データサイエンティストの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「データサイエンティスト」とは
ビッグデータを分析・解析し、それをビジネスに活用するための知見・情報を引き出す。
データサイエンティストとは、複雑で膨大な情報「ビッグデータ」を分析し、ビジネスに活用できる知見・情報を引き出す専門家です。
IT技術の高度化による情報化社会が進み、世の中にはありとあらゆるデータが溢れかえるようになりました。
そのような現代において、データサイエンティストによるビッグデータの分析結果は、企業がビジネス上の課題を発見したり、利益を生むための戦略を導いたりする目的で幅広く活用されるようになっています。
需要が急激に拡大している職業ですが、比較的歴史の新しい仕事であることから、日本ではビッグデータを専門に扱える人材はまだ不足しているといわれます。
大学等でも専門家の育成に向けた科目が多数設置されはじめており、これからデータサイエンティストを目指す人にとっては追い風の状況です。
統計学やデータ分析に関する専門知識はもちろん、ビジネス全般の知識やコミュニケーション力など、幅広く高度なスキルを備えた若い人材の活躍に期待が寄せられています。
「データサイエンティスト」の仕事紹介
データサイエンティストの仕事内容
「ビッグデータ」を分析し、ビジネスに活用させる
データサイエンティストとは、2007年に「データサイエンス」という言葉が新語として登場するとともに生まれた、比較的新しい職業です。
IT技術の発展による情報化社会が進み、世の中にはありとあらゆる膨大なデータがあふれるようになりました。
データサイエンティストは、統計学やITスキルなどの専門知識を駆使して、そうした「ビッグデータ」といわれる情報を分析する専門職です。
分析したデータは、企業の新たな商品開発やマーケティング活動に役立てたり、企業が利益を生むための戦略を導き出していったりするために活用されます。
データ分析の専門知識とビジネススキルを生かして活躍
データサイエンティストがおこなうデータ分析や統計処理の手法は、さまざまなものがあります。
各々の得意分野や専門分野を生かして仕事を進めますが、分析にあたっては、SAS・R・Python等のプログラミング言語や、AI・機械学習・ディープランニング等の知識が必要になることもあります。
分析結果が出たら、内容をレポートにまとめてわかりやすくプレゼンテーションするなどの仕事もおこなうため、幅広いビジネススキルも求められます。
データサイエンティストの活躍のフィールドは、IT業界をはじめ、金融業界やコンサルタント会社、各種メーカーなどあらゆる業界に広がっています。
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データサイエンティストになるには
大学や大学院で統計学やデータサイエンスを学んでおくと強みになる
データサイエンティストになるために、法律上必要とされる資格や学歴等はありません。
ただし、実際の業務では分析・統計学やIT、ビジネスどに関する、専門的で幅広い知識やスキルが求められます。
「ITエンジニア」や「ビジネスコンサルタント」の経験者が職歴を生かしてデータサイエンティストになるケースも見られますが、最近では新卒でデータサイエンティストを募集する企業も増えつつあります。
高校生など早い段階からこの職業を目指す場合には、大学もしくは大学院で統計学やデータサイエンスをアカデミックに学んでおくと、大きな強みになるでしょう。
多様な業界の企業で活躍できるチャンスがある
近年はどの業界においてもデジタル化が進んでいるため、データサイエンティストはさまざまな業界の企業で募集されています。
たとえばシンクタンクやリサーチ会社、経営コンサルタント会社、IT系企業、ゲーム会社、大手総合メーカー、銀行や証券会社など、多様な勤務先の選択肢があります。
全体としては、中小企業よりも大手企業のほうがデータサイエンティストの募集が多いです。
関連記事データサイエンティストになるには? 必要な資格やスキルを紹介
データサイエンティストの学校・学費
大学や大学院に進学する道が一般的
データサイエンティストに必須の学歴はありませんが、ほとんどの人は大学もしくは大学院を卒業しています。
データサイエンティストを募集するのは一部上場メーカーなどの大手企業、有名企業が多いため、応募資格として「大卒以上」の学歴が求められると考えておいたほうがよいでしょう。
学部・学科は不問ですが、学生時代に統計学を学んでおくことは、データサイエンティストの就職活動においても、また実務をスタートしてからも役立つはずです。
具体的には、理学部(数学科)、工学部、情報学部などのうち、データ解析や統計学、コンピュータサイエンスを学べる学部・学科への進学がおすすめです。
近年は「データサイエンス学部」を設置する大学も徐々に増えつつあります。
専門学校からでもデータサイエンティストになれる?
