学芸員になるには? 必要な資格や年齢制限も解説
学芸員になるには
学芸員として働くためには、学芸員の資格を取得することが必要です。
学芸員の資格を取得する方法は大きく4つに分かれます。
ここではその4つのパターンについてご紹介します。
パターン1.大学で必要な科目を履修する
まずは、大学で必要な科目を履修して資格を取得する方法です。
博物館に関する科目を修得した後、大学を卒業し、学士の学位を取得すると、学芸員の資格が授与されます。
必要な科目を履修できる大学は、平成31年度の時点で全国に約304校あります。
博物館に関する科目には、以下のものがあります。
学芸員の資格を取得している人のほとんどが、このルートを選びます。
パターン2.単位+学芸員補試験
大学に2年以上在学し、博物館に関する科目の単位を含めて62単位以上を修得したもので、3年以上学芸員補の職に就いた場合においても学芸員の資格が授与されます。
パターン3.学芸員資格認定試験
下記のいずれかの条件を満たしていれば、学芸員資格認定試験を受験することができます。
- 学士の学位を有する者
- 大学に二年以上在学して六十二単位以上を修得した者で二年以上学芸員補の職にあった者
- 教育職員の普通免許状を有し、二年以上教育職員の職にあった者
- 四年以上学芸員補の職にあった者
試験は2年に1回実施され、内容は必修科目8科目と選択科目2科目の筆記試験です。
なお、学芸員試験認定に合格後、1年間「学芸員補」として働くことで、「学芸員」の資格を取得することができます。
パターン4.学芸員資格認定試験
下記のいずれかの条件を満たしていれば、学芸員資格審査を受けることができます。
審査内容は書類審査と面接です。
2.大学において博物館に関する科目(生涯学習概論を除く。)に関し二年以上教授、准教授、助教又は講師の職にあった者であって、二年以上学芸員補の職にあった者
3.次のいずれかに該当する者であって都道府県の教育委員会の推薦する者
(1)学士の学位を有する者であって、四年以上学芸員補の職にあった者
(2)大学に二年以上在学し、六十二単位以上を修得した者であって、六年以上学芸員補の職にあった者
(3)大学に入学することのできる者であって、八年以上学芸員補の職にあった者
(4)その他十一年以上学芸員補の職にあった者
4.その他文部科学大臣が前各号に掲げる者と同等以上の資格を有すると認めた者
以上のような4つのルートで学芸員の資格を取得し、それぞれの博物館の採用試験に合格することで、晴れて学芸員として働けるようになります。
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学芸員の資格・難易度
学芸員の資格は、大学で博物館に関する科目を勉強し、必要な単位さえ取得することができれば誰でも取ることができます。
その一方、大学でカリキュラムを履修しなかった人が学芸員の資格認定試験を受ける場合、誰もが合格できるわけではありません。
合格率は50%以下になることもあります。
また、試験が免除され過去の業績や学識を審査して認定される「学芸員審査認定」の場合、さらに合格率が落ちる傾向が見られます。
このようなことを踏まえると、学芸員の資格認定試験や審査は決して簡単とはいえないでしょう。
学芸員資格認定の難易度はどれくらい? 受験資格や合格率を解説
学芸員になるための学校の種類
学芸員の資格を取得するために一番の近道となるのは、学芸員養成課程を開講している大学に進学することです。
文化庁のHPによると、令和6年4月1日現在で全国に290校の大学があります。
この内訳を見てみると、国立大学が53校、公立大学が22校、私立大学が210校、そして短期大学が5校です。
全国各地に点在しているので自分の住んでいる地域の大学を選ぶこともできますが、一部の大学では通信過程も設置しているので通信教育で勉強をすることも可能です。
社会人として働きながら学芸員になるための資格取得を目指す人は、このような通信過程を上手に活用するとよいでしょう。
なお、学芸員になるための資格が取得できる専門学校や民間のスクールはありません。
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学芸員に向いている人
知的好奇心がある人
学芸員は研究職としての仕事になるため、特定の分野に強い関心があり、知的好奇心が強いタイプの人が向いているといえます。
分野によっては語学力が求められることもあります。
柔軟性がある人
学芸員の業務の幅は非常に広いため、さまざまなことに対応できる柔軟性が必要です。
チームで研究をしたり企画を運営したりすることもありますし、独立して仕事をすることもあります。
臨機応変に対応できる判断力や決断力も求められます。
学芸員のキャリアプラン・キャリアパス
学芸員は一般企業のように明確な階級や昇進のシステムがあるわけではありませんが、キャリアに応じて役職や肩書が変わっていくことはあります。
たとえば、ある博物館では学芸員として就職した人が、学芸係長→学芸課長→主任学芸員→学芸部長→館長補佐→副館長といった形でキャリアアップしていくことがあります。
館長補佐や副館長になればマネジメントの仕事も増えますし、企画や運営に対する発言力も大きくなります。
自分がしたい展示会を実現させるためにキャリアアップを目指して頑張っている学芸員もたくさんいるのです。
学芸員を目指せる年齢は?
学芸員を目指す人の多くが、大学で学芸員資格を取得した20代の人たちです。
資格の取得自体には年齢制限がありませんが、国公立の博物館で働きたい場合は公務員試験の応募の際に年齢制限されていることがあります。
どんなに能力が高くても熱意があっても、この年齢制限に引っかかってしまえば残念ながら応募することができません。
このため、学芸員を目指すのであればできるだけ早い段階で就職試験にチャレンジしたほうが選択肢が広がります。
学芸員は高卒から目指せる?
学芸員の資格を取得するためには大学で既定のカリキュラムを受講しなければいけませんが、高卒の人が学芸員を目指すのであれば別の方法もあります。
それは、学芸員の補佐的な役割を果たしている「学芸員補」になることです。
学芸員補になれば、実際に博物館や美術館で働きながら現場の仕事を学ぶことができます。
さらに学芸員補として8年以上の経験を積めば、学芸員の認定審査を受けられるようになります。
少し遠回りにはなりますが、高卒から学芸員を目指すのであればこのような道を選ぶのもよいでしょう。