弁護士の需要と就職・採用募集状況

弁護士の就職先にはどんなところがある?

法律事務所

弁護士の就職先として最も一般的なのは、法律事務所です。

ただ、各事務所の事業規模はさまざまであり、数百人の弁護士が所属する大手弁護士法人もあれば、「ボス弁(ボス弁護士)」といわれる代表弁護士とスタッフ数人で運営している小さな事務所もあります。

また、請け負う案件の種類についても、あらゆるジャンルを幅広く扱う事務所もあれば、離婚、相続、交通事故、債務整理など、一部の分野を専門的に扱う事務所もあります。

新人は「イソ弁(居候弁護士)」として固定給をもらいながら修行を積みますが、やがて独立採算制の「ノキ弁(軒先だけ借りている弁護士)」となり、数年後には独り立ちするケースが一般的です。

なお、法律事務所は民間だけに限らず、日弁連が運営する「ひまわり公設事務所」や、国が出資している「法テラス」といった公的色合いの強い事務所もあります。

法律事務所以外の就職先

近年は、一般企業や官公庁などに就職する「インハウスローヤー」も増えつつあります。

上場クラスの大企業の大半は、組織内に法務セクションをもち、自社製品・サービスに関する訴訟対応や、契約書のリーガルチェック、株主総会の運営、社員へのコンプライアンス教育などを行っています。

比較的求人数の多い業種としては、商社、銀行、証券会社、IT企業などが挙げられ、弁護士資格があれば、法律のプロフェッショナルとして高待遇で迎えられるケースも多いようです。

また、大学・大学院などの教育機関や、民間予備校に講師として勤める弁護士も一定数います。

弁護士の勤務先と仕事内容の違い

弁護士の求人の状況

近年は司法制度改革の影響で弁護士数が急増し、法律事務所で働きたくても就職口がないという人も珍しくありません。

とくに東京や大阪といった大都市圏では、求人数に対して採用希望者のほうがはるかに多く、弁護士は過剰供給となっているようです。

地方の中心都市に目を向ければ、就職活動の厳しさは大都市圏ほどではありませんが、それでもすんなり就職できる状況ではありません。

東北地方や中国地方など、人口の少ない県のなかには、弁護士登録者が100人に満たない「弁護士過疎地域」もありますが、そのようなエリアでは案件そのものが少ないという別の問題もあります。

このような状況下、就職先が見つけられず、実務未経験からいきなり独立するいわゆる「即独」の道を選ぶ人もいますが、実績も実力もないぶん、案件を獲得できず厳しい状況に陥るケースが目立ちます。

弁護士の就職先の選び方

手掛けたい業務内容で選ぶ

弁護士と一口にいっても、企業法務が得意な人もいれば、離婚問題に詳しい人、倒産法に精通し、企業再生を専門に手掛ける人もおり、扱う案件の種類は個人個人で一定の偏りがあります。

勤務先によって得られる実務知識もノウハウも大きく異なりますので、まずは自分がどんな得意分野を身につけ、どんな弁護士になりたいかという視点から就職活動を行うことが望ましいでしょう。

ただし、上述したように弁護士の採用環境は決して良好とはいえませんので、思うようなところに就職できない可能性も十分にあります。

ワークライフバランスで選ぶ

仕事とプライベートとの両立を考えた場合、法律事務所は決しておすすめの就職先とはいえません。

法律事務所で働く弁護士は、依頼者との面談や各種法的書類の作成、裁判対応などをほぼ単独でこなさなければならず、日弁連の統計によれば労働時間は一般的なサラリーマンを大きく上回っています。

ワークライフバランスを重視したい人については、一般企業のほうが望む働き方により近いといえます。

弁護士を自社で抱えられるレベルの大企業は、残業時間などの労務管理体制、および有給休暇・育児休暇などの福利厚生制度がしっかりと整っているところが大半で、安定的に働くことができるでしょう。

仕事の社会的意義で選ぶ

困っている人や、社会的に虐げられている人を助けたいという、いうなれば弁護士としての本分を全うしたいという人の場合、法テラスに就職することがおすすめです。

法テラスは、経済的理由・地理的理由から民間の弁護士に依頼することが難しい人を支援するための機関であり、国選弁護事件や遠隔地への出張法律相談などを扱っています。

収入面では決して多くを望めないかもしれませんが、弱者のために働くことには大きな社会的意義とやりがいがあるでしょう。

なお、新卒採用の場合は、民間の法律事務所で1年間のOJT研修が課されますので、一定の民間実務経験も積むことができます。

弁護士の志望動機・面接

各法律事務所の業務内容はさまざまですので、弁護士の志望動機は、過去の経験や自身の考えに基づいて、どうしてその業務を手掛けたいのかという理由について言及するべきです。

ただ、法律事務所の就職環境は非常に厳しくなっていますので、本来手掛けたい業務ではない分野を扱う事務所の採用試験を受けるケースも十分に想定されます。

その場合は、就職希望先の事務所が扱った過去の事件などを事前に調べ、業務内容に合致する動機を自分のなかに見出すという、通常とは逆のアプローチが必要になるでしょう。

また、法律事務所の採用面接においては、一般企業のように専門の人事スタッフが担当するのではなく、事務所の代表者などの弁護士が、多忙な業務の合間を縫って担当します。

面接の受け答えは、冗長な言い回しを避けて簡潔さを意識するとともに、弁護士にふさわしい論理的な話し方を心掛けましょう。

弁護士の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?

就職先はどのように探したらいい?

新たに司法試験に合格した人は、司法修習期間中に実施される各弁護士会主催の就職説明会に参加し、就職先を探すケースが一般的です。

ただし、都市部の弁護士会ほど早期に説明会を開催する傾向にあり、東京や大阪などでは司法試験合格発表直後、修習開始前の10月頃に開催されますので、日程には注意が必要です。

近年は採用希望者数の増加により、各法律事務所は、一般企業の新卒採用と同じように、書類選考で志望者をある程度絞るようになっています。

その際は、司法試験の順位や出身大学・出身法科大学院といった学歴が参考にされるケースが一般的ですので、望む先に就職したいなら、結局のところ勉強に励むのが一番の近道なのかもしれません。

就職説明会に参加する以外の方法としては、日弁連の運営する「ひまわり求人求職ナビ」というサイトを利用する方法があり、数百件の採用情報が掲載されています。

ただし、同サイトの求人票だけでは、事務所ごとの違いや年収などの待遇条件がわかりにくいこともありますので、各事務所に問い合わせるなど、追加の情報収集が必要です。

ほかにも、一般の求人サイトや法律系職種専門の求人サイトで検索したり、転職エージェントに登録するという方法もあります。

また、法科大学院時代・司法修習時代に知り合った現役弁護士などの人脈を頼って、就職先を紹介してもらうこともできるかもしれません。