ベビーシッターの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「ベビーシッター」とは
個人宅や保育施設で赤ちゃん、子どもを預かり、身の回りの世話や教育、しつけを行う。
ベビーシッターとは、お客さまから依頼を受けて、個人宅や託児所などの保育施設で子どものお世話をする人のことです。
対象となる子どもは、生後6ヵ月から12歳くらいまでが一般的で、保護者が仕事で忙しいとき、あるいは病気などで子どもの世話を見ることができないようなときに、ベビーシッターに依頼が入ります。
お世話の具体的な内容は、子どもと遊ぶことや、トイレや食事、お風呂のお手伝い、勉強のサポートなどが中心で、お客さまの希望によっては簡単な家事をすることもあります。
ベビーシッターには法的な資格が存在せず、特別な学歴も求められない場合がほとんどです。
ただし「保育士」や「看護師」の学校で学んで免許を取得していたり、民間のベビーシッター認定資格を取得していれば、働く際に役立つことがあります。
また、音楽や英語などの教育に関する専門知識があるベビーシッターは家庭教師を兼務することもでき、仕事の幅が広がります。
ベビーシッターは時間単位で仕事の依頼を受けることが多いため、パートか契約社員として働く人が多いことが特徴です。
「ベビーシッター」の仕事紹介
ベビーシッターの仕事内容
お客さまである保護者に代わり、子どものお世話をする
ベビーシッターとは、お客さまから依頼を受けて、個人宅や民間の託児所などにおいて6ヵ月~12歳までの子どものお世話をする人のことです。
お客さまが仕事や病気などの事情で子どもの面倒をみられないときに、一時的に保護者代わりとなって子どものお世話をします。
具体的な業務の内容は、子どもと一緒に遊ぶ、トイレや食事、お風呂の手伝い、本の読み聞かせ、勉強サポート、あるいは保育園の送り迎えなどです。
お客さまの要望によっては、あわせてお客さま宅での簡単な家事をすることもあります。
ベビーシッターは、幼稚園や保育園などの施設とはまた別の場所で、保育サービスの担い手として活躍しています。
専門的な知識・スキルがあれば仕事の幅を広げられる
ベビーシッターとして働く人は、一般的なベビーシッターとしての保育スキルに加えて、教育や医療・看護などの専門的な知識までもっていれば、より幅広いお客さまの多様なニーズに対応できるようになります。
たとえば、子どものお世話をしながら音楽や英語などの幼児教育を行ったり、病児保育や障害児保育専門のベビーシッターを目指すことも可能です。
時代が進むにつれベビーシッターのサービス内容は多角化しているため、ベビーシッターは、身につけてきた多様な専門知識・経験を生かしやすくなっています。
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ベビーシッターになるには
特別な資格や学歴がなくても働くことは可能
ベビーシッターは、特別な資格や学歴が求められる職業ではありません。
ベビーシッターの多くは、ベビーシッターのサービスを提供する会社にアルバイト・パートや契約社員などの形態でスタッフ登録し、仕事の紹介を受けて働いています。
未経験者でも登録が可能な会社もあるため、やる気さえあれば誰でもベビーシッターを目指せます。
ただし、お客さまにとっては大切な我が子をベビーシッターに任せるわけですから、お客さまに安心していただくために保育や教育に関する基礎的な知識、スキルは不可欠と考えておく必要があります。
たとえば「保育士」や「幼稚園教諭」など教育系の免許状を取得していたり、ベビーシッターの民間資格を取得しておけば、お客さまからの信頼を集めやすくなるでしょう。
こうした資格がない場合は、スタッフ登録後に最低限のスキルを学べる研修制度が充実している会社を選ぶとよいでしょう。
ベビーシッターのニーズは都市部のほうが大きい
ベビーシッターのニーズは働く女性が増えている都市部を中心に拡大しており、ベビーシッター会社も増えています。
一方、地方ではそこまでベビーシッターの求人が出ない場合もあるため、働ける先を探すことは、やや難しいかもしれません。
ただし、場合によっては民間の託児所や家庭保育園、企業内の託児施設、ホテルなどが、自社の従業員としてのベビーシッターの求人を出す場合もあります。
育児の経験、集団保育の経験がある人が歓迎されやすく、ボランティアや短期アルバイトから保育の現場を経験し、本格的にベビーシッターを目指すケースもあります。
ベビーシッターの学校・学費
保育や教育について学んでからベビーシッターになる人も
ベビーシッターになるために必須の資格はありません。
そのため、どのような学歴の人でもベビーシッターを目指せますが、早い段階で乳幼児の保育に関心をもっている場合には、その分野に関する専門的な勉強ができる学校へ進学するのもよいでしょう。
