キャリアコンサルタントになるには
キャリアコンサルタントになるまでの道のり
「キャリアコンサルタント」は、キャリアコンサルティングを行う専門家であり、国家資格の名称でもあります。
「キャリアカウンセラー」や「キャリアアドバイザー」など、人のキャリアを支援する仕事はさまざまあり、キャリアカウンセリング自体は資格を持たなくても行えます。
ただし「キャリアコンサルタント」と名乗れるのは、この資格を取得した人のみです。
キャリアコンサルタントになるには、国家試験を受けて学科試験と実技試験(論述および面接)の両方に合格し、キャリアコンサルタント名簿に登録する必要があります。
その後、人材業界関連の企業や、その他の企業、ハローワーク、大学などへ就職し、キャリアコンサルタントとして活躍します。
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キャリアコンサルタントの資格・難易度
キャリアコンサルタント国家試験には、受験資格が定められており、以下のいずれかを満たす必要があります。
(1)厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した人
(2)労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力開発および向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する人
(3)技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験に合格した人
(4)平成28年3月までに実施されていたキャリア・コンサルタント能力評価試験の受験資格である養成講座を修了した人(平成28年4月から5年間有効)
国家試験は学科試験と実技試験があり、個別で受験することが可能です。
合格率は、学科・実技を同時に受けた場合、55%~60%程度となっています。
キャリアコンサルタントの国家資格取得後も5年ごとに更新し、最新の知識・技能を身につける必要があります。
キャリアコンサルタントの資格の種類・難易度
キャリアカウンセラーの試験(CDA)の難易度・合格率
キャリアコンサルタント資格取得の学費・費用
国家試験の受験資格を得るために受講する
キャリアカウンセラーなど、キャリア支援の専門家であることを示す資格は、民間のものを中心にいくつもあります。
しかし、2016年4月に「キャリアコンサルタント国家資格」の制度がスタートしたことで、現在はキャリア支援の仕事に就こうとする場合、この資格取得を目指すのが一般的です。
キャリアコンサルタント国家資格を取得するため方法はいくつかありますが、キャリア支援の実務経験がない場合、「厚生労働大臣が認定する養成講座(講習)」を受講するのが通例となっています。
キャリアコンサルタントの認定養成講座は、令和2年4月1日時点で21種類です。
民間のスクールへ通学するものが中心ですが、一部では、通学と通信を組み合わせて学べるものもあります。
講座の種類によって学費やかかる費用は変わってくるため、カリキュラムと同時に、その点もよく確認してから決めることをおすすめします。
キャリアコンサルタント養成講座の学費は?
キャリアコンサルタントの養成講習は、「特定非営利活動法人 キャリアカウンセリング協会」「一般社団法人 日本産業カウンセラー協会」「株式会社日本マンパワー」など、複数の団体が実施しています。
養成講座の学費はそれぞれで異なりますが、30万円?40万円前後が相場となっています。
なかには20万円台後半で学べる講座もあるものの、基本の受講料以外に「入学金」や「教材費(テキスト費)」などが別途かかるものもあるため、その点も事前に確認してください。
試験対策だけでなく、実践に即したカウンセリングの講義などもプラスして受けるとなると、さらに10万?20万円程度追加される場合もあります。
まとまった費用が必要になりますが、教育訓練給付金の対象講座に指定されている講座では、個人で受講する場合は「教育訓練給付制度」の支給申請が可能です。
学費や教育訓練給付金対象講座については、各スクールのWebサイトやパンフレットに掲載されています。
不明な点があれば、スクールに直接問い合わせてみることをおすすめします。
キャリアコンサルタント養成講座の選び方
一般的には、通学のみで構成されている講座のほうが、通信が含まれた講座よりも、カウンセリング実技の時間が多くとられている傾向にあるようです。
少しでも実践力を高めたい場合、通学講座を選ぶほうがよいでしょう。
しかし、通学+通信講座のメリットは、社会人で勉強できる時間が限られていても、夜や週末などを利用して自分のペースで勉強しやすいことです。
また、自宅でテキストやDVD、Webを使い、繰り返し学べるのもメリットといえます。
このほか、キャリアコンサルタント国家資格以外の、キャリアカウンセリングに関する資格取得が同時に目指せる講座もあります。
費用はもちろんですが、カリキュラムや学習方法も含め、さまざまな点を比較して自分に合うものを探してください。
国家試験の受験料や登録手数料も必要
キャリアコンサルタント国家資格取得を目指す場合、養成講座の費用以外にもお金がかかります。
まず、キャリアコンサルタント国家試験の受験料は、学科試験が8,900円、実技試験が29,900円となっています(令和2年度の場合)。
また合格後、キャリアコンサルタント国家資格を生かして働くには、キャリアコンサルタント名簿に登録しなくてはなりません。
登録免許税が9,000円、登録手数料が非課税で8,000円です。
登録免許税は、キャリアコンサルタント登録申請書の所定欄に郵便局等で購入した収入印紙を貼付する形で納めます。
また、5年ごとの登録更新の際には、更新手数料として8,000円(非課税)が必要です。
養成講座の受講費用と合わせて、余裕をもってお金を準備しておきましょう。
