海外営業の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「海外営業」とは
メーカーなどの企業で、海外のクライアント企業や販売代理店とやりとりをする営業職。
海外営業とは、メーカーなどの企業において、海外の企業を顧客とし、その企業や販売代理店とやりとりをする営業職のことをいいます。
具体的な仕事内容としては、日々の担当顧客との商談をはじめ、市場調査やマーケティング、営業戦略の立案、現地のパートナー企業の開拓、クレーム対応、契約関連などが挙げられます。
海外営業には高いビジネス英語力が求められ、TOEICのスコアでいえば最低でも700点以上、できれば800点以上あると評価されることが多いでしょう。
新卒や未経験者の場合、まずは国内営業などの仕事で経験を積み、能力や適性が認められて海外営業へ異動となることもあります。
グローバル化が進む一方、国内市場が縮小傾向にあるといわれるなか、大手企業から中小企業まで海外市場へ進出する企業は増えています。
海外営業の需要はさらに大きくなり、活躍の場も広がるでしょう。
「海外営業」の仕事紹介
海外営業の仕事内容
海外の顧客との取引を担当する営業職
海外営業とは、メーカーなどの企業において、海外の顧客を担当とする営業職のことです。
海外の顧客と直接商談を進めることもあれば、間に販売代理店や商社を挟み、そちらとやりとりをすることもあります。
具体的な仕事内容としては、日々の担当顧客との商談をはじめ、市場調査やマーケティング、営業戦略の立案、現地パートナー企業の開拓、クレーム対応、契約関連業務などが挙げられます。
営業スタイルは「国内勤務をしながら海外顧客を担当し、必要に応じて海外出張を行うケース」と「海外に駐在して現地顧客を専属的に担当するケース」に分けられます。
どちらのスタイルであっても、世界を相手にする海外営業は、国内での営業職よりも担当エリアが広くなりがちです。
国内営業とは異なるスキルが求められる
世界中の多くの国と取引をする企業で働く場合、海外営業は、一人で複数の国を担当するケースもめずらしくありません。
国ごとに文化や商慣習が異なるため、それを理解したうえでビジネスを進める力が求められてきます。
また、英語を中心とした語学力や、海外の人と対等に話そうという前向きな姿勢が必要です。
国内で活躍する営業職とはまた異なる難しさを感じることになるでしょう。
海外営業になるには
まずは国内でキャリアを積むケースが多い
海外営業は、各業界のメーカーや商社など、海外でビジネスを展開する企業で多く活躍しています。
ただし、新卒採用においては、「海外営業」という職種で募集されるケースはそれほど多くありません。
まずは国内をフィールドにする「営業職」や、職種を限定しない「総合職」として採用され、その後、能力や適性があると認められた人が海外営業部門へ異動するケースがよく見られます。
このため、まずは国内でビジネスパーソンとしての十分な経験を積み、実力を高めていくことが大切です。
学生時代の専攻などは通常問われませんが、業界問わず、大手企業を目指すのであれば「大卒」の学歴が応募資格になる場合が多いため、大学に進学しておくとよいでしょう。
高い語学力は強みになる
海外営業を目指す場合、他の職種以上に「語学力」が大きな評価基準となります。
とくに英語ができる人は重宝されやすく、学生時代にビジネス会話ができるくらいの英語力があれば、いきなり海外営業に配属される可能性も考えられます。
外資系企業を目指す場合には、とくに高い英語力が必要です。
目安として、TOEICのスコアは最低700点、できれば800点ほどは目指したいところです。
海外営業の学校・学費
大手企業を目指すなら大学に進学するほうが有利
海外営業がたくさん活躍する企業、つまり海外に拠点を持つ企業は、比較的規模の大きなところが多いです。
そうした企業では、社員採用試験で「大学卒業」以上の学歴を求めるケースが目立ちます。
学校名で採用が決まるわけではありませんが、とくに知名度が高く、グローバルに広く事業を展開する大企業には、難関大学や有名大学の学生もたくさん集まります。
採用倍率は高くなりがちなため、学生時代から高い意識を持って、しっかりと勉強に励むことが大切です。
