法務部門で働くには

法務になるまでの道のり

法務になるためには、法務部を社内に設置している企業の採用試験を受けて合格することが必要です。

一概にはいえませんが、規模の小さな企業の場合、社内に法務部があるところはまれで、代わりに外部の弁護士事務所と顧問契約していたり、社長自らが手掛けていたりするケースがほとんどです。

したがって、法務になるなら、上場企業やその傘下のグループ企業など、ある程度大きな会社への就職を目指さなくてはならないでしょう。

そうした企業の法務部配属の可能性がある「総合職」にエントリーするためには、4年制大学卒以上の学歴が必要になるところが大半です。

最終年次に企業の採用試験を受験し、書類審査や筆記試験、数回にわたる面接をすべてクリアし、法務としての適性が認められれば、翌年の春に法務担当者になることができます。

なお、新卒入社の社員については、人事部から希望を聞かれる機会はあるものの、基本的に自身で配属先を決めることはできません。

別の部署に配置された場合は、与えられた仕事に励みつつ、数年に1回程度の異動のチャンスを待つことになります。

法務部門になるまでのルート

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す(PR)

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

法務の資格・難易度

法務に関する資格は、誰もが知る国家資格から民間の能力検定まで、種類も難易度もさまざまに、非常に豊富にあります。

最も有用なのは、弁護士や検事裁判官になるための「法曹資格」であり、取得難易度はきわめて高いといえますが、もっていればどの企業からも歓迎されるでしょう。

メーカーなどの技術系企業の場合は、特許を扱う「弁理士」の資格も非常に有効です。

そのほか、「司法書士」や「行政書士」など、法律事務系の資格も便利ですし、「通関士」など貿易事務系の資格が役に立つ企業も多いでしょう。

ただし、法務は法律のエキスパートとはいえ、あくまで一般企業の社員であり、弁護士のような専門職とは明確に異なります。

これらの資格が絶対に必要というわけではなく、とくに新卒採用時点では、ほかの就職希望者より有利になることはあっても、必須条件とされることはありません。

法務になるための学校の種類

法務になるためには、4年制大学の法学部に進学することを強くおすすめします。

就職時点である程度法律を学んでいないと、そもそも法務担当者としての適性があるかないかわかりませんし、業務上もなにかと支障をきたします。

配属先を決める人事部側としても、よほどの特殊な事情でもない限り、法律知識ゼロの人をいきなり法務部配属にはしないでしょう。

法務部志望の人のなかには、司法試験を受験したが不合格だった、あるいは途中まで司法試験を目指していたなど、すでに広範な法律知識をもつ人も大勢います。

これから進路決定を控える中高生が法務を目指すなら、文系に進んで法学部を目指すことが望ましいのは確かです。

ただし、すでにほかの文系学部や理系を選択した人にまったく可能性がないかといえば、そういうわけでもありません。

その場合は、4年制大学を卒業した後に、法科大学院(ロースクール)の法学未修コースに進学するという方法があります。

法学未修コースの場合、卒業までに2年ではなく3年かかってしまうのが難点ですが、時間と学費さえクリアできるなら、法学部卒業生と同等レベルか、それ以上の法律知識を身につけることができるでしょう。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

法務に向いている人・配属されやすい人

法務に向いているのは、当然といえば当然ですが、法律が好きで、「法律を使った仕事がしたい」という意思が明確な人です。

法務はどちらかというと裏方に属する職種であり、営業部などほかの部署をサポートすることがおもな役割です。

契約書のチェックなど、地味で根気のいる作業ばかりですし、トラブル処理や訴訟対応といった後ろ向きな仕事も少なくありません。

法律そのものが好きで、法律を勉強するのが好きな人でないと、法務としてやっていくことはかなり難しいでしょう。

性格的には、真面目で責任感があり、慎重なタイプの人や、決められたルールをきちんと守るモラルの高い人などが、法務部に配属されやすい傾向にあります。

法務に向いている人・適性・必要なスキル

法務のキャリアプラン・キャリアパス

法務のキャリアプランは?

