パティシエを目指す人におすすめの資格は? 製菓衛生師資格とは?
パティシエにおすすめの資格は?
パティシエを目指す人におすすめの資格には、「製菓衛生師」「菓子製造技能士」「食品衛生責任者」があります。
製菓衛生師は、菓子製造業で働く人のスキルの向上や、おもに衛生面での管理に関わる国家資格です。
パティシエの多くが製菓衛生師の資格を持っています。
菓子製造技能士検定は、お菓子の製造技能に関する技能を国として証明する国家検定です。
食品衛生責任者は、食品の衛生上の安全を守る責任者としての資格で、飲食店などの食品に関わる事業所では必ず一人は必要となります。
これらは、いずれも製菓や食品に関連する資格ですが、パティシエになるのに必ず取得しなければいけない資格ではありません。
とはいえ、これらの資格を持っていると就職やキャリアアップに有利となることが多いようです。
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製菓衛生師(国家資格)
製菓衛生士の資格とは?
製菓衛生師は、お菓子作りの技術や知識のほか、公衆衛生学や衛生学、食品添加物など、食の安全に関する専門知識の証明となる国家資格です。
食に関する一定の知識を持っていると判断できるため、お菓子作りの現場で注目を集めています。
製菓衛生師は飲食店を開業する際に必要な「食品衛生責任者」と同等の資格です。
店長になる夢がある、独立開業を目指しているという人は取っておいたほうがよいでしょう。
製菓衛生師試験の受験資格
製菓衛生師の資格を取るには一定の実務経験が必要となります。
製菓衛生師の受験資格は、義務教育を終えた者で、厚生労働大臣指定の製菓衛生師養成施設で1年以上知識、技能を修得した者か、義務教育を終えた後、2年以上菓子製造業に従事した者と定められています。
つまり、製菓専門学校を卒業するか、菓子製造業に就職後2年以上経つかしないと受験ができません。
製菓衛生師の試験内容・合格率
製菓衛生師の試験は受験者が居住する都道府県でおこなわれます。
合格率は都道府県によってばらつきがありますが、おおよそ60%〜80%です。
試験内容は、「衛生法規」「公衆衛生学」「食品学」「食品衛生学」「栄養学」「製菓理論及び実技」の6科目で、おもに筆記テストになります。
東京都製菓衛生師試験受験者数の推移
東京都製菓衛生師試験合格者数の推移
東京都製菓衛生師試験合格率の推移
製菓衛生士試験に向けた勉強のコツ・ポイントは?
製菓衛生士の試験自体はそれほど難しくないものの、幅広い分野から出題されるため、勉強が必要になります。
独学で目指すには少しハードルが高いかもしれません。
もし専門学校に通う場合には、授業カリキュラムに製菓衛生師の資格習得のために必要な勉強が含まれているので、効率よく勉強することができます。
このほか、試験勉強の資料として『製菓衛生師全書 和洋菓子・パンのすべて』というテキストと、過去問題集が販売されていますので、これらを利用して勉強するとよいでしょう。
令和6年度 東京都製菓衛生師試験の概要
試験日 | 令和6年6月15日(土曜日) 午前11時から午後1時まで |
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書類提出 | 一般郵送受付(個人):令和6年4月1日(月曜日)から同月30日(火曜日)まで (当日消印有効) 団体窓口受付(要予約):令和6年4月4日(木曜日)から同月10日(水曜日)まで 午前9時から正午まで及び午後1時から午後5時まで |
試験地 | 東京大学駒場キャンパス(目黒区駒場三丁目8番1号) |
受験資格 | 次の(1)又は(2)の条件を満たしていること。 (1)都道府県知事の指定する製菓衛生師養成施設において、1年以上製菓衛生師として必要な知識、技能を修得した者 (2) 中学校卒業以上の学歴があり、食品衛生法第51条の規定による菓子製造業施設で2年以上製菓業務に従事した者 ※ 証明日時点で、従事期間が2年以上あることが必要です。 ※ 過去に2年以上の従事期間があれば、現在、製菓業務に従事していなくても構いません。 |
試験科目 | (1)衛生法規、(2)公衆衛生学、(3)栄養学、(4)食品学、(5)食品衛生学、(6)製菓理論及び実技の6科目、計60問、4肢択一方式です。 (製菓実技は、「和菓子分野」「洋菓子分野」「製パン分野」の3分野の中から、受験者が1分野を選択して解答します。) <試験科目の免除について> |
合格率 | 59.3%(令和6年度) |
合格発表 | 令和6年7月29日(月曜日)午前10時から午後5時まで |
受験料 | 9,500円 |
詳細情報 | 東京都 福祉保健局 |
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菓子製造技能士検定
菓子製造技能士検定とは?