学部・学科についてはとくに制限されることはありません。
「語学力を生かせる仕事がしたい」という点から、外国語学部や国際関係学部出身の海外営業も多数いますが、文系・理系問わず海外営業を目指すことは可能です。
海外営業の資格・試験の難易度
まず取得を目指すべきは語学力を示せる資格
海外営業の仕事では日常的に外国語を使用します。
とくに汎用性の高い「英語」については、できる限り高いレベルで使いこなせることが望ましいといえます。
海外営業に配属される目安として、TOEICのスコアでいえば最低でも700点以上、できれば800点以上あると評価されやすくなるでしょう。
しかし、継続的な勉強を続けて900点を超える人も決して少なくないため、常に上を目指し続ける努力が不可欠です。
新卒採用時点でビジネス会話ができるくらいの英語力があれば、最初から海外営業部門に配属されるチャンスもあります。
英語以外の語学では、中国語や韓国語、フランス語、スペイン語などができる人が歓迎されることがあります。
自分が得意とする言語を生かせる企業を探してみるとよいでしょう。
海外営業の給料・年収
収入は勤務先のほか、個人の実力によっても左右される
海外営業の平均年収は、400万円~500万円程度がボリュームゾーンとなっているようです。
国内の営業と大きくは変わりませんが、海外営業が活躍する業界・業種は多岐にわたるため、実際には勤務先によって大きな差が出てきます。
加えて、個人の経験・実力によっても給料は変わってきます。
未開拓エリアで一から販売網を築けるほどの実力があれば、高く評価され、年収1000万円以上を得ることも可能です。
人によっては高い語学力やビジネス経験を強みに、転職によってどんどん収入を上げていきます。
手当やインセンティブがつきやすい
海外営業は、個人やチーム、部門の成果によって、基本給とは別に「インセンティブ」がつくことがあります。
インセンティブの割合が大きな企業で勤務すれば、成果を残す人ほど、収入を増やしやすいです。
なお、海外赴任する場合は、基本給に加えて「海外赴任手当」などの特別手当が支給されることが一般的です。
こうした手当が充実している企業では、海外営業は、国内営業よりも高収入を得やすいでしょう。
海外営業の現状と将来性・今後の見通し
海外で活躍できる人材の需要は高い
急速にグローバル化が進んでいる昨今、あらゆる業界で企業の海外進出が積極化しています。
国内市場が縮小傾向にあるといわれるなか、大手から中小企業まで、これから海外市場への進出を視野に入れている企業も多く、海外を相手にする営業職の需要はさらに大きくなっていくものと考えられます。
海外の人とも対等にビジネスを進められるだけの高い語学力はもちろん、「簿記」や「IT」などプラスアルファのスキルを持つ人材も歓迎されることがあるでしょう。
人によっては長い海外赴任生活を経験したり、現地企業で海外営業として働くこともでき、国内営業とは違った働き方が実現できるのも海外営業の魅力といえます。
海外営業の就職先・活躍の場
海外展開している企業が就職先になる
海外営業の主要な就職先は、海外企業を取引先にもつ企業です。
メーカーや商社、金融系企業などが代表的ですが、それ以外の業種・業界でも活躍できる可能性はあります。
なかでも商社は規模の大小に関係なく「輸出入」が事業の柱のひとつとなるため、海外営業が多数活躍しています。
ただし「海外」といっても、先進国もあれば途上国もあり、国ごとに文化や習慣、ビジネススタイルなどはだいぶ異なります。
日本の企業以外に、外資系企業でも海外営業として働けます。
外資系は国内企業よりもさらに実力主義の傾向が強まり、早期に結果を出すことが求められてきます。
海外営業の1日
顧客に合わせてスケジュールを組む
海外営業のスケジュールは、国内で勤務するか、それとも海外に駐在するかによって異なります。
さらに担当する国の時差、商慣習の違いなども考慮して、仕事を進めなくてはなりません。
ここでは一例として、メーカー勤務の海外営業のある1日をご紹介します。
関連記事海外営業の一日のスケジュール・勤務時間と休日についても解説
海外営業のやりがい、楽しさ
異文化コミュニケーションにより、自分も成長できる
海外営業の魅力は、異なる文化や言語、習慣などをもつ国の人々と出会える機会が非常に多い点です。
