弁護士の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?
弁護士を目指すきっかけで多いものは?
弁護士は、世間に数ある職業のなかでも抜群の知名度を誇り、憧れる人も多い人気職業となっています。
その仕事内容や勤務スタイル、待遇面なども、テレビドラマなどのメディアで取り上げられる機会が多いため、多少事実と異なる部分もあるにせよ、よく知られています。
このため、弁護士を目指すきっかけはさまざまであり、社会正義に燃える人もいれば、世間的エリートになりたい人、高収入を得たい人、あるいは独立する手段として弁護士を選ぶ人もいます。
また、幼少の頃から勉強が得意だった人が、自分の力を試すために、最難関といえる司法試験合格を目指すケースも少なくありません。
きっかけは人それぞれで構いませんが、弁護士の業務は多岐にわたるため、弁護士になったら、どのような仕事を手掛け、どう社会と関わっていくのか、一度ゆっくりと考えてみることも大切です。
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弁護士の志望動機の考え方
法律事務所に就職する際の志望動機
近年は司法制度改革によって弁護士資格者が急増しており、かつてのように資格さえあれば望む事務所に就職できるという状況ではなくなっています。
司法試験に受かったものの、どの法律事務所にも就職できず、いきなり独立開業せざるを得ないという人も一定数いるようです。
したがって、本来であれば、弁護士としてやりたい仕事を志望動機の第一に考え、それが実現できる事務所の採用試験を受けるべきですが、競争は熾烈であり、希望する先に就職できない可能性も少なくありません。
その場合は、まず採用試験を受ける法律事務所の事業内容を事前に調べて、それに合致する動機を自分のなかでこしらえるという、通常とは反対の手順を踏む必要があるでしょう。
もちろん、自身の希望を曲げずに、やりたいことができる事務所だけに絞って就職活動を続けるという選択肢もあります。
ただ、たとえ興味がない分野の事務所であったとしても、駆け出しの頃はまず基礎的な実務を覚えることが先決ですから、就職を優先することが望ましいといえます。
また、弁護士には多様な知識と経験が求められるため、中長期的にみれば、どんな仕事であってもキャリアにとって無駄にはならないでしょう。
一般企業に就職する際の志望動機
近年では「インハウスローヤー」と呼ばれる一般企業で働く弁護士も増えつつあります。
一般企業に弁護士が就職する場合、よほど特別な事情がない限りは、法務部や総務部といった企業法務を扱う部署への配属となるため、志望動機はそれらの部署で働きたい理由を述べるとよいでしょう。
また、どうしてその業界を選んだのか、どうしてその企業を選んだのかという点にも、必ず言及するべきです。
あわせて、弁護士となったのに法律事務所を選ばなかった理由についても、ネガティブにならない内容で志望動機に含めることが望ましいでしょう。
弁護士の志望動機の例文
中小規模の法律事務所に就職する場合の例文
「私は、小さな頃から漠然と弁護士に憧れを抱いており、テレビに出てくるような「弱い人の味方」になりたいと思って、大学の法学部に進学しました。
大学で法律の勉強をしながら社会情勢についても学んでいくなかで、裁判で戦いたくても、金銭的負担の重さから、泣き寝入りせざるを得ない人が数多くいることを知りました。
貴事務所では、たくさんの少額訴訟を手掛けておられ、また裁判費用の補助制度も積極的に利用されています。
私が幼少の頃に抱いた理想の通り、貧しい人を助けるための仕事ができると思い、貴事務所を志望いたしました。」
大手法律事務所に就職する場合の例文
「私が貴事務所を志望しましたのは、貴事務所が海外にも複数の拠点をもち、日本企業の海外進出や海外投資を支援されている点に魅力を感じたためです。
日本がこれから成長していくためには、グローバルにビジネスを展開し、世界をリードする多国籍企業の躍進が不可欠です。
私は、貴事務所での業務を通じて、日本経済を法務面からサポートしたいと考えております。
大学時代は、法律だけでなく語学の勉強にも励んでまいりましたので、培ったコミュニケーション能力を生かして貴事務所に貢献したいと思います。」
一般企業に就職する場合の例文
「私は元々薬学部出身であり、当初は薬剤師になることを目指していました。
しかし、在学中に薬害に関する大きな集団訴訟事件があり、苦しんでいる人を助けるために活躍する弁護士を見て、一念発起して法科大学院に進学し、未修者コースから司法試験に合格しました。
法律事務所に就職することも考えましたが、かつて薬剤師を志望していたキャリアは、製薬会社のなかでこそ生きるのではないかと思い、御社を志望いたしました。
薬で苦しむ人々のサポートと、新たな被害者を生まないためのサポート、双方の業務を手掛けることができればと考えております。」
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弁護士の面接で聞かれること・注意点
一般企業の場合、面接官は人事担当者や経営者ですが、法律事務所では、たいてい面接官となるのは同じ弁護士です。
面接において聞かれる内容は、志望動機や学生時代の経験、将来の展望などさまざまですが、その際に面接官が着目しているのは、弁護士に必要な「論理的に話す力」を備えているかどうかです。
同業者としての目線から、かなり厳しい水準で論理的思考力を見定められていると意識しておくべきであり、一つひとつの回答には注意が必要です。
あまり冗長になりすぎると印象がよくないため、できるだけ過不足なく、わかりやすく順序だてて答えることを心掛けましょう。
また、各法律事務所に在籍している弁護士の情報は簡単に調べられるため、就職先の弁護士が手掛けた事件や得意分野などに関する情報を事前に収集しておけば、面接で役に立つかもしれません。
弁護士の自己PRのポイント
弁護士の仕事は、依頼者からの相談を受け付けるとき、相手方と交渉するとき、裁判で弁護するときなど、ハイレベルなコミュニケーション能力が求められるシーンの連続です。
面接においても、過去の具体的なエピソードを持ち出して、コミュニケーション能力の高さをアピールすることが望ましいといえます。
皆で話し合ったり、協力して知恵を出し合った結果、抱えていた問題が解決したというような経験があればなおよいでしょう。
また、弁護士は専門職であるとはいえ客商売の一種であることに変わりはなく、クライアントからの信頼を得ることが不可欠です。
身だしなみや挨拶、マナーには細心の注意を払うとともに、堂々とした態度と話しぶりを心掛け、社会人として信頼に足る人物であることを面接官にアピールしましょう。
弁護士の履歴書で気をつけるべきことは?
上述したように、法律事務所には一般企業のように採用を専属で行う人事スタッフは存在せず、多忙な弁護士が仕事のかたわらに採用面接を行っています。
就職希望者の履歴書を事前にしっかりと読み込むということは期待しにくいため、読み手が短い時間のうちに要点を掴めるよう、見やすい字で書くとともに、記載内容は字数を絞って簡潔な表現を心掛けましょう。
ただし、あまりに内容がないと志望度の低さを疑われてしまうため、分量としては履歴書と志望理由書A4用紙1枚程度が望ましいです。
もしも内容に不足を感じたら、面接時に口頭で補足説明するという方法もあります。