FBI捜査官になるには? 仕事内容や必要な資格、年収、求人について解説
そんなFBIに所属する「FBI捜査官」は、一般の州警察とは異なり、米国全土にわたる大きな事件の捜査を行うのが特徴です。
ここではFBI捜査官の仕事内容や、なるための道のりなどをご紹介します。
FBI捜査官の仕事内容
ここではまず、FBI捜査官とは何かと、FBI捜査官がどのような仕事をしているのかを紹介します。
米国全土を舞台に重大事件を捜査する
「FBI」とは米国の連邦捜査局(Federal Breau of Investigation)のことです。
米国の各州で活動する「州警察」とは異なり、FBIは米国全土を活動の場とし、本部のワシントンD.Cに加え56の地方局に分かれて規模の大きな事件の捜査にあたります。
その中でFBI捜査官(スペシャルエージェント)は技官などの一般職員と区別され、司法警察職員として重大事件を捜査します。
具体的には、州警察の管轄を超えた複数の州にまたがる事件、米国政府の汚職に関わる事件、被害額の大きい銀行強盗などを担当します。
また、テロといった米国の安全保障に関わる事件も重要な捜査対象の一つです。
過去にFBIが関わった事件の一例として、ケネディー大統領暗殺、米同時多発テロ(9.11)、ボストン・マラソン爆破事件などがあります。
最近では、国に対するサイバー攻撃に関する犯罪捜査を手掛けることも多くなっています。
FBIの部署
FBIは、情報部、国家保安部、科学技術部、刑事・サイバー対策部、情報技術部、人事部の6部署で構成されています。
人質救出や鑑識といった専門部隊で活躍する人もおり、ITや科学などに関する高度なスキルを備えた人材が在籍しています。
FBI捜査官になるには
FBI捜査官の採用資格は、米国の4年制大学を卒業し、2年以上の職務経験をもつ23歳~36歳の米国市民です。
日本人が市民権を取るには、永住権を取得し5年経っている必要があるなど、高いハードルがあります。
職歴の内容は明確にされていませんが、専門分野で高いレベルの仕事に正社員で従事した経験が求められるといわれています。
なお、犯罪歴や薬物の使用履歴などがある場合は応募資格を失ってしまいます。
採用プロセスは書類審査に始まり、面接、ペーパーテスト、体力テストなど9つの行程からなります。
ペーパーテストは論理的思考力を試すものや性格診断など5種類で、体力テストは腹筋、300メートル走、腕立て伏せ、1.5マイル走が課されます。
採用前には身辺調査を受け、反社会勢力とのつながりがないかもチェックされます。
審査を通過した後は、FBIの訓練学校(FBIアカデミー)で計33週間、情報収集や銃器の扱い方など実践的なトレーニングを受けることになります。
FBI捜査官の学校
FBI捜査官の審査に合格した新人捜査官は、FBIアカデミーという訓練施設で、21週間のトレーニングプログラムを受けます。
プログラムは、大きく以下の4つに分かれています。
FBI捜査官は、解決が容易ではない犯罪捜査に携わることや、ときに命の危険を伴う現場で活動しなくてはならないこともあります。
そのため、トレーニングでは犯罪に関連する専門的な知識から、実務で役立つ技術の習得まで、みっちりと学びます。
捜査官候補者として合計800時間ほどのトレーニングを終え、無事にアカデミーを卒業すると、いよいよFBI捜査官として配属されます。
FBI捜査官の給料・年収
FBI捜査官は日本でいう国家公務員の身分にあたり、その給料は、米国政府が定める規格にもとづいて額が決まります。
初年度の年収は約$48,000で、これは時給換算だと$23.14です。
順調にいけば退職時の年収は約$98,000に達します。
1ドル112円で計算すると、初年度年収は約530万円、退職時は約1097万円です。
ここに残業代や危険手当のほか、生活調整費と呼ばれる給料も加えられるなど、FBI捜査官は他の公務員に比べ手厚い給与体系となっています。
FBI捜査官に向いている人、適性
危険な任務にあたるFBI捜査官には、米国民と国家の安全のために働くという強い使命感が求められます。
その他、FBIは候補者に以下の8つの能力を求めています。
- 協調性
- コミュニケーション能力
- 適応力
- 主体性
- 対人能力
- リーダーシップ
- 情報整理力と計画性
- 問題解決能力と判断力
厳しい任務を遂行するために、心身ともに健康であることも求められます。
採用プロセスに体力テストが含まれるのはこのためです。
FBI捜査官の現状と将来性、今後の見通し
FBI捜査官の給料は、米国の他の公務員と比べ手当が充実しているのが特徴です。
不景気によるリストラもないため、給与や雇用の継続という面では非常に安定している職業といえます。
また、厳しい審査を経て採用され、米国の安全のために身を捧げるFBI捜査官は、国民から尊敬される職業でもあります。
ただ、テロやそのほか重大事件の捜査は常に危険と隣り合わせであり、実際、FBIではこれまでに、捜査官を含め30人以上の殉職者を出しています。
待遇はよく、やりがいも大きな仕事といえますが、こうしたリスクは十分考慮しなくてはなりません。
「FBI捜査官になるには?」のまとめ
FBI捜査官になるには、FBIの試験に合格し、訓練学校で厳しい訓練を受けなくてはなりません。
州警察では扱わない大きな事件を捜査し解決に導く、やりがいを感じられる一方で、危険と隣り合わせの仕事でもあります。
また日本人の場合、FBIを目指すには米国市民権を獲得するなど非常に高いハードルがあります。