たとえば「保育士」や「幼稚園教諭」などの養成課程がある大学・短大・専門学校などで学ぶ道があります。
あるいは「看護師」や「助産師」になるための勉強をしておくことも、ベビーシッターの仕事に生かせます。
時間や学費はかかりますが、こういった専門的な資格を取得すれば、ベビーシッター会社でも優遇されるケースが多いようです。
このほか、ベビーシッターとしての基礎的な知識や技術に特化した勉強であれば、手軽に通信講座でも学べます。
ただしカリキュラムは講座により大きく異なるため、よく比較して選んだほうがよいでしょう。
ベビーシッターの資格・試験の難易度
各種団体が認定するベビーシッターの資格がある
ベビーシッターとして働くうえで、法的に求められる資格は存在しません。
ただし、子どものお世話をするための知識や技術を備えていることを証明するために役立つ資格があります。
ひとつは各種団体が認定する「認定ベビーシッター」「ベビーシッター」「ベビーシッター技能認定」などの資格で、ベビーシッターとしての能力が判断されます。
一部の資格では受験のために一定の実務経験、あるいは特別な教育カリキュラムや研修会の受講が必須となっていますが、スキルアップのために取得を目指す人もいます。
保育や教育、看護の国家資格も役立つ
ベビーシッターとして、より幅広い専門性を身につけ、アピールしていきたいのであれば、「保育士」や「幼稚園教諭」などの国家資格取得を目指すのもよいでしょう。
これらを得るには大学や専門学校などで養成課程を修了する必要があり、時間や費用がかかりますが、信頼度は高めです。
また、保育サービスの現場では、子どもの急な体調変化があった場合に備えて「看護師」の国家資格をもつ人も優遇されることがあります。
こういった資格を取得した人がベビーシッターになると、より幅広いお客さまのニーズに対応できます。
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ベビーシッターの給料・年収
派遣やパートなどの形態で時給制で働く人が多い
民間求人会社のさまざまなデータを基に見ていくと、ベビーシッターの平均年収は300万円前後と考えられます。
日本人全体の平均年収と比べるとやや低めですが、この背景には、ベビーシッターは派遣やアルバイト・パートなど、非正規で働いている人が多いことがあるかもしれません。
ベビーシッターは利用者からの依頼で仕事をする時間が決まり、1回の仕事は3~4時間以内になることもあります。
パートで働く場合の給料は、通常は時給制であり、実働時間によって収入差が出てきます。
ベビーシッターが収入を上げるには
民間の託児所やベビールームなどで、正社員のベビーシッターとして働いている人もいます。
正社員の給料は固定給が一般的であり、非正規の人よりは安定した収入が望めるでしょう。
雇用形態に関わらず、「保育士」や「看護師」などの資格を持っている人、あるいは無資格でも保育経験を積んでいくことによって、よい待遇で働きやすくなります。
ベビーシッターのサービスは多様化しているため、たとえば早朝や夜間サービス、家事代行、障害児保育といった部分にも携わることができるようになると、給料が割増になることがあるようです。
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ベビーシッターの現状と将来性・今後の見通し
ベビーシッター需要は伸びを見せ、サービス内容も多様化
核家族化や共働き世帯の増加などにより、子どもを安心して預けられる「保育サービス」の需要はますます拡大傾向にあります。
とくに近年は保育園などによる集団保育以外の保育サービスとして、ベビーシッターの存在に期待が寄せられています。
加えて、最近では習い事なども含め、一人ひとりの子にじっくりと向き合って個性を伸ばしていくシッターサービスや、掃除や料理などの家事代行サービスなどを組み合わせた、特色ある事業を手掛けるベビーシッター会社が増えてきました。
シッターサービスの需要が大きい都市部を中心に、お客さまの多様なニーズに柔軟に応えられるベビーシッターの求人が増えています。
育児・保育に関する知識と経験がある人はもちろん、さらに医療や看護、その他の得意分野をもっている人は、より多様な活躍をしていきやすいでしょう。
ベビーシッターの就職先・活躍の場
ベビーシッター派遣会社に登録して働く人が多い
ベビーシッターは、ベビーシッター派遣会社にスタッフ登録する形によって、派遣やアルバイト・パートなどの非正規雇用の立場で仕事をする人が多いことが特徴です。
この場合、自分の保育経験やその他の職務経験、希望の勤務条件などを派遣会社に伝え、条件に合う仕事を紹介してもらい、お客さまのところへ出向いて仕事をするのが一般的な流れとなっています。
保育所やベビールームなどの一部の企業では、正社員のベビーシッターも活躍しています。
