを感じる場合もあるかもしれません。

長期的にキャリアを築くために、結婚や出産、育児などに関するサポートがあるかどうかも、あらかじめチェックしておくとよいでしょう。

女性のプログラマーのキャリアパス・結婚後の生活