中学の美術教師になるには

免許が取得できる大学を見つけよう

美術教師になるためには、中学校教諭1種免許状(美術)を取得できる教職課程の設置大学に進学しましょう。

美術の教員免許状は他の教科に比べると取得できる学部学科が限られています。美術大学か教育大学の美術教育学科を目指せば確実です。

中学校の教師は高校に比べて教科指導以外で生徒と接する機会が多いため、教育学部への進学を考える人が多い傾向にあるといえます。

在学中からボランティア等で学校現場を体感できる機会があるため、採用後に大きな強みになります。

どの科目も中高同時に免許を取得する人が多いですが、教育学部であれば小学校の免許も取得できるため、進路決定の際に有利です。

苦手な生徒も得意な生徒も一挙に担当

高校の美術が選択必修科目であるのに対し、中学校の美術はすべての生徒が履修します。

得手不得手に関わらずすべての生徒が同じ課題に取り組み、美術教師はそれを導かなければなりません。

前向きに取り組む生徒もいれば苦手意識が強く、なかなか気持ちがのってこない生徒もいるでしょう。

教科指導以前の部分で苦心することが少なくないのが中学校の美術教師の大きな特徴であるといえます。

こういった観点から考えても前項で述べた通り、教育学を専門的に学んでおく必要性が高いといえます。

また適性として自身が美術を得意とし、好きであるというだけでは務まらないことを強調しておきます。

中学校の美術教師を目指す人は美術を通して中学生という多感な時期の生徒たちに何を伝えたいのか、この先の人生において美術で学んだことをどう生かしてほしいのかといったビジョンを明確に持つことが必須です。

正規雇用までは長い道のりになることも

公私問わず採用は非常に狭き門であることを覚悟しておきましょう。

美術は単純に単位数が少ないため、正規の教員が1名しか配属されていないという学校も少なくありません。加えて非常勤講師が1〜2名置かれるかどうかといったところです。

公立での勤務を希望している人はまずは自治体で講師登録をするとよいでしょう。

講師として現場での経験を積みながら毎年採用試験を受け、正規での採用を目指します。

採用試験は他の教科と共通の筆記試験、論文試験に加えて実技試験も課されるため、十分な対策をしておく必要があるでしょう。

私立での勤務を希望する人は私学適性検査を受け、面接のチャンスを作ったり、講師派遣会社に登録をしたり、各学校の求人をチェックしたりと情報収集することが採用への一歩となります。

まずは非常勤講師として採用されることを目指し、そこで正規雇用を目指すことになるでしょう。いずれにしても長期戦を覚悟しておく必要があります。

生徒指導力は必須

前述のように美術が苦手な生徒への指導は骨が折れるものです。実技科目であるゆえに学級の集中力を維持できないと授業が崩壊してしまう恐れもあります。

教科指導力に加えて高い生徒指導力が必要であるといえるでしょう。

ただし、この点に関しては経験がものをいうという側面も大いにあります。

経験を重ねるにつれて自分の指導スタイルが確立され、生徒との距離の取り方を掴むことができてくると効果的な働きかけができるようになるでしょう。

苦労した分、生徒がよい作品を仕上げてくれたときはやりがいを感じることができます。

作品展は腕の見せ所

どの学校も年度内のどこかに作品展を開催するのが一般的です。これを取り仕切るのが美術の教師になります。

学校行事の運営は大きな労力が必要であり、準備期間は他の仕事がほとんどできないという場合もありますが、これこそが中学の美術教師の醍醐味であるといえるでしょう。