法務のキャリアプランは、基本的にほとんど一本道であり、非常にシンプルといえます。

通常の職種であれば、一般企業に総合職社員として入社した社員は、「ジョブローテーション」という制度が適用され、さまざまな部署を渡り歩きながらキャリアを積みます。

営業や企画、広報など、異なる業務を経験することによって、幅広い知識とスキルが身につきますし、また人脈も拡げることができます。

しかし、法務の仕事は非常に専門性が高いため、多くのことを「広く浅く」身につけたり、コネクションをつくったりするよりも、法律一本に絞って「狭く深く」スキルを修得することが優先されます。

このため、法務担当者は自身で希望したりしない限りは他部署に移ることもなく、「法務のスペシャリスト」としての道を歩んでいくケースが一般的です。

ただし、実績を重ねるにつれて、部内におけるポジションは変わっていきます。

勤続年数に応じて、一担当者から主任などのチームリーダーになり、やがて部長などの管理職に昇進して、部下を束ねる立場となります。

法務がキャリアアップするためには?

資格を取得する

法務がキャリアアップするもっともオーソドックスな方法は、資格取得に励むことです。

とくに司法書士や行政書士など、資格保持者にしかできない「独占業務」が認められている国家資格は、業務における有効性が高くおすすめです。

メーカーなどの場合は、特許や意匠、商標などの知的財産を専門に扱う弁理士資格が評価されやすいでしょう。

こうした資格を取得することができれば、スキルアップに意欲のある優秀な社員として、人事的な評価も上がりますし、基本給とは別に資格手当も支給されますので、経済的なメリットも得られます。

また、難易度はきわめて高くなりますが、司法試験を突破して弁護士資格を取得することができれば、脱サラして企業の顧問弁護士になるというキャリアプランを選ぶこともできます。

企業法務に詳しいうえ、実務経験まである弁護士は、非常にまれな存在といえます。

どこの会社からも引く手あまたであり、弁護士が供給過剰となっている厳しい状況をふまえても、年収1000円以上の高給を稼ぐことも不可能ではないでしょう。

定年退職がなく、60代や70代になっても、現役で働き続けることができるというのも、サラリーマンにはない大きなメリットのひとつです。

外資系企業に転職する

法務が大きくキャリアアップする方法として、外資系企業に転職するという道もあります。

アメリカがしばしば「訴訟大国」といわれることからもわかるように、日本よりも海外のほうが、はるかに法的トラブルに見舞われる確率は高くなります。

外資系企業の経営陣にとって、自社のリスクを軽減する法務部門はきわめて重要なセクションであり、優秀な法務スタッフは非常に好待遇で迎えられます。

弁護士になるのと同じように、年収1000万円以上の収入を得ることも十分に視野に入ってくるでしょう。

ただし、外資系企業に採用されるためには、国内企業において豊富な実績を上げることはもちろん、ビジネスレベルの語学力を身につけなければなりませんし、国際法などにも精通していなければなりません。

また、結果が出なければすぐさまクビになってしまうという、国内企業にはないリスクを背負う必要もあります。

大金を稼げるチャンスがあるのは間違いありませんが、外資系企業は、人によって向き不向きの分かれやすい職場です。

法務への転職を検討するなら、転職エージェントに相談してみよう

未経験や中途で法務を目指す場合には、転職エージェントに登録しておくのもおすすめです。

法務の仕事に詳しい転職アドバイザーから話を聞くことができたり、法務の「非公開求人」の情報を得ることができます。

まだ転職するか迷っている、そもそも法務が自分に合っているか不安という段階でも、専門家のアドバイスを聞くことでキャリア選択の幅を広げることができます。

リクルートエージェントは、転職エージェントの中で最も求人数が多く、転職実績もNo.1となっているので、まず登録しておきたいエージェントです。

また、20代の方や第二新卒の方は「マイナビジョブ20's」に登録してみるとよいでしょう。

20代を積極採用している企業の案件が多く、専任キャリアアドバイザーによる個別キャリアカウンセリングを受けることができます。

なお、対応エリアは「一都三県・愛知・岐阜・三重・大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀」となります。

どちらも登録・利用はすべて無料なので、ぜひ登録して気軽に相談してみてください。