公務員の階級・役職の一覧 各階級の名称も紹介
さらに、国家公務員専門職である警察や消防などでは、独自の階級的な呼び方が使われています。
ここでは公務員の役職や階級について詳しく解説し、どのような役職や階級に分かれているのかをみていきましょう。
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公務員には明確な上下関係がある
「役職」と「階級」の違いは?
公務員として長く働いていく場合に意識すべき重要な要素は、「役職」と「階級」です。
民間企業でも、一般社員、係長、課長、部長などといった役職が存在しますが、公務員の場合は法律に基づいて細かく定められた階級があります。
そして、階級によって給料や業務内容、役割が異なります。
「役職」と「階級」は同じような意味で使われることもありますが、役職は業務上のポジションを指し、階級は給料を決める基準となります。
公務員の階級は給料や昇進の基準になるため、キャリアアップを考える際には重要な要素です。
役職も同様に、責任や業務内容が変わるため、自己成長と経験を重ねることで昇進が望める場合もあります。
公務員としての長いキャリアを築く際には、自身の能力向上や経験を積むことに加え、役職や階級についての理解も大切です。
これらの要素を理解し、適切に活用して、公務員としての成長とキャリアアップを目指しましょう。
出世への道はさまざま
出世することで立場が上になり、給料が上がるのは一般的な考え方です。
しかし、公務員の場合は階級の上昇についてはいくつかのパターンがあります。
年齢や勤続年数によって自動的に階級が上がるケースもありますが、一部の職種では昇任試験を受験して合格する必要があることもあります。
たとえば、警察官や自衛官などがその代表的な例です。
さらに、官僚の場合は「キャリア」と「ノンキャリア」の区分によって、出世ルートが入庁時点でほぼ決まっていることもあります。
キャリアでない場合は一定の役職までしか昇進できない場合もあります。
公務員の出世においては、個々の職種や組織によって異なるルールが存在するため、キャリアアップを目指す際にはそれぞれの制度や条件をよく理解しておくことが重要です。
公務員の給与については、基本的には年齢や勤続年数の上昇に応じて給料も上がっていく傾向があります。
しかし、同じく年齢や勤続年数が同じであっても、役職(階級)によって給料の伸びには個人差が出てきます。
役職がつくと、役職手当が加算されるため、出世することで給料が増えることが期待できます。
そのため、順調に出世していくと、50代以上になれば民間の平均年収を大きく超える公務員も珍しくありません。
出世すると給料は高くなる
出世する、つまり地位が向上すると給料もアップします。
これは、おそらく皆さんが考えている通りのことです。
しかしながら、階級が自動的に上がる場合もあれば、警察官や自衛官のように昇進のための試験に合格する必要がある場合もあります。
他にも、官僚のように、「キャリア」と「ノンキャリア」の区分によって、入庁時から出世のルートがほぼ決まっている場合や、キャリアでない場合には一定の役職までしか昇進できない場合もあります。
公務員は、基本的に年齢や勤続年数が増えるに従って給料も増加しますが、同期に入職した人でも自分がどのポジションにいるかによって、給与の伸びに差が出てきます。
役職が付くと基本給に役職手当が加算されるため、着実に出世していくと、50代を超えると民間企業の平均年収を大きく上回る人も現れるでしょう。
警察官の場合
警察法第62条によると、警察官の階級は次のように定められています。
- 警視総監
- 警視監
- 警視長
- 警視正
- 警視
- 警部
- 警部補
- 巡査部長
- 巡査
制服には階級章がついているため、階級が一目でわかります。
新人警察官の給料は学歴によって分かれていますが、実力によって昇任スピードに差が出てきます。
階級を上げるためには、「昇任試験」か、勤務成績や勤続年数などに基づいて昇任する「選抜・選考」を受ける必要があります。
警察官の中で、馴染み深い交番などに勤務する若手警察官は地方公務員に該当しますが、階級が上がり「警視正」以上になると国家公務員の扱いとなります。
これにより、同じ警察官でも待遇に違いが生じることになります。
また、警察官になるためには大きく分けて2つの進路があります。
1つ目は、大学や大学院を卒業して国家公務員試験に合格し、警察庁に入庁する進路です。
国家公務員総合職試験に合格して警察官になると、幹部候補の「キャリア」として採用されます。
階級は「警部補」からスタートします。
一方、国家公務員一般職試験に合格して警察官になると、「準キャリア」として警察庁に採用されます。
この場合、階級は「巡査部長」からスタートします。
消防士の場合
