データサイエンティストの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
データサイエンティストの仕事とは
「データサイエンティスト」は、2007年に「データサイエンス」という言葉が新語として登場するとともに生まれた、比較的新しい職業です。
一般的にはまだまだ耳慣れないかもしれませんが、米ハーバード・ビジネス・レビュー誌がデータサイエンティストを「21世紀で最もセクシーな職業」と表現するなど、脚光を浴びることも増えてきました。
そんなデータサイエンティストは、大容量で複雑化したデータ、つまり「ビッグデータ」を扱う専門家です。
IT技術の高度化による情報化社会が進み、世の中にはありとあらゆるデータが溢れています
データサイエンティストは、莫大な量のビックデータを収集し、統計学やITスキルなどの専門知識を駆使して分析します。
さらに、分析したデータからビジネス上の課題を発見し、企業が利益を生むための戦略を導き出していくこともデータサイエンティストの仕事に含まれます。
わかりやすい例として、「防犯カメラ」の映像もビックデータとして注目されています。
顧客がどのような商品を手に取り、どのような商品を棚に戻したかなど、防犯カメラに映る人の行動をデータ化し分析することで、商品のマーケティング戦略に活用したりすることが可能になります。
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データサイエンティストの業務の内容
データサイエンティストの業務は、大きく「データ収集・整理」「データ分析」「課題解決」「レポーティング、提言」の4つに分類できます。
データ収集・整理
「どのようなデータを集めればよいか」を決めることから始まり、その後、業務システムやSNSなどから、分析に用いるデータを集めます。
データを収集するためのプログラム(パッチ)の作成も行うこともあります。
収集したデータは、扱いやすいようにきれいに整理します。
また、収集した大量のデータを保存するための「データベース」の構築や運用をデータサイエンティストが行うこともあるため、データベース関連のIT知識や操作スキルも必要になってきます。
データ分析
収集したデータをもとに、そのデータをビジネスに活かすための分析を進めます。
分析にはさまざまな手法があり、どのようなアプローチをするかはその人次第です。
各々の得意分野や専門分野、データサイエンティストとしての経験を生かしながら答えを見つけていきます。
大量のデータ群の中から、いかに意味のある項目を見つけ出せ、いかにそのデータに意味を持たせられるかが、データサイエンティストの腕の見せどころです。
分析にあたり、SAS・R・Python等のプログラミング言語や、AI・機械学習・ディープランニング等の知識が必要になることもあります。
課題解決
分析したデータをもとに、ビジネス上の課題を解決するための施策や戦略を考えていきます。
「処理をした情報をビジネスへどう活用し、事業や企業が利益を生むためにはどうすればよいのか?」ということを常に体系立てて考え、その企業に合ったビジネス戦略を導き出します。
よい施策を導き出すには、ビジネス分野やマーケティング分野への見解も必要です。
レポーティング・提言
分析結果をまとめたレポートを作成し可視化することも、データサイエンティストの仕事です。
最終的には、経営層や各事業担当者に向け、分析結果や課題解決のための施策をプレゼンテーションするため、複雑な情報をわかりやすく伝える能力も求められます。
データサイエンティストの役割
情報化社会とした現在では、世の中にさまざまなデータが溢れています。
なおかつ、以前は処理することのできなかった「ペタバイト」級にも及ぶ膨大なビックデータをも、処理できる技術・環境が整ってきました。
ビックデータを分析することにより、これまで見えてこなかったビジネス上の課題が見つかるなど、時としてデータサイエンティストの働きかけが、企業経営を大きく左右することもあります。
あるいはデータサイエンティストの打ち出した施策が発端となり、新たなビジネス戦略が進められて新商品や新技術の開発につながり、結果的に私たちの生活が豊かになることもあるでしょう。
そのように、企業のビジネスまた私たちの社会そのものを、データを用いて足元から支え改善することが、データサイエンティストの役割でありミッションです。
以前は「データサイエンティストなんてよくわからない」といった企業も少なからずありましたが、現在では「データを使うとこれほどのメリットがあるのか」と意識を改める企業も増えてきています。
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データサイエンティストの勤務先の企業の種類・活躍の場
勤務先としてはどんなものがある?
