機動隊員やSATになるには? 警察官の中でもエリートって本当?
警備警察部門の機動隊で活躍する「機動隊員」もそのひとつです。
機動隊員は体力に優れた若手の警察官が採用されやすいため、熱意を示し、実力を高めれば、若いうちから活躍することができます。
この記事では、機動隊員の仕事内容や役割、なるための道のりについてくわしく解説します。
機動隊の仕事内容
機動隊とは、警察組織のなかでも警備警察として、有事即応体制を保持する常設部隊のことを意味します。
「機動」という言葉が示す通り、所属部署に関係なく柔軟にさまざまな状況に対応します。
たとえば、暴動やデモなどの混乱した場面での最前線での活動のほか、大災害、凶悪事件の発生、暴動発生時以外にも、街の巡回、要人の警護、災害時の救助活動などに携わります。
さらに、機動隊員は、他の警察部署からの要請に応じてイベントの警備や交通違反の取り締まりなども行います。
また、最近では刑事と連携しての捜査活動や、パトカーでの警備活動の機会も増加しています。
このように、機動隊員の仕事は、地域や社会の安全を守るために多岐にわたります。
単なる暴動対応だけでなく、地域全体の安全と秩序を維持するために重要な役割を果たす部隊です。
機動隊員になるには
ここからは、機動隊員になるまでの道のりを説明します。
機動隊員も警察官であるため、まずは警察官になり、実務経験を積んでいく必要があります。
警察官採用試験に合格して採用される
機動隊員は、警察組織で活躍する職員です。
そのため、まずは都道府県で実施されている警察官採用試験を受験し、合格・採用されることが、機動隊員を目指す際の最初のステップとなります。
新任警察官は通常、地域の交番で勤務します。
ここで優れた業績を上げたり、研修や訓練で優秀な成績を収めたりすると、機動隊への異動の機会が訪れることがあります。
とくに柔道、剣道、逮捕術、けん銃捜査などの分野で特別な能力を持っている場合、機動隊への配属の可能性が高まります。
警察学校卒業後1~3年の間に選ばれることが多い
警察の機動隊は基本的に体力に優れた若手の警察官が選ばれやすい傾向があり、警察学校を卒業してから1年から3年ほどで異動することが一般的です。
そのため、なるべく早期に実力を発揮して活躍することが期待されます。
ただし、機動隊の訓練は非常に厳しく、自衛隊との共同訓練や潜水訓練など、体力と精神力の両方が鍛えられるプログラムが含まれます。
機動隊員になるためには人一倍の努力が必要ですが、その先にはやりがいのある活動が待っています。
厳しい訓練に耐えられるかがポイント
機動隊員は、非常に厳しい訓練を経て、有事に備えて高い体力やスキルを身につけます。
たとえばレンジャー訓練や潜水訓練など、通常の警察官とは異なる特殊な訓練が行われます。
これらの訓練は極めて厳しく、体力や精神力の向上を図り、危険な状況にも適応できるようにします。
また高い体力が求められるため、機動隊員は日頃からの体力づくりが欠かせません。
さらに、災害やデモの現場では予測が難しく、異なる状況に臨機応変に対応する必要があります。
現場の環境や状況に素早く適応する能力が求められ、迅速かつ正確に状況を理解し、冷静な判断力を発揮しなくてはなりません。
どのような危険な状況下でも冷静沈着に行動できるように、厳しい訓練に耐えられるかがポイントとなります。
特殊急襲部隊「SAT」とは
機動隊の中には「SAT」と呼ばれる部隊で活躍する人たちがいます。
エリートと称されることが多いSATの特徴や、SATになるための方法を紹介します。
SATは優秀な機動隊員から選ばれるエリート
SATは、特殊急襲部隊(Special Assault Team)の略称で、警察機動隊の特殊な部門です。
このチームは特殊な武器や戦術を駆使し、テロ、ハイジャック、特殊作戦などの高い重要性を持つ事案に対処する役割を果たしています。
SATのメンバーは危険な状況での活動や高度な戦術の使用が求められるため、より高度で専門的な訓練を重ね、チームワークを磨きあげていくことが不可欠です。
なお、SATは各地域の要件に合わせて展開され、実際には東京・大阪・北海道・千葉・神奈川・愛知・福岡・沖縄の8つの警察本部に配備されています。
なかでも東京都には、SATの中でも特に厳しい訓練を受けた「特科車両隊」が設置されています。
SAT隊員になるには
SATの隊員には、優れた機動隊員の中でも、さらに厳しい試験と訓練をクリアした者だけがなることができます。
なお、SATがない都道府県警察ではSATを目指せないため、将来SATで活躍したいと考えている人は、そもそも先に挙げた8つのいずれかの警察本部に入る必要があります。
SAT隊員には、厳しい職務にも耐えうるだけの、とくに高い身体能力や強靱な精神力が求められます。
機動隊の部隊の種類
機動隊は、警視庁や各都道府県警察本部の「警備警察」部門に配置された組織で、同部門の中でも圧倒的な人員数を有しています。
各都道府県警察には、機動隊が常設されているほか、以下のような区分が設けられています。
本機機動隊(第一機動隊)
各都道府県警察に設置され、集団警備力によって有事即応体制を維持するための常設部隊です。
約8,000人がこの職に就いています。
特別機動隊(第二機動隊)
臨時で設置される機動隊のことで、第二機動隊とも呼ばれます。
警察署勤務員等から指定され、機動隊を補完して警備実施に当たる部隊です。
管区機動隊
平常時には警察署等で勤務しながら、機動隊に準じた形で警備訓練を行い、大規模警備などで道府県を越えて広域で運用される部隊です。
約4,000人がこの職に就いています。
機能別部隊
警視庁(東京都警察本部)には、第一機動隊から第九機動隊、および特科車両隊が設置されています。
各自治体の警察庁の機動隊は、基本的にこのような部隊構成が採用されています。
さらに、特殊な状況に対応するための様々な「機能別部隊」も存在しています。
以下では、機能別部隊の一部をご紹介します。
銃器対策部隊
「MP5機関けん銃」といわれる銃などで武装し、専用の装甲車に乗って、立てこもり事件などに対応します。
爆発物処理部隊
液体窒素を充填した特別な車両を使って、テロリストや過激派などによって仕掛けられた爆発物を処理します。
NBCテロ対策隊
毒ガス兵器や細菌兵器などの生物化学テロに対処する部隊です。
広域緊急援助隊
大規模災害の発生時に出動する部隊で、救急救命スキルに秀でた隊員が多数在籍しています。
山岳救助隊(レンジャー隊)
登山客の安全を守ることがおもな役割で、日常的に山岳パトロールを行うほか、遭難者が出たり滑落事故が起こった場合には救助活動に当たります。
スクーバ部隊
海や河川で発生した水難事故での救助活動を行ったり、犯罪事件における証拠品を水中から集めたりなど水にからむ事件事故のプロです。
「機動隊やSATになるには?」のまとめ
警察の機動隊は、刑事警察の一員として、主に暴動やデモなどの混乱した場面で活躍します。
機動隊員になるには、まず警察官採用試験に合格して経験を積んだのち、若手のうちに特殊な訓練を受け、体力と精神力を鍛える必要があります。
また、特殊急襲部隊(SAT)は、より危険な任務に対応するための部門であり、そのメンバーは優秀な機動隊員の中から厳選されます。