自衛隊の採用状況は? 募集は多い?
深刻な人員不足が続く自衛隊
近年、自衛隊は深刻な人員不足が続いているようです。
その背景には、少子化や景気回復に伴う民間採用の活発化などが挙げられています。
「自衛官候補生を例にとると、2018年度の採用では計画が9882人だったのに対し、試験に合格して入隊の意志を示したのは7076人だったとされ(2019年3月末現在)、5年連続で採用計画人数を下回っています。
こうしたなか、自衛隊では「自衛官候補生」や「一般曹候補生」の採用では、応募年齢の上限を以前の26歳から32歳に引き上げる取り組みが行われており、積極的な人員確保に乗り出しています。
今後も少子化が進んでいく日本において、自衛隊では新たな若い人材を求める動きが続くことが予想されます。
20代で正社員への就職・転職
それでも倍率は高くなりがち
このように見ていくと、自衛隊には簡単に入れるのではないかと思う人もいるかもしれません。
しかし、自衛隊の採用倍率は決して低いわけではありません。
「平成30年度版防衛白書」によれば、平成29年度の自衛官候補生および一般曹候補生の応募者数、採用者数、倍率は以下の通りになっています。
自衛官候補生
陸上自衛隊
応募者数:17,768人
採用者数:5,055人
倍率:3.5倍
海上自衛隊
応募者数:4,386人
採用者数:944人
倍率:4.6倍
航空自衛隊
応募者数:5,356人
採用者数:1,514人
倍率:3.5倍
一般曹候補生
陸上自衛隊
応募者数:16,837人
採用者数:2,971人
倍率:5.7倍
海上自衛隊
応募者数:3,203人
採用者数:1,300人
倍率:2.5倍
航空自衛隊
応募者数:9,111人
採用者数:773人
倍率:11.8倍
かなりの高倍率になる試験も
自衛官候補生や一般曹候補生以外にも、自衛隊ではさまざまな試験が行われています。
そして、そのなかには毎年10倍を大きく超えるような高倍率の試験もあります。
発表されている倍率の数値は、あくまでも応募者に対する採用者数なので、実際の受験人数に対する倍率はやや下がることが考えられますが、それでも自衛隊に入るのは決して楽なわけではありません。
たとえば防衛大学校学生の一般試験では、平均して10倍~40倍ほどの倍率になることもあり、狭き門といえる試験になっています。
また、中学を卒業した人が入れる高等工科学校も、5倍を超えることが多いです。
油断せずにしっかりとした試験準備を
自衛隊では毎年採用試験を行っていますが、筆記試験以外にも面接試験や身体検査もあり、総合的に対策をして合格ラインを目指す必要があります。
試験科目は応募するコースによっても異なりますので、事前に情報をよく確認して対策することが大事になってきます。
なお、自衛隊には明確な階級が存在しますが、自衛官候補生と一般曹候補生を合わせた「士」については充足率が70%を下回っており、とくに深刻な人員不足が課題となっています。
一般曹候補生のように年に2回の受験チャンスがある試験もありますので、自衛隊に興味がある人は、ぜひ積極的にチャレンジしてください。