IT系やビジネス系の専門学校でも、データサイエンティストの業務に関連する勉強ができるところはあります。
たとえばデータサイエンティストとしても必要になるデータベースの操作スキルやプログラミングスキルなどは、専門学校のほうがより具体的に学べるでしょう。
実践的な科目も多く設置されており、早く現場に出て働きたい人にはおすすめです。
しかし、先述したとおり、データサイエンティストの活躍の場は大手企業が中心であり、専門学校卒では就職試験に応募すらできない場合があるため注意が必要です。
関連記事データサイエンティストになるためにはどんな学校に行けばいい?(大学学部・大学院)
データサイエンティストの資格・試験の難易度
スキルアップのために資格取得を目指す人も多い
データサイエンティストとして働くために、法律上必要な資格は存在しません。
ただし、特殊な知識・スキルが要求される専門職であることから、それらを対外的に示すための資格を取得しておくと、就職・転職の際に役立ったり、仕事をスムーズに進めやすくなったりすることがあります。
データサイエンティストの実務に関連する資格としては、以下のようなものが挙げられます。
データサイエンティストは、統計学に詳しいことだけではなかなか務まらず、加えてビジネス的な視点やITエンジニアとしての視点も必要とされます。
幅広い知識・スキルを習得するには時間がかかりますが、働きはじめてからも、自分のスキルアップのために資格取得に励む人は少なくありません。
データサイエンティストの給料・年収
一般的な会社員よりも高収入が見込める
データサイエンティストは、近年、非常に注目度が高まってきている職業のひとつです。
海外はもちろん、国内企業でもデータサイエンティストの給料や待遇は優遇されるケースが多く、一般的な会社員の1.5倍から2倍近くの収入が得られることもあります。
民間求人各社のデータをもとに見ていくと、平均年収は600万円以上で、経験を積めば1000万円以上も見込めるでしょう。
また、データサイエンティストは個々の専門知識・スキル、実務経験が仕事の成果に影響しやすいことから、実績や能力によって給料が設定されることもあります。
多様な経験を積んできたベテランになるほど、高収入が期待できます。
専門性を備えた人材は優遇されることが多い
データサイエンティストが勤務する会社は、いわゆる大企業が中心です。
そのため、福利厚生が充実しており、ボーナスの支給額も恵まれているケースが多いでしょう。
とくにデータサイエンティストの採用に力を入れている企業では、他職種の社員よりもよい待遇で働けます。
学生のうちから専門的な研究などに携わってきた優秀な人材は、別途「特別枠」として扱われることもあります。
また、社内で積極的にデータサイエンティストの育成を進める会社も増えており、豊富な技術教育制度や、本場アメリカへの長期研修や留学制度を用意している会社も出てきています。
関連記事データサイエンティストの年収はいくら? 給料についてくわしく解説
データサイエンティストの現状と将来性・今後の見通し
急激に需要が高まっており、新たな若手人材の登場に期待が集まる
データサイエンティストが誕生したのは、2007年に「データサイエンス」という言葉が新語として登場したことがきっかけです。
以後、スマートフォンの登場、インターネットの爆発的な普及によって、世の中では急激な情報化が進みました。
そうしたなか、各企業では膨大で複雑な情報を業務データとして扱うようになり、それをどう生かしていくかが企業の競争力や成長性を大きく左右する時代に突入しています。
いまや、あらゆる業界のビジネス発展のために、ビッグデータを専門的に扱えるデータサイエンティストの存在は欠かせないものとなっています。
求人が増加傾向なのに対し、海外に比べると国内のデータサイエンティストの人材は大きく不足していることから、これからこの職業を目指す若者にもチャンスは十分にあります。
国を挙げてのデータサイエンティスト育成の動きも加速しているため、多様なチャンスを積極的に活用し、次世代を担うデータサイエンティストを目指すことが可能です。
データサイエンティストの就職先・活躍の場
あらゆる業界で活躍できる可能性がある
データサイエンティストの就職先の多くは民間企業です。
もともとはITやWeb、金融、製薬などのように、多くのデータを扱う業界、難しい課題に取り組んでいる業界の企業が中心でした。
そこから時代が進み、現在ではありとあらゆる業界の企業で、データサイエンティストが募集されるケースがあります。
たとえばゲーム業界、広告業界、アパレル業界、電力業界などでも、データサイエンティストとしてのスキルを生かして活躍している人がいます。
なお、勤務先によって、仕事内容や仕事の進め方は異なると考えておいたほうがよいでしょう。
統計ソフトやプログラミング言語を用いた解析業務をメインで行うこともあれば、解析データをもとに課題解決のモデル作成、マーケティング活動に力を入れていく場合もあります。
なかには、解析をするためのアルゴリズムを開発する「研究職」に近い立場で働くデータサイエンティストもいます。
データサイエンティストの1日
オフィス内でのデータ分析作業やミーティングなどが中心
