弁護士は、人生のすべての経験が生きる仕事

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弁護士吉成 安友さん

1973年生まれ大分県出身。1996年早稲田大学法学部卒。2005年に司法試験に合格後、法律事務所勤務を経て、2010年1月にMYパートナーズ法律事務所を設立。
座右の銘:Amor fati(運命愛)

これまでの経歴を教えて下さい。

大学卒業後は、いろいろな仕事をしましたが、社会人入試や大学院入試などの指導を中心とする予備校の講師が一番長かったですね。今と違ってロースクールに行かなくてもよかったので、仕事の合間に司法試験の勉強をしてました。

試験は何度も受けましたが、試験直前だけしか勉強してませんでした。やはり、そんな甘いものではなく、なかなか通りませんでしたね。それでも、最後の一年はなんとか時間を取って一年を通じて勉強し、結果として合格することができました。

司法試験合格後、1年4ヶ月の司法修習を経て、比較的大きな法律事務所に入りました。その後、今の事務所を友人と2人で立ち上げて現在に至ります。

司法試験の勉強で大変だったのはどのあたりですか?

司法試験の勉強を始めたとき、「あ〜、こんなに覚えることあるんだ。」と憂鬱になりました。僕は記憶力があまりいいほうではないので・・・。それでしばらく、暗記することに苦労しましたね。

でも、司法試験というのは暗記さえすれば合格できるというものではなく、理屈を理解したり、論理を把握することが大切なんです。そのことに気がついてからは、今まで覚えられなかったことも、すっと頭に入るようになりました。

あとは試験がハードでしたね。3時間半のマークシート試験に通ると、今度は各2時間ずつの論文試験を6科目2日間で受けることになります。さらに、当時は、口述試験という面接形式の試験もありました。

そして、実はそれ以上に大変な試験が、司法修習の最終試験。丸一日ぶっ通しの試験が丸5日続くんです。落ちてしまうと資格は与えられず、再試験は次の修習生の試験まで待って一緒に、ということになってしまうので、気が抜けませんでした。

吉成さんは弁護士になられましたが、裁判官検事になる人はどんな人ですか?

司法修習では、裁判官や検事希望の人も共通なので、僕も取調べの講習などを受けましたが、僕には弁護士が合っている気がしました。

裁判官は、比較的若くて成績優秀な人がなるという雰囲気があって、検事は「検事をやりたい!」という強い希望をもった人がなるというイメージでしたね。検事の人気は、以前はそれほど高くなかったようですが、ドラマ(「HERO」)の影響か、志願者が増えたみたいです。

弁護士として、今どんな仕事をしてますか?

民事、刑事、企業顧問とあまり専門領域を絞らず、幅広いジャンルを扱っています。訴訟や調停といった仕事も多いですが、それ以前の「交渉」に関わることも数多くあります。裁判になった後の弁護だけでなく、起訴されないために示談交渉を行ったりといったこともしています。

企業顧問の仕事では、顧問先の企業からよく相談の電話がかかってきますし、メールも随時チェックしています。

刑事事件は件数としては少なく、年に数件くらいです。起訴されないためにどうしたらよいかといった相談に乗ったりもしています。

弁護士は忙しいというイメージがありますが、残業は多いですか?

事務所から帰る時間は平均すると21時か22時くらいです。その後持ち帰って仕事をすることも多いので、仕事をしている時間は長いと思います。

ですが、自分で事務所をやっているということもあり、「残業」というようには捉えてないですね。自分の裁量の幅が大きいので、19時頃に切り上げて帰ることもできます。

裁判所に提出する書類の締切が近いときは、それが終わるまで帰ることはできませんが、それ以外のときは自分がやりたいから時間をかけてやっているという感じです。

一般的な弁護士の仕事は、ほとんどが裁判所に提出する書類の作成に費やされます。どんな証拠があればよいか、どんな論理が有効かなどを考えているうちに、時間が経ってしまいます。

毎日が充実していて、1週間がすぐに終わってしまうくらいなので、残業をしているという感覚は全くないです。

もちろん勤務先の事務所によって仕事の時間は変わってきます。企業系の弁護が中心の事務所に勤務している人は、締切などが多くて、大変そうに見えますね。

仕事のやりがいはどんなところにありますか?

仕事の結果が直接的に見えるところに、やりがいを感じています。世の中には成果が見えにくい仕事もありますが、弁護士の仕事はすぐに結果がついてくるので、自分にとっては合っていると思います。

訴訟などでは、「人生が変わるところに関わっている」という非常に大きなやりがいを感じます。なので、仕事は全く苦になりません。弁護士になる前は、「弁護士はトラブルに関わることが多く、大変な仕事」と思っていましたが、実際に働いてみると、いい意味で違っていました。

とても仕事が充実しているようですが、弁護士に向いている人はどんな人だと思いますか?

考えることが得意な人が向いていると思います。弁護士の仕事で型通りのものは少なく、アイディアがとても大切なんです。工夫の仕方はいくらでもある。だから、簡単に答えを出すのではなく、自分の頭でさまざまな角度からしっかりと考え抜くことができる人が良いのではと思います。

コミュニケーションが得意であることも大切です。コミュニケーションが得意というのは、お客さまのニーズを汲み取ることができる「聞き上手な人」という意味です。日本の裁判は書面で決まる部分が大きいですし、口下手でも全く問題はありません。ですが、お客さまの話をしっかりと聞きとることのできる能力は重要です。

揉めごとが多いので、物事に動じないということも必要ですが、これは仕事をするにつれて慣れてくるので、それほど心配することはありません。

独立してからの苦労はありますか?

やはり、経営も考えないといけないということが大変です。幸いお客さまも口コミで増えているので、経営的には順調だと思います。すぐに事務所を閉じてしまう人もいますので。

僕が事務所に勤めていたのは2年ちょっとくらいだったので、独立のタイミングとしては早い方だと思います。以前勤務していた事務所は比較的人数が多い所で、経営的な考え方が強かったので、短い期間で経営ノウハウを学ぶことができました。それが今に役だっていると思います。

以前の事務所でも仕事内容に不満があったわけではないのですが、ちょっとした方法論が違ったり、自分のやりたいように仕事がしたいという思いが強くなって独立しました。今は独立してよかったと思ってます。

今後の弁護士業界はどうなっていくでしょう?

弁護士の人数がどんどん増えているので、競争は激しくなっていくと思います。これまでは、ある程度の実績があれば弁護士の仕事は安泰という感じでしたが、これからの時代は常に勉強を続けて、自分を向上させていかないといけないのではないでしょうか。

また、弁護士の専門化が進んでいくということもあるかと思います。

でも僕自身は、これからも幅広い分野を担当したいと考えています。それは、ある分野の知識が他の分野の知識に役立つことがあるからです。さまざまな分野に精通していることによって、相乗効果が生まれます。

一つでも多くの分野で、その分野のトップクラスの知識・技能を身につけることが目標です。以前は事務所を大きくしたいという気持ちもありましたが、今はそれよりも自分の能力を高めたい気持ちが強くなってきています。弁護士事務所は、大きければいいというものではありませんから。

弁護士を目指す人に一言お願いします。

勉強も大切ですが、若いうちは遊びも大切です。弁護士は色々な角度から物事を見ることが重要で、人生のすべての経験が生きる仕事だと思います。スポーツをしたり、世界を旅行したりなど、その時にしかできないことをやりましょう。

弁護士になるのはとても大変ですし、なった後も競争が激しい世界ですが、非常にやりがいのある仕事です。是非、弁護士という仕事を目指してみてください。