正社員として働く場合には「保育士」や「幼稚園教諭」などの資格が必要であったり、ベビーシッターとしての抱負な業務経験あるいは集団保育の経験などが求められることがあります。
「看護師」など医療・看護の知識があるベビーシッターは、病気の子どもの面倒をみる病児保育に積極的に携わっていくケースもあります。
ベビーシッターの1日
お客さまの依頼内容によって仕事の流れが異なる
ベビーシッターの1日の過ごし方や労働時間は、お客さまからの依頼内容によって異なります。
日中に子どもを預かるケースもありますが、保育園や幼稚園、あるいは小学校が終わった夕方以降に子どもを預かるケースもあります。
それぞれのお客さまによって、子どもの面倒をみてほしい時間帯や、依頼したい内容が異なるため、臨機応変に対応していく必要があります。
ここでは、夕方から保育園児を預かるベビーシッターのある1日の流れを紹介します。
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ベビーシッターのやりがい、楽しさ
大好きな子どもと深く関わり、お客さまの力になれること
ベビーシッターは幼稚園や保育園などの「集団保育」とは異なり、一般的に1人あるいは2人の子どもの面倒をみることになります。
そのため、一人ひとりの子どもとゆっくり、深く関わることができる点が楽しさにつながります。
お客さまによっては半年、1年と中長期にわたってシッターサービスを利用されることがあり、まるで我が子のように、関わる子どもの成長を感じることもできます。
また、ベビーシッターに仕事を依頼するお客さまは、何かしらの困りごとを抱えています。
たとえば、産後間もなく体調がすぐれないお母さん、共働きで忙しく仕事をがんばっている夫婦など、ベビーシッターの手を借りないと生活するのが難しいと考えている人は多いです。
大好きな子どもと関わりながら、そうした人の力になって「ありがとう」といわれることが、ベビーシッターにとっての喜びです。
ベビーシッターのつらいこと、大変なこと
大切な子どもを預かるという責任感が求められる
子どもが大好きな人にとって、ベビーシッターは、とても楽しそうな仕事に思えるかもしれません。
しかしベビーシッターの仕事では「お客さまの大切な子どもを預かる」という強い責任感や覚悟が求められます。
シッターサービス中には子どもを危険な目にさらさないよう注意深く見守っていき、万が一、体調が急変した場合なども適切に対処する必要があります。
また、ベビーシッターはお客さまのニーズをきちんと把握して、その期待に応えるように動くことが重要です。
子どもの個性や発達段階はさまざまですし、各家庭でしつけの状況なども異なるため、なかなか思うように事が進まず苦労することもあるでしょう。
現場経験を積みながら、お客さまに信頼されるベビーシッターになれるように創意工夫していく努力が求められます。
このような大変な面もたくさんあり、「楽しそう」という気持ちだけでは、なかなか務まらないのがベビーシッターの仕事です。
ベビーシッターに向いている人・適性
子どもに愛情を注ぎ、人のために行動できる人
ベビーシッターになるのは子ども好きな人ばかりですが、自分や親族の子どもだけでなく、どの子どもに対しても平等に愛情を注げる人でなくてはなりません。
子どもの個性はさまざまで、なかには手のかかる子ども、なかなか言うことを聞いてくれないやんちゃな子もいます。
どのような子に対してもやさしく心を開き、根気強く向き合っていきながら愛情を注げる人がこの仕事には向いています。
また、個人のお客さまを対象とするベビーシッターの仕事では、ときに掃除や買い物、洗い物など、一般的な家事と思えることも依頼されます。
「縁の下の力持ち」のような役割を苦にせず、人に喜んでもらうために行動できる人は、ベビーシッターとしての適性があるといえるでしょう。
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ベビーシッター志望動機・目指すきっかけ
子どもが好きで、個別保育に携わりたい
ベビーシッターを目指す人は、たいてい「子どもが好きで、子どもと関わる仕事がしたい」という思いを持っています。
なかには「保育士」や「幼稚園教諭」になるための学校で保育や教育の勉強をしてから、ベビーシッターの道に進む人も少なくありません。
ただし、ベビーシッターは通常、保育園や幼稚園などの集団保育の場とは異なり、「個別保育サービス」を提供します。
こうした特徴から、一人ひとりの子どもと密に接し、お客さまの多様な要望に応えたいという思いのある人が、ベビーシッターになることが多いようです。
また、ベビーシッターは、パートなどで短時間勤務もしやすい仕事であるため、「育児や家事経験を生かしたい」と考える人が興味をもつケースもあります。