異国の人々と仕事する際には、商慣習や考え方の違いなどで戸惑ったり、トラブルが発生したりするケースも多々あります。
しかし、それらを上回る楽しさや刺激があるのも事実で、日々の仕事に向き合うなかで、ビジネスパーソンとしても、人間としても、大きく成長できるでしょう。
海外出張の機会が多く、海外赴任できることもあるため、もともと海外志向が強い人は魅力を感じやすい職種です。
物事を違う視点から眺められるようになることで、国内での業務や日常生活においても、新たな発見が得られるかもしれません。
海外営業のつらいこと、大変なこと
外国語でコミュニケーションをとり、商談を進める困難さ
異なる文化圏の人と接する場合、ちょっとした意思疎通だけでも決して容易ではありません。
こちらの要望が正確に伝わらなかったり、相手の意向をうまく汲み取れずに仕事が滞ることはしばしばあるものです。
さらに、複雑な諸条件を交渉したり、契約を締結する段階においては、非常に高度なレベルで外国語を操れるのはもちろん、国内取引時と同様に、自社や相手の事情を踏まえた駆け引きが必要になります。
海外営業として働く場合、単に語学力に長けているたけではなく、総合的なビジネススキルやコミュニケーション能力が求められてきます。
厳しい場面にも遭遇するため、精神力が強く、常に自分を向上させていこうというアグレッシブさや行動力を持つ人でないと、なかなか務まらない仕事といえます。
海外営業に向いている人・適性
精神的に強く、異国で過ごすことにも抵抗がない人
海外営業は、海外出張で数日間や数週間にわたって現地に滞在する機会が多い職種です。
人によっては海外赴任して、現地にて数年単位で暮らすことになります。
ろくに知り合いもおらず、食事も文化も異なる環境で暮らさなければならないのは、人によっては相当なストレスとなるでしょう。
なお、海外営業が駐在する国は、必ずしも先進国とは限りません。
ときには、さまざまな面で生活に不便を強いられる発展途上国への赴任を命じられる可能性もあるため、厳しい環境でも暮らせる、バイタリティのある人が海外営業に向いているといえます。
また、海外とのビジネス取引では、自分の意見をはっきり主張しなければ話が進まないこともしばしばあります。
精神的に強く、困難な状況に立ち向かっていけるタイプの人に向いている職種です。
関連記事海外営業に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
海外営業志望動機・目指すきっかけ
海外に対する関心の高い人が目指すことが多い
海外営業を志望するのは、もともとグローバル志向の強い人が多いです。
大学などで語学や外国について専門的に勉強していた人、あるいは海外留学経験があり「語学力を生かせる仕事がしたい」という思いから、海外営業を目指すケースがよく見られます。
海外営業の面接時には、グローバルに対する興味関心、自身の経験を仕事にどう生かしたいかを、十分にアピールすることが大切です。
加えて、志望企業が世界のどこの地域でどのような事業を展開しているのかや、今後の課題は何かといったことまで調べておきましょう。
また、海外出張の頻度や、海外赴任の可能性について「問題ないか」と問われることもあります。
自身の意見をしっかり持ち、海外で働くイメージがしっかりできていることを面接官にアピールしましょう。
海外営業の雇用形態・働き方
正社員として採用され、国内勤務もしくは海外駐在する
海外営業のほとんどは、各企業の正社員として採用されています。
海外との商談や取引を最前線で行う責任ある立場を担うため、事務職のように派遣やパートで雇用されるケースはあまり多くありません。
海外営業の働き方の特徴としては、「国内勤務」をするパターンと、「海外駐在」をするパターンがあることです。
前者は、国内営業と同じように毎日日本のオフィスに出勤し、朝から夕方頃まで働くスタイルが一般的です。
慣れ親しんだ場所で働けるのは魅力ですが、受け持つ地域によっては相手国の時差に合わせて、早朝や深夜に仕事をしなくてはなりません。
一方、後者のパターンでは、自社の海外法人や子会社に駐在して、現地で生活しながら営業活動を行います。
現地の文化や生活習慣に馴染む苦労はありますが、海外の雰囲気をより強く感じることができ、刺激的な経験は送りやすいでしょう。