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キャリアコンサルタントになるための学校の種類
キャリアコンサルタントになるために、決まった大学や専門学校などに通わなくてはならないわけではありません。
キャリアコンサルタント国家資格を取得する方法はいくつかあり、職業選択や能力開発に関するコンサルティングの実務経験を積めば、学歴関係なく国家試験の受験資格を得られます。
また、民間企業や団体などが実施する、厚生労働大臣認定の講習を受けて国家試験の受験資格を得ることも可能です。
実際にキャリアコンサルタントとして働く人の学歴や、学生時代の専攻もさまざまなようです。
ただし将来の就職を考えると、「大卒以上」の学歴を応募資格にする企業もあるため、大学に進学しておくと就職先の選択肢は広がるでしょう。
キャリアコンサルタントに向いている人
人のために動くことをいとわない
キャリアコンサルタントは1対1で相談者と接する機会が多く、人の心の深いところまで触れていきます。
まずは人が好きで、誰かのためになる仕事がしたいという思いが持てる人は、この仕事に向いています。
また、人の本当の感情にまで思いを巡らせられる人も、キャリアコンサルタントの適性が十分にあるでしょう。
キャリアで悩んだ経験がある
自分自身の進路や就職を考えるときに、深く悩んでつらい思いをしたことがある人は、キャリアコンサルタントに向いています。
何の苦労もせずに順調にキャリアを積んできた人は、なかなか他人の悩みや苦しみがわからないものです。
しかし、自分のことで悩んだことがあれば、相手の気持ちをより理解しやすいでしょう。
答えがない中で勉強を続けられる
キャリアコンサルタントは、たとえ資格をとったり、企業などに就職したりしたとしても、そこがゴールにはなりません。
相談者によって抱える課題や悩みは異なり、またカウンセリングには絶対的な正解がないため、ときには解決が難しいケースにも遭遇します。
しかし、キャリアコンサルタントは自分の知識やスキルをフルに集めて、目の前の相談者に最適な助言を考えていく必要があります。
より多くの人の悩みを解決するためには、自分が勉強を続けることが必須です。
キャリアコンサルタントのキャリアプラン・キャリアパス
キャリアコンサルタントは、勤務先となる企業や教育機関、行政機関などで経験を積みながら、相談者の多様なケースに対応できる知識・スキルを身につけます。
勤務先によって相談者の抱える悩みの種類にも違いが出るため、転職して自分の幅を広げていく人もいます。
なお、現在はキャリアコンサルタント国家資格のほか、以前からあった「キャリアコンサルティング技能検定(1級・2級)」という国家技能検定も引き続き行われています。
この国家技能検定は、厚生労働省が定めるキャリアコンサルタントの4段階のレベル(導入レベル、標準レベル、熟練レベル、指導者レベル)のうち、2級は「熟練レベル」、1級が「指導レベル」に該当します。
キャリアコンサルティング技能検定の受験には実務経験が求められるため、経験を積んだキャリアコンサルタントは、さらなるキャリアアップを目指して、国家技能検定を受けるケースもあるようです。
キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)の雇用形態
キャリアカウンセラーの正社員比率
キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)の活躍の場はたくさんありますが、必ずしも正社員として雇用されるわけではありません。
契約社員や業務委託契約のみの採用を行っている場合もあります。
厚生労働省委託により、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが平成23年3月に発表した「キャリア・コンサルティングに関する実態調査結果」によれば、「正規社員・従業員(正社員)」の割合が45.2%。
「非正規職員・従業員(契約社員やパートタイマーなど)」は33.0%。「フリー・自営業」は12.8%という結果になっています。
平成28年4月にキャリアコンサルタントが国家資格化されたことで、これから国家資格の有資格者は正社員としての雇用が増えることも考えられますが、さまざまな働き方があることに変わりはありません。
正社員
一般企業、人材派遣会社、学校、公的機関など多様な職場で活躍しており、もっとも安定的な雇用形態といえます。
待遇、福利厚生も充実している職場が多く、他の雇用形態よりも高い給料(年収)が望めます。ただし、正社員としての採用は「経験者のみ」としている場合が多いです。
契約社員
数ヵ月、もしくは年度ごとの契約を結び、都度契約を更新していく働き方です。
勤め先の事情によって契約解除される可能性もありますが、仕事ぶりを認めてもらえれば、何年も同じ職場で働き続けられる場合もあります。
ただし、正社員よりも給料は低くなるのが一般的です。
派遣社員
派遣会社に人材登録し、自分に合う仕事があれば紹介を受け、派遣先で仕事をするスタイルです。
キャリアカウンセラーの派遣先は一般企業や大学が多いようです。最初から期間限定の契約を結ぶ場合もあり、派遣先が見つからなければ仕事ができないという不安定さもあります。
まれに、実力や経験豊富な人であると、正社員並みの給料がもらえる場合もあります。
パート
パートとして、1日のうちに数時間程度、限られた時間のみ勤務する働き方もあります。
給料は時給制であり、正社員ほどの高い収入を望むのは難しいですが、スキルや資格を持った人が家庭と両立させながら働くケースも多いようです。
フリーランス
フリーランスの場合は企業などに雇用されるのではなく、教育機関や企業と個別で業務委託契約を結び、その契約内容に従って仕事する働き方です。
いくつもの企業などと契約を結んで、さまざまな仕事をこなしている人もいます。
個々の技量や経験によって、収入は大きく変わってきます。
キャリアコンサルタントは開業・独立できる?