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ベビーシッターの雇用形態・働き方
派遣登録をしてお客さまの依頼に合わせて働く人が多い
ベビーシッターは、ベビーシッターサービスを提供する専門の会社に、スタッフ登録をして働く人が多い職業です。
雇用形態は派遣やアルバイト・パートなどが中心です。
自分のスキルや経歴、勤務希望条件などを伝え、条件に見合った案件が発生したら仕事を紹介してもらい、お客さまのところへ出向いてシッターの仕事を行います。
実際、お客さまのニーズはさまざまで、「特定の1日だけシッターサービスを利用したい」という単発での依頼が入ることもあれば、「毎週、月曜と木曜の17時~20時に子どもをみてほしい」という人などもいます。
登録制での働き方であっても、継続的に同じお客さまと関わっていける機会はあります。
正社員として働く人も一部の企業や託児施設などで見られますが、ベビーシッター全体としてはそこまで数が多くありません。
ベビーシッターの勤務時間・休日・生活
ベビーシッターの多くは登録制で働いており、自分が仕事可能な時間帯をベビーシッター会社に登録しておき、その時間帯の中でスケジュールを組んで働きます。
休日も自分で希望を出せますし、ある程度、自分の希望に沿った働き方が可能です。
1つのご家庭(お客さま)での仕事が2~3時間程度で終わる場合、1日に複数の案件を掛け持ちする人も多いようです。
働く時間帯は、保育園・幼稚園や小学校が終わってからの夕方後が多いですが、お客さまによって希望はさまざまです。
仕事の依頼が入らなければ、必ずしも希望通りに働けるとは限りません。
一方、正社員として保育施設などで勤務する場合には、通常、固定の時間帯でフルタイム勤務をします。
ベビーシッターの求人・就職状況・需要
派遣スタッフやアルバイト・パートの需要は大きい
ベビーシッターは、現在のところ正社員として働ける職場がそこまで多いわけではありません。
派遣社員の形でベビーシッター会社に登録をしたり、アルバイト・パートとして、お客さまから仕事の依頼が入ったときだけ働くというケースが一般的です。
現場では保育経験が存分に生かせますが、保育サービスのニーズが高まっていることから、アルバイト・パートや派遣社員の募集は頻繁に行われています。
とくに共働き家庭が多い都市部ではベビーシッターサービスを提供する会社も増えており、雇用形態や条件を選ばなければ、働き口は比較的見つけやすいでしょう。
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ベビーシッターの転職状況・未経験採用
未経験者からでも目指せる職業
ベビーシッターサービスの需要の急激な拡大により、最近では未経験者を積極的に採用するベビーシッター会社も増えているようです。
「お客さまの大切な子どもを預かる」という重要な役割を担うことから、各社では、ベビーシッターが現場に出る前に自社で研修を行い、仕事の進め方などを指導しています。
また、慣れないうちは先輩と一緒に働いて仕事を覚えることができるなど、未経験者でも働きやすい環境を整えている会社も少なくありません。
ただし、正社員としての採用はあまり多くないため、派遣社員やアルバイト・パートなど非正規雇用で働くことも視野に入れておく必要があるでしょう。
ベビーシッターの転職に役立つ経験や資格は?
ベビーシッターとして働くにあたって、保育の仕事に関わった経験はもちろんのこと、自ら育児経験がある人も歓迎されることが多いです。
加えて「保育士」や「幼稚園教諭」「看護師」といった各種資格を持っていたり、これらの職務経験があれば、よい待遇で雇用されることもあります。
最近では英語などの外国語、楽器、絵画などを教えられるベビーシッターの需要も高まっているため、このようなスキルがある人も転職の際に有利になるでしょう。
「ナニー」とは
一般的な子どものお世話に加え、情操教育やしつけを専門的に行う
ナニーとは、乳幼児に対して、日常的な世話やしつけ、さらに勉強や情操教育を行う人のことです。
もともとイギリス生まれの職業で、欧州や米国を中心に広く普及しましたが、日本でも保育園不足や幼児教育ニーズの高まりにともなってニーズが増してきています。
一般的なベビーシッターと比較すると、子どもの「身の回りのお世話」をすることは両者に共通していますが、ナニーは教育者としての要素が強く、専門的な「しつけ、教育」を行っていくことが特徴です。
ナニーに仕事を依頼するお客さまのニーズとしても、「子どもに高いレベルの情操教育を受けさせたい」「しっかりとしたマナーを教えてほしい」などが目立つため、そうしたニーズに対応できる能力が求められます。
一般的な保育スキルに加え、英語などの外国語能力や幼稚園教諭経験、音楽・スポーツ・絵画などのスキルがある人はナニーとして活躍しやすいでしょう。