パティシエになるために絶対に必要とされる資格はありませんが、仕事をするうえで持っておいたほうがよい資格に「菓子製造技能士」があります。
この資格は国が認定する技能検定制度の一種で、一定レベル以上の菓子作りの技術と知識を有することを証明します。
また、菓子製造技能士の資格を持つことで、他の資格を受験する際にも有利に働きます。
具体的には「職業訓練指導員(パン・菓子科)」の免許取得時に実技試験が免除されて学科試験のみでの受験が可能となるほか、「製菓衛生師」試験の試験科目のうち「製菓理論」と「実技」が免除されます。
菓子製造技能士試験(2級)の受験資格
「2年以上の実務経験者」あるいは、「専門高校、短大、高専、高校専攻科卒業者」であれば菓子製造技能士試験の受験資格が得られます。
または、「厚生労働大臣指定の専修学校、各種学校卒業者で800時間以上の修了者」も受験が可能です。
さらに上級レベルとなる1級を受験するには、実務経験のみの場合は7年以上、職業訓練終了者の場合は2年以上の実務経験が必要となります。
試験内容
試験は洋菓子製造と和菓子製造に分かれており、それぞれ1級と2級があります。
洋菓子製造の場合、学科試験では「食品一般」「菓子一般」「関係法規」「安全衛生」「洋菓子製造法」が出題されます。
実技試験では、材料の仕込みからはじまり、課題を指定の時間内で仕上げていきます。
問題は試験の約1ヵ月前に公表されるため、事前に練習することが可能です。
製菓製造技能士は確かな技術の証明になる
製菓衛生師の資格はパティシエのほとんどが取得していますが、製菓製造技能士は一定以上の技術が必要になるため、簡単な試験とはいえません。
製菓衛生師は技術の他に衛生・安全面にも重点を置き、食品衛生責任者の資格の代わりになるのに対して、製菓製造技能士は製菓に関する高い技術を持つ証明となります。
製菓の実力がないと取れない資格なので、製菓製造技能士は就職時に有利に働きます。
ただし、試験自体は難しく、合格率は40%〜50%と技能士試験のなかでも難易度の高いものの一つです。
食品衛生責任者
食品衛生責任者の資格とは?
食品衛生責任者は、飲食店などの開業に必要な資格です。
レストランやカフェなどの飲食店のほか、食品工場やスーパーなど食品を加工・販売する店舗には必ず1名以上の食品衛生責任者を置かなければいけません。
パティシエとして独立・開業する際には取得が必要となるでしょう。
食品衛生責任者のおもな仕事は、お店の衛生管理です。
具体的には、施設や設備の点検・是正、従業員の健康管理、衛生管理表の作成、食材の管理状態のチェックなどをおこないます。
食中毒を防ぎ、お客さまに安心してお店を利用してもらうためには不可欠な役割を果たします。
食品衛生責任者の取得方法
食品衛生責任者の資格は、所定の資格を取得するか、養成講習を受けたあとに、自治体へ申請することで取得できます。
パティシエの場合、製菓衛生師の資格を持っていれば講習が免除され、申請のみで取得が可能となります。
製菓衛生師の資格を持っていない人は、各都道府県や保健所などが主催する食品衛生責任者養成講習会に参加する必要があります。
約1万円で受講でき、講習では「衛生法規」、「公衆衛生学」、「食品衛生学」の3科目を学びます。
講習を終えると修了証明がもらえるので、自治体への申請時に持参しましょう。