海外営業の勤務時間・休日・生活
国内営業よりも不規則な勤務スタイルになりがち
海外営業の勤務時間は、他の職種と同様、多くの企業で9:00~18:00前後に定められています。
しかし、担当する国の支店や販売代理店との時差を考慮しなければならないため、早朝や深夜に会議が入る日があるなど、国内営業と比べるとやや不規則な勤務スタイルになるケースが目立ちます。
休日については、基本的には土日祝を休みとする企業が多いですが、日本の祝日にあたる日であっても海外では平常通り業務が行われています。
必ずしも暦通りに休めるとは限らず、相手の都合に合わせて出勤しなければならないケースもあります。
また、海外出張が頻繁に入る時期は移動にも時間がかかり、なかなか落ち着いて休息をとるのが難しくなるかもしれません。
海外営業の求人・就職状況・需要
海外取引を行う企業が増え、求人数は増加傾向に
時代が進むにつれて、海外と取引を行う企業は増えています。
この先も人口減少などによって国内市場が縮小していくことは避けられないため、業界に関係なく、多くの企業にとって海外展開は重要課題です。
こうしたなか、海外営業の求人数は右肩上がりにあり、英語圏だけでなく、中国語圏などで活躍できる人材の需要も高まっています。
海外営業の採用においては、基礎的な語学力はもちろんですが、明るさや積極性といった海外営業として必要な人柄が重視されることも多いです。
海外営業の適性を備えていることをアピールする努力が大切です。
海外営業の転職状況・未経験採用
海外との業務経験や高度な語学力が求められることが多い
語学力をはじめ、高いコミュニケーション能力や判断力、各業界の専門知識などが求められる海外営業は、国内営業に比べると、転職することがやや困難な職種とされています。
海外営業の中途採用を実施する企業は少なくありませんが、その場合、海外営業の経験者、もしくは海外とビジネス取引を手掛けてきた人が求められることが非常に多いです。
未経験者から海外営業を目指すなら、まずは国内営業で実績を積みつつ、語学力向上に励むといったステップを踏む必要があると考えておいたほうがよいでしょう。
なかには「第二新卒」の枠で20代の未経験者を採用する企業もありますが、いずれにしても、積極的にスキルアップを目指す意欲や行動力は重視されます。
できる限り若いうちに行動し始めることが望ましいでしょう。
海外営業に必要な英語力は?
高ければ高いほど望ましいが、あくまで「ビジネス英語力」が重要
海外営業として働くには、一定の英語力は不可欠です。
TOEICのスコアでいうと、最低でも700点以上、できれば800点は超えておきたいところです。
ただし、実際に海外営業の仕事でおもに必要とされるのは「話す・書く」のスキルといえます。
また、アカデミックな英語というよりは「ビジネス英語」の能力が必要になるため、その点に力を置いて学習を続けるとよいでしょう。
企業によっては、TOEICのスコアを社内での昇進や、海外関連業務に携わるための基準として設けていることがあります。
海外営業に就きたいと考えている人は、できるだけ早い段階から英語学習をすることをおすすめします。
関連記事海外営業に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
女性でも海外営業になれる?
ポジティブで行動力のある人は女性も歓迎される
海外営業として働く人のなかには、女性も少なくありません。
女性ならではの気遣いやきめ細かさが、難しい商談や交渉事に生きるケースもあるようです。
海外のビジネスの場では、日本以上に女性がバリバリと活躍しているといったこともめずらしくないため、海外志向が強い女性には、むしろ働きやすさを感じられるかもしれません。
ただし、海外営業の仕事では、相手国との時差を考慮して不規則な勤務になることがありますし、海外出張時には移動距離の長さや時差への適応などで肉体的な負担がかかってきます。
さらに、日本より治安の悪い国に赴任する際には、生活に対する不安を感じる場面が多くあるため、精神的にタフであることも必要になるでしょう。
ちょっとした物事には動じず、自分から人間関係を切り開けるようなタイプの女性であれば、海外でもうまくやっていけるでしょう。