消防吏員の階級は、最高位の消防総監から消防士まで全部で10段階あります。
消防司監 : 政令指定都市の消防長、東京消防庁の次長
消防正監:消防吏員の数が200人以上又は人口30万人以上の市町村の消防長
東京消防庁本庁の部長、消防方面本部長
消防監:消防吏員の数が100人以上又は人口10万人以上の市町村の消防長
東京消防庁の参事、消防方面本部副本部長、消防署長、消防署長
消防司令長:人口10万人未満の市町村の消防長
東京消防庁の副参事、分署長、副署長、課長、大隊長
消防司令
消防司令補
消防士長
消防副士長
消防士
昇級試験を受けることで階級が上がり、大卒区分と高卒区分では昇級試験を受けられるまでの期間が異なります。
大卒の方が短期間で次の昇級試験を受けることができるため、昇進に有利です。
また、試験ではなく推薦等によって階級が上がることもあります。
ただし、日本各地の自治体によって階級が異なる場合もあります。
地方の消防本部では5つ程度の階級に絞られていることも珍しくありません。
自衛隊の場合
自衛隊の階級制度は、以下のようになっています。
佐官(3佐→2佐→1佐)
准尉→尉官(3尉→2尉→1尉)
曹(3曹→2曹→1曹→曹長)
士(2士→1士→士長)
曹は士を直接指導し、小部隊のリーダーとして活躍します。
一方で、尉官以上になると「幹部」として扱われ、部隊の骨幹としての役割を担います。
自衛隊でも警察官と同様に、独自の階級章が制服につけられており、昇任試験が存在します。
昇任試験は、士長から曹へ昇級する際と、曹長から幹部である3尉へ昇進する際に実施されます。
士長のままで自衛隊に残れる期間は約3任期(約6年)という決まりがあるため、もし自衛隊に残ってずっと働きたい場合は、この任期内に試験に合格する必要があります。
海上保安官の場合
海上保安官の階級は、以下のように全部で13階級に分かれています。
- 組織長
- 海上保安庁長官
- 次長
- 海上保安監
- 海上保安監
- 一等海上保安監(甲)
- 一等海上保安監(乙)
- 二等海上保安監
- 三等海上保安監
- 海上保安正
- 一等海上保安正
- 二等海上保安正
- 三等海上保安正
- 海上保安士
- 一等海上保安士
- 二等海上保安士
- 三等海上保安士
海上保安官になるには、海上保安大学校もしくは海上保安学校に入学する必要があり、それぞれの学校で卒業時の階級が異なります。
「海上保安大学校」の卒業生は幹部候補とされ、中型巡視艇船長になれる「三等海上保安正」として配属されます。
一方、「海上保安学校」の卒業生は、航海士補、機関士補、主計士補などの専門職として活躍できる「三等海上保安士」として配属されます。
地方公務員(行政職)の場合
地方公務員として役所で行政職として働く場合、係員級からスタートし、以下のような順に昇進していくことが一般的です。
- 部長
- 次長
- 課長
- 課長代理
- 主幹
- 係長
- 主事
ただし、各役職に就く目安の年齢はある程度決まっていても、必ずしもその通りに進むわけではありません。
入庁して数年は、おおよそ決まった業務を任され、全員が同じスピードで経験を積んでいくことが一般的ですが、主任以降になると、個人の能力や成果によって差が出てくることが多いです。
また自治体によっては、昇任にあたって人事考課だけでなく、筆記試験への合格が昇任の条件になる場合があります。
地方公務員の多くは、係長・班長クラスの役職にまで達して定年を迎えることが一般的です。
ただし、一部の優秀な人たちは次長や部長に昇進することもあります。
国家公務員の場合
中央官庁で働く国家公務員(官僚)の役職は多岐にわたり、省庁ごとに若干の違いがありますが、一般的な役職の名称について説明します。
事務次官以下の役職は、国家公務員で構成されます。
官房長:省庁の官房を統括する役職
局長:省庁の局を統括する役職
部長:省庁の部を統括する役職
局次長:省庁の局の次長職
課長:省庁の課を統括する役職
課長補佐:課の補佐をする役職
室長:省庁の室を統括する役職
企画官、専門官:専門的な業務を担当する役職
係長:省庁の係を統括する役職
主任:職場でのリーダー的な役職
国家公務員はキャリアとノンキャリアとの違いにより、昇進スピードが異なります。
キャリアは総合職として採用され、昇進スピードが速く、30代で課長補佐、40代で課長クラスになることが一般的です。
一方、ノンキャリアは昇進できるのは課長補佐までで、昇進スピードも総合職より遅めとなっています。
まとめ
役職や階級は、業務上のポジションを指し、給料を決める基準となるものです。
また、自衛隊などの職種は、特定の組織や業務に特化した職務を担当するため、通常の地方公務員や警察官とは異なる階級制度が導入されています。
役職や階級を上げるには、経験を積むほか、昇進試験や周囲からの推薦などが必要な場合があります。