データサイエンティストは、1日の多くの時間をオフィスでのデスクワークやミーティングに費やします。
時期によって仕事の流れは異なり、データの収集や整理を行う時期もあれば、データ分析だけを行う時期もあります。
個人の裁量が大きな職場では、自分で現状を把握しながら、仕事の進め方をコントロールして働いている人も多いです。
ここでは、メーカーに勤務するデータサイエンティストのある1日の例を紹介します。
関連記事データサイエンティストの1日のスケジュール・勤務時間や休日も紹介
データサイエンティストのやりがい、楽しさ
専門職としての責任感や誇りをもちながら難題に挑戦できる
データサイエンティストは、データ分析やビジネスの幅広い知識を駆使して、難しい課題を解決に導こうとします。
自らが手掛けたデータ分析の結果によって、事業がよい方向に成長したり利益が上がったりすれば、大きな達成感が得られます。
ビジネスの方向性をも左右する重要な業務を担うだけに、経営層など、会社の上位職の人々と一緒に働く機会も多いです。
専門職として高く評価されることも多いため、「自分が企業の一部を動かしている」という実感が味わいやすく、責任感や誇りをもって働くことができるでしょう。
また、データサイエンティストは世間から脚光を浴びていますが、同時に発展途上の職業であり、多様な活躍の可能性を秘めています。
これから自分たちで職業の価値や地位を創っていくことができるのも魅力的です。
データサイエンティストのつらいこと、大変なこと
専門的な難しい業務を一人で黙々とこなしていくことも多い
データサイエンティストは、近年、世間から注目されることが増えてきた職業です。
ときには経営層などの上層部と一緒に仕事をする機会もあり、企業のビジネスを大きく左右させる働きかけもできるため、派手で華やかな仕事のようにも見られます。
しかしながら、実際には1日中オフィスにこもって膨大な数字を処理したり、プログラミング作業をしたりと、地味で根気強さが求められる業務も多々あります。
それでいて、高度な専門知識やスキルを駆使し、さまざまな側面から分析をおこなって成果を出していかなくてはなりません。
簡単に解決できない問題にも直面しますが、企業内では、他職種の人にあまりデータサイエンティストの役割が認知されていない場合があり、周りに頼れる人がいなかったり、一人で難題を抱え込んでしまったりするケースもあります。
関連記事データサイエンティストのつらいこと・大変なこと・苦労
データサイエンティストに向いている人・適性
数学や統計処理が好きで、幅広いビジネススキルを学ぶことに前向きな人
データサイエンティストは数学的知識や統計処理、プログラミング言語を扱うことから、それらを苦にしない人であることは、目指していくための前提条件です。
そのうえで、この職業に向いているのは、目的や課題に対して情報を集めて分析することが好きな人や、多種多様な情報を整理してまとめるのが得意な人です。
また、データサイエンティストの仕事では「分析したデータをビジネスにどう活用するか」という視点が重要になってきます。
常に先をイメージしながら予測を立てたり、論理的に答えを導いたりすることができる人に向いているといえるでしょう。
経営やビジネス、マーケティングなどに関する幅広いビジネススキルも求められるため、勉強することを嫌がらない、向上心の強いタイプの人のほうが適性があります。
関連記事データサイエンティストに向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
データサイエンティスト志望動機・目指すきっかけ
ビッグデータの可能性に魅力を感じて
データサイエンティストを目指すきっかけは人によってさまざまですが、もともとITやビジネスに興味があった人、データ分析が好きな人などが、志望する例が多いようです。
大学時代に統計学を学んだり、機械学習やビッグデータの分野に触れたりしたことで、データサイエンティストを目指したいと考えるケースもあります。
たしかにデータサイエンティストは、統計学やプログラミングなどのスキルを生かし、専門的な業務を担うことが可能です。
一方、大勢の前でビジネス戦略の立案や、課題解決の提案などのプレゼンテーションを行うこともあり得るため、ビジネスそのものへの興味をもっておくことは重要です。
関連記事データサイエンティストの志望動機と自己PRの考え方 志望動機の例文も紹介
データサイエンティストの雇用形態・働き方
企業では正社員としての雇用が中心、フリーランスで働く人も
情報化社会が進むなかで、データサイエンティストを積極的に活用しようとする企業が増えています。
大手企業を中心に、社内にデータ分析の専門部署・チームを設置する企業も見られるようになってきました。
データサイエンティストは専門性のある高度な業務を担うこともあり、正社員として安定した働き方をする人が多いです。
派遣社員、アルバイト・パートの求人もゼロではないものの、正社員に比べると見つけにくいでしょう。
また、企業でデータサイエンティストとしての経験・スキルを身につけたのちに独立し、フリーランスになる人もいます。