以前のデータサイエンティストの勤務先は、IT・Web・金融・製薬などのように、多くのデータを扱う業界、難しい課題に取り組んでいる業界の企業となるケースが中心でした。
しかし、さらなるIT化が進む中、さまざまな業界の企業が「ビッグデータ」を活用しはじめています。
現在では、大量にデータが存在する環境であれば、どの業界どこの企業においてもデータサイエンティストが活躍できる場はあるといえます。
データサイエンティストの主な勤務先には、次のようなものが挙げられます。
・シンクタンクやリサーチ会社
・経営コンサルタント会社
・IT系企業、SI企業、Web系企業
・ゲーム会社、ソーシャルゲーム会社
・大手総合メーカー
・自動車メーカー
・銀行、証券会社、保険会社などの金融系企業
など。
上記はあくまで一例であり、この他にも製薬業界、ヘルスケア業界、広告業界、アパレル業界、電力業界など、勤務先の業界・会社は多岐にわたります。
近年はどの業界においてもデジタル化が進んでいるため、データサイエンティストはさまざまな業界の企業で募集されています。
なお、中小企業よりも大手企業のほうが、データサイエンティストを積極的に募集している傾向にあります。
また、昨今は会社に雇用されず、フリーランスとして独立し、働くデータサイエンティストも増えてきているようです。
有名な企業
データサイエンティストを募集している有名企業の一例を紹介します。
・野村総研
・NEC
・日本IBM
・DELL
・富士ソフトABC
・DMM
・コロプラ
・GREE
・日立製作所
・スズキ
たとえば電機メーカーであれば、購買データなどから潜在ニーズを分析して新商品の開発やマーケティング活動に生かしたり、自動車メーカーであれば、膨大な走行データから車の安全性や低燃費技術にイノベーションを起こしたりと、企業によってさまざまなデータ活用法があります。
勤める企業によって、データ分析の手法や、扱うビックデータのジャンルも変わってきますので、その点も頭に入れた上で勤務先を選ぶことをおすすめします。
一般企業で働くデータサイエンティスト
メーカーや商社などの一般的な企業にデータサイエンティストとして就職すると、データ管理部門、企画マーケティング部門などに配属されるケースが多いです。
配属後は、勤める企業のビジネスに関係するビックデータを扱い、ビジネス上プラスとなるデータ分析を進めていきます。
たとえぱ電機メーカーであれば、自社が販売する電化製品の購買データなどから潜在ニーズを分析し、新商品の開発やマーケティング活動に繋げていくようなイメージです。
シンクタンクやリサーチ会社で働くデータサイエンティスト
「シンクタンク」や「リサーチ会社」の場合は、クライアントとなる外部の企業からデータ分析の仕事を受注し、代行してデータ分析を行います。
つまり、自社ではなくクライアントとなる企業のために、データ分析やビジネス戦略の提案を実行します。
ときには電機メーカーのビックデータの分析、ときには食品メーカーのビックデータの分析といったように、その時々で扱う対象が変わるのが特徴的です。
外資系企業で働くデータサイエンティスト
「IBM」や「DELL」といった外資系企業も、データサイエンティストの募集を行っています。
データサイエンティストは海外が本場でもあるため、外資系企業は国内企業以上にデータサイエンティストに重きを置いており、募集も積極的に行われています。
外資系企業の方が給料水準は高く、年収1000万円をこえる求人もたくさんあります。
ただし、外資系企業はその分求められるスキルのハードルが高く、完全実力主義の会社も多いですため、誰もが成功できるとは限りません。
フリーランスとして働くデータサイエンティスト
企業に雇用されるのはなく、独立し「フリーランス」として活躍するデータサイエンティストも少しずつ増えてきています。
データサイエンティストとして独立する上で、とくに必須の資格や条件はありません。
ただし、データサイエンティストはもともと高度なスキルが求められる職業であり、独立するとさらに求められるハードルは上がります。
外部の名の知れぬデータサイエンティストに、データ分析やビジネス戦略といった、会社にとって重要な役目を与える企業というのは少ないからです。
したがってフリーランスとして安定して仕事を得るためには、相手の信頼を十分得られるだけの職務経験や実績が必要になってくるでしょう。
データサイエンティストの仕事の流れ
データサイエンティストの仕事の一連の流れは、データ収集→データ分析→課題解決→レポーティング・提言の順で行うのが一般的です。
簡単にまとめると、ビックデータといわれる大量のデータを分析し、分析結果をもとにビジネスの課題解決に繋げていくのが、データサイエンティストの仕事です。
データを分析する知識はもちろんですが、そのデータの結果から問題解決への導く力も求められます。
なお、最初のデータの収集に関しては、後述する「データエンジニア」など、別部門の人間が担当することもあります。
データサイエンティストと関連した職業
データサイエンティストとデータエンジニアの違い
データサイエンティストと似た職業に「データエンジニア」があります。
データエンジニアは、必要となるデータを各方面から収集したり、集めたデータを整理・管理することが主な仕事となるケースが多いです。
いってみれば「データの準備」を担当する職業です。
データエンジニアが収集したデータをデータサイエンティストに受け渡し、データサイエンティストはその後の分析や課題解決を中心に行っていくという役割分担が一般的です。
ただし、データエンジニアが分析や課題解決まで担当することもあり、データサイエンティストがデータの収集から行うこともあります。
この2つは共通性の多い職業であり、企業や職場によって役割が重複することもあります。
データサイエンティストとデータアナリストの違い
データサイエンティストと似た職業に「データアナリスト」があります。
どちらもビックデータを分析し課題解決に繋げる仕事であり、仕事内容はほとんど同じです。厳密な線引も存在していません。
ただし、データアナリストはデータサイエンティストに比べ、データ収集や現状分析のフェーズに重きを置き得意としている職種と考えられることもあるようです。
「データアナリストは広く、浅く」、「データサイエンティストは狭く、より専門的に」と考え分けられることもあるようです。