弁護士と税理士の違い

弁護士と税理士の仕事内容の違い

弁護士は「法律トラブルを解決する専門家」として、依頼者からの法律相談に乗ったり、依頼者に代わって示談交渉や訴訟を行ったりします。

一方、税理士の仕事は、納税者に代わって納税書類を作成したり、税額を計算したり確定申告作業などを行うことで、「税についての専門家」といえます。

こうして並べてみると、弁護士と税理士はまったく違う職業のように思えるかもしれません。

しかし、たとえば弁護士が相続に関する法律相談を受け付けると、相続税や贈与税の問題が絡んでくるといったように、お互いの業務にはある程度の関連性があります。

資格制度上も、弁護士資格を有する人は、税理士会に登録するだけで税理士業務も手掛けられるといった特徴があります。

ただし、すべての弁護士が税務に通じているわけではなく、司法試験においても会計論や租税法は範囲外です。

実際に弁護士資格を使って税理士登録している人が税理士全体の1%に満たないことを考えても、弁護士と税理士は、お互いの業務は関連し合っているものの、あくまで別々の専門家とみなすべきでしょう。

税理士の仕事

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す(PR)

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

弁護士と税理士のなる方法・資格の違い

弁護士になるためには司法試験に、税理士になるためには税理士試験に、それぞれ合格することが必要ですが、どちらも試験を受けるためには受験資格を満たさなければなりません。

司法試験を受けるためには2つの方法があり、4年制大学を卒業した後、法科大学院に進学するか、司法試験予備試験を受けて合格することが必要です。

一方、税理士試験の受験資格を得る方法は、学歴や職歴に関するものなど複数あり、大学で法律学や経済学の科目を履修する、税理士事務所に2年以上勤める、簿記検定1級を取得するといったものがあります。

また、試験合格後に資格を登録するためには、弁護士の場合は司法修習を受けて通称「2回試験」と呼ばれる考試に合格することが、税理士の場合は2年間の実務経験を積むことが、それぞれ条件となっています。

なお、税理士に関しては、税理士試験を受ける以外にも、税務署などで23年以上働いた後に所定の研修を受ける、弁護士や公認会計士の資格を取得するといった別のルートが存在しています。

弁護士と税理士の資格の難易度の違い

司法試験は、文系国家資格最難関といわれており、法科大学院で法律の勉強だけに数年間打ち込んできた人であっても、合格率は約25%前後です。

一方、税理士試験は、会計や税法に関する全11科目のうち5科目に合格することが必要ですが、1科目に受かるだけでも数百時間の勉強が求められる難関で、合格率は10%前後となっています。

ただし税理士試験には「科目別合格」が認められており、5科目すべてを同一年度に合格しなくてもよいという特徴があります。

このため、試験自体の難易度を比較すると、司法試験のほうが税理士試験より難しいとされています。

また、弁護士資格を得るには、司法試験だけでなく、法科大学院入試または予備試験、司法試験合格後の司法修習考試など、いくつもの関門を突破しなければなりません。

そういった事情を勘案すれば、弁護士のほうが税理士より資格取得難易度はかなり高いといえるでしょう。

ただ、あくまで弁護士と比べると税理士のほうがやさしいというだけで、税理士資格も取得が非常に困難であることには違いなく、合格までには少なくとも数年、長い人だと10年以上かかる場合もあります。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

弁護士と税理士の学校・学費の違い

弁護士を目指すなら、大学進学はほぼ必須であり、学部については法学部を選択することが有利なのは間違いありません。

法学部生は、4年間の間に法律についてしっかりと学習できるうえ、法科大学院での勉強期間が他学部卒業生より1年間も短くてすむというメリットがあります。

一方、税理士になるには、大学進学は必須とまではいえないものの、できれば法学部や経済学部に進学し、受験資格を満たすとともに、会計や法律について学ぶことが望ましいでしょう。

大学院まで進学し、税法や会計学の学位まで取得できれば、試験科目のうちの一部が免除されるというメリットも得られます。

なお、司法試験・税理士試験ともに難関であるため、大学や大学院に加えて、民間の資格学校や予備校に通って、「ダブルスクール」で勉強に励むケースも珍しくありません。

弁護士・税理士とも、大学・大学院の学費や予備校費用など、多額の学費がかかるという点は共通しています。

ただ、総額を比較すると、法科大学院まで進学する人が多い弁護士のほうが、税理士より経済的負担は重くなりやすいでしょう。

弁護士と税理士の給料・待遇の違い

法律事務所や税理士事務所、あるいは一般企業などに勤める場合、弁護士の平均年収はおよそ1000万円前後、税理士の平均年収は700万円前後とされています。

どちらも資格取得の難易度が高いだけあって、平均的サラリーマンを大きく上回る高給が期待できますが、弁護士のほうが税理士よりさらに稼ぎやすいようです。

独立開業すると、より高収入を得ることも可能であり、弁護士・税理士とも、なかには年収が数千万円に達している人もいます。

ただ、開業にはリスクもあり、思ったように顧客を獲得できなければ、勤務時代の収入を下回るばかりか、年収300万円以下で生活していくのがやっとという事態に陥る可能性もあり、廃業する人も一定数います。

双方の資格とも、会社員や公務員よりも個々の実力がそのまま給料に反映されやすいため、どれくらい稼げるかは自分次第といえるでしょう。

弁護士と税理士はどっちがおすすめ?

弁護士・税理士ともに、顧客からの依頼を受けて、専門的な相談に応じたり、交渉や事務処理などを代行する仕事であり、働き方はある程度似通っているかもしれません。

ただ、相続関連など、一部重複している業務もありますが、基本的に弁護士は「法律・トラブル解決」についてのプロであり、税理士は「税・会計」についてのプロです。

もしもどちらの道に進むべきか迷っているなら、資格取得の難易度や待遇面、将来性などは一旦棚上げして、純粋に興味の強いほうを選ぶとよいでしょう。

どちらの道に進むにしても、長く厳しい勉強に耐え続けなくてはなりませんので、個々の分野にどれだけ興味や関心を持てるかは、合否を分ける非常に重要な要素といえます。

また、どうしても選べないという場合、司法試験を受けて弁護士になれば、税理士業務も営むことができるため、両方の仕事を経験してみるという方法も考えられます。