弁護士の需要・現状と将来性

弁護士の現状

一昔前までの弁護士は、とくに営業活動などをしなくても、看板を掲げていれば自然に仕事が舞い込んでくる「資格さえあれば食べていける」職業でした。

ところが、日本は元々法律家の絶対数が少なく、国民が十分な法的サービスを受けられていないという声もあって、2000年代前半に司法制度の見直しが行われ、司法試験合格者が急増しました。

これに伴って、弁護士の数はここ10年でおよそ2倍になりましたが、当初の政府の思惑とは違って、弁護士が増えても訴訟件数はほぼ変わらず、弁護士間の競争が激化するだけの結果となりました。

市場規模自体が変わらないのに、弁護士資格者が2倍になったため、一人あたりの収入は半減してしまっており、弁護士はかつてほど稼げる職業ではなくなっているのが現状です。

生き残っていくためには、かつてとは違って、自身の専門知識を磨いたり、人脈づくりに励んだり、広告宣伝活動を行ったりして、集客力を高めていく努力が不可欠になっているといえるでしょう。

弁護士の需要

弁護士の需要自体は横ばいである一方、供給量が急増したため、自分の望む待遇・望む業務内容の法律事務所に就職できないというケースが目立ちます。

とくに都市部では弁護士が飽和状態に近づいており、就職先が見つからなくて、司法修習終了後いきなり独立開業を余儀なくされる弁護士も少なくありません。

それと比べると、地方のほうが、競合がそこまで激しくないぶんまだ就職しやすいかもしれませんが、地方はそもそも事件数が少ないという別の問題があります。

こうした厳しい状況のなかでも需要があるのは、「なんでもやります」という特徴のない弁護士ではなく、何かひとつの分野に特化した専門性をもった弁護士です。

弁護士業界では、借金・交通事故・離婚・相続が4大分野とされており、これらいずれかの専門家には、時代や景気の波に関わらず一定の需要があります。

あるいは、企業の66%が「法務部門を強化する意向がある」というデータもありますので、サラリーマンとして組織に勤める弁護士にも、相応の需要が見込めるでしょう。

弁護士の将来性

弁護士を取り巻く環境が以前より厳しくなっているのは間違いありませんが、逆にいえば、これまでは競争らしい競争もほとんどなく、恵まれすぎていたのかもしれません。

ほかの就活生と採用枠を争ったり、働きだしてからも自己研鑽に励んだり、集客するために営業活動を行ったりすることは、一般的な職業においては、ごく当たり前のことです。

将来的にも弁護士数が増え続けるのは確実であり、そうした努力は今後ますます重要になっていくでしょう。

日本が法治国家である限り、法律のプロフェッショナルである弁護士の需要がなくなることはありませんので、活躍できるかは自分次第です。

資格取得はあくまでスタート地点にすぎないと捉え、スキルアップや集客活動に取り組み続ければ、将来にわたって安定的に働くことができるでしょう。

弁護士の今後の活躍の場

弁護士の今後の活躍の場としては、まず企業法務の分野が挙げられます。

たとえば、上場企業の株主総会においては、かつては「総会屋」と呼ばれる人たちが取り仕切っていましたが、現在では顧問弁護士が総会を運営することが一般的です。

また、企業と顧問契約を結ぶのではなく、各企業に勤めて専属的に法務アドバイスなどを行う「インハウスローヤー」も増え続けています。

それ以外にも、近年話題になることも多いスポーツ業界は、セクハラ・パワハラ・不祥事・暴力問題など、民事事件になるトピックスが目立つ一方、弁護士がまだあまり踏み込めていない領域とされています。

法律は社会の隅々にまでいきわたっていますので、今まで弁護士が活躍していなかった分野を見出し、工夫することで、自ら新しい仕事を開拓していくことも十分に可能です。