フリーランスになった場合、完全リモートワークで働く人、お客さま先のオフィスに出社して働く人など、あるいは定期的にお客さまに助言するアドバイザーとなる人など、さまざまな働き方が実現可能です。
データサイエンティストの勤務時間・休日・生活
勤務する企業によって忙しさが異なる
データサイエンティストの勤務時間は企業によりますが、一般的には「日勤」の勤務体系となります。
デスクワークが中心となるため、より柔軟な働き方ができる「フレックスタイム」を採用している職場もあります。
平常時は自分で業務の進め方をコントロールしながら働けますが、人手不足の職場では、一人ひとりのデータサイエンティストが抱える業務量が非常に多くなることがあります。
勤務先が多様であるため、休日がきちんととれるかや、残業時間はどれくらいかなどは、各企業で事情が異なると考えておいたほうがよいでしょう。
また、データサイエンティストの仕事では、ITやビジネス、マーケティングなどの新しい知識を常に習得しなくてはなりません。
そのため平日の業務時間外に自主学習をしたり、休日にも勉強会に参加したりしてスキルアップに励む人が多くいます。
データサイエンティストの求人・就職状況・需要
大手企業を中心に新卒社員が採用される例も増えている
データサイエンティストは、ITやWeb業界、ゲーム業界、ヘルスケア業界、広告業界、アパレル業界、金融業界など、さまざまな業界の企業で募集されています。
時代を追うごとに求人が増加傾向にあるとされる一方、国内のデータサイエンティストはまだ人手不足であり、これから目指していく人にもチャンスは多々ある状況です。
大手企業では、ポテンシャルの高い新卒社員をデータサイエンティスト候補として採用し、育成に力を入れる企業が増えつつあります。
ただし、大学や大学院で統計学やデータサイエンスを専門的に勉強してきた人が優先的に採用されるため、とくに大手企業への新卒入社を希望する場合は、大学の選び方に注意したほうがよいでしょう。
関連記事データサイエンティストの求人状況・就職先選びのポイント
データサイエンティストの転職状況・未経験採用
即戦力としての活躍が期待される
データサイエンティストの中途採用の求人は増加傾向にありますが、そのほとんどが「即戦力」を求めるものです。
ビックデータをビジネス戦略に用いる企業が増えていることもあって、経験者であれば転職は成功しやすいでしょう。
以下のような関連性のある他職業から、データサイエンティストに転職する例もあります。
・ITエンジニア
・ビジネスコンサルタント
・マーケッター、アナリスト
このような職業での経験があり、前職で得た知識・スキルをデータサイエンティストの業務に生かせるとアピールできれば、採用される可能性は十分にあります。
一方、関連性の薄い職業から転職する場合は、自主的に統計学や機械学習などの分野を学び、データサイエンティストとしての基礎的な部分をつくり上げておかないと、転職は厳しいでしょう。
関連記事データサイエンティストへの転職・未経験でもなれる?
データサイエンティストとデータアナリストの違い
どちらも同様にビックデータの収集・分析を専門に担う
データサイエンティストとデータアナリストは、どちらもビックデータのような大量のデータを収集・分析する仕事に携わります。
企業のビジネス上の課題を見つけるために不可欠な職業であり、両者はほぼ同じ役割を担う仕事と認識されることもめずらしくありません。
あえて両者を区別するのであれば、データアナリストはデータサイエンティストに比べると「データ収集」や「現状分析」のフェーズの比重が高い場合があります。
また、データアナリストは課題解決などコンサルタント的な業務を担う人と、機械学習といった専門的な技術知識を用いてデータの解析を担うエンジニア的な人に分類できます。
一方、データサイエンティストは、コンサルタントとエンジニアの両面を持ち合わせて活躍する人が多いという意見もあります。
ただし、企業によってはこういった区別もしていませんから、求められる知識やスキル、なるための道のりなども同様と考えておいて問題はないでしょう。
未経験からデータサイエンティストを目指すには
年齢は若いほうがチャンスが大きい
データサイエンティストは、IT系の仕事のなかでも高度な専門知識が求められる職種です。
そのため、プログラマーなどと比べると未経験から目指すのはやや難しく、大学・大学院などで統計学やデータサイエンスを学んでおくのに越したことはありません。
ただし、まだまだ人材が不足していることから、年齢が若ければデータサイエンティストになれるチャンスはあります。
未経験で大手企業のデータサイエンティストを目指す場合は、できる限り新卒、遅くても第2新卒で業界に入り込んでおくのが賢明です。
20代であれば、自主的に学ぶ姿勢や熱意を見せることで、データサイエンティスト候補として入社できる可能性はあります。
一方、30代や40代以上の未経験がデータサイエンティストを目指す場合は、統計やプログラミング、データベース運用、SQLなどに関して、最低でも基礎的な部分は理解しておきましょう。
経験がないうちは企業の規模にこだわらず、とにかく現場に入れるチャンスを積極的に探していくことも重要です。