キャリアコンサルタント資格だけでの開業・独立は難しい
キャリアコンサルタントは、近年、注目され始めている国家資格のひとつです。
国としても質の高いキャリアコンサルタントを輩出しようとする取り組みを行っており、この資格をもつことで、キャリアコンサルティングに関して一定レベルに達していることが証明できます。
しかし、キャリアコンサルタントの国家資格を持っているだけで開業や独立が成功するとは限りません。
というのも、キャリアコンサルタントは業務独占資格ではないため、「キャリアコンサルタントにしかできない仕事」というものがないからです。
実際、キャリアに関するカウンセリングすること自体は、無資格でも可能です。
たとえば民間のカウンセラー資格保持者でもキャリア面談はできますし、資格を持たないけれど豊富な実務経験があり、その知識・スキルを生かして働く人もいます。
国家資格を持っているとしても、プラスアルファの強みや経験が求められてくると考えておくべきでしょう。
確かな経験、実績を積むことが大切
キャリアコンサルタントとして開業・独立を目指すのであれば、まずは現場でキャリアコンサルティング経験を多く積み、多様なケースを解決しながら、実践的なスキルを身につけることが大切です。
キャリアコンサルタントには、企業やハローワークなどの公的機関、教育機関など幅広い活躍の場があります。
なかにはキャリアコンサルタントの資格がなかったり、実務経験が浅かったりしても、アシスタントとして採用しているところもあります。
なんらかの形で現場に入り、地道にキャリア支援の経験を積みましょう。
また、キャリアコンサルタント国家資格を持っているだけで成功するわけではないものの、資格を持っていればクライアントからの信頼度を集めやすくなるのも確かです。
ステップアップの一環として、キャリアコンサルタント資格取得を目指したり、その上の「キャリアコンサルティング技能士」の取得に挑戦したりする人もいます。
こうして専門性を磨き、経験を積んでいくと、開業や独立の道も開けてきます。
独立したキャリアコンサルタントの活動の仕方は?
日本の場合、キャリアコンサルタントが個人のクライアントと直接契約を結んでキャリアに関する面談を行う例は、まださほど多くありません。
独立してからも、学校などの教育機関や一般企業、公的機関などと業務委託契約や顧問契約を結び、その場に所属する人(学生や従業員など)のカウンセリングに携わるのが一般的です。
そのため、独立してからも、必ずしも自宅や自分の事務所でカウンセリングする必要はなく、契約先に出向いて仕事することも多いです。
このほか、実績を重ねてキャリアコンサルタントとしての名前が売れてくるようになれば、講演会や研修、セミナーなどで収入を得ることも可能になってきます。
しかし、そうした場に人を集めるためには、専門性を磨くのはもちろん、自分の得意分野をもつことも重要です。
人事の実務経験、あるいは心理学やメンタルヘルスなどキャリア支援と関連性のある知識・スキルを備えていると、活躍の幅を広げていきやすいでしょう。
キャリアコンサルタントを目指せる年齢は?
キャリアカウンセリング自体は、資格を持っていなくても行えます。
ただし、特別なスキルや専門知識を必要とする仕事であることや、厚生労働省もキャリアコンサルタントのレベルを明確に示していることから、やはりキャリアコンサルタントの国家資格を取得するほうが信頼性の面でも有利になるでしょう。
キャリアコンサルタントの国家試験には年齢制限がありませんから、何歳からでも目指せます。
ただし、実務未経験からの就職の際には、年齢は若いほうが有利になることが多いです。
キャリアコンサルタントは高卒から目指せる?
キャリアコンサルタント国家試験には学歴制限がないため、高卒の人でもキャリアコンサルタントを目指せます。
しかし就職の際には、企業などによっては高卒者は応募できない場合もあるため注意してください。
さまざまな人が抱えるキャリアの課題を把握し、支援していくためには、幅広い知識や教養、一般常識なども求められてきます。
学歴がすべてではありませんが、学生時代にしっかりと勉強に励み、さまざまなことを身につけておくと、将来役立つでしょう。