自動車整備士の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

自動車整備士の仕事とは

「自動車整備士」は不具合箇所を抱えた自動車の点検や修理、また定期的なメンテナンスや調整、分解や組立などを、専門的な技術を用いて行う専門職です。

いわば自動車を診るドクターのような仕事であり、日々さまざまなタイプの車のエンジンやサスペンションなどを触り、クルマの問題箇所を探って修理していきます。

自動車整備士の資格として、「1級自動車整備士」「2級自動車整備士」「3級自動車整備士」などの国家資格があります。

これらの国家資格を取得した上で整備の仕事に携わる人が、一般的に「自動車整備士」と呼ばれます。

多くの整備士はカーディーラーや自動車整備工場に勤めていますが、近年では修理を引き受けるガソリンスタンドや車検を専門とする工場、あるいは塗装修理を行うペイントショップなども登場し、整備士の活躍の場は拡大しています。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

自動車整備士の業務内容

自動車整備士の仕事は、「点検業務」「分解整備」「板金・塗装」「その他」の大きく4つに分けられます。

点検業務

目に見えたトラブルはなくても、自動車は走行距離や時間の経過で少しずつ部品などが劣化していきます。

点検業務では、そのような自動車の劣化を定期的にチェックし、事故を未然に防ぎます。

ハンドルの操作具合、ブレーキの効き具合、ベルトやオイルの劣化具合などをさまざまな箇所をチェックし、問題がある箇所に関しては修理や部品交換なども必要に応じて行います。

点検業務には大きく3種類があります。

<点検業務の種類>
・日常点検
・法定点検
・車検

とくに「車検」に関しては、点検箇所も多く、点検方法も複雑になってくるため、正確に行うには整備士としての経験が問われてきます。

分解整備

車検・交通事故・オーバーホール・改造などの際に、さまざまなパーツを自動車から取り外し、ばらして修理や改造を行うことを「分解整備」と呼びます。

とくに交通事故で大きな損傷があった車両の場合、サスペンションやブレーキ、電気系統などの周辺各部を取り外し、大掛かりな分解整備となることもあります。

分解整備はきわめて高度な技術を要するため、基本的には「二級自動車整備士」以上の資格をもつ、ベテランの自動車整備士が担当します。

また、分解整備を行えるのは、基本的には国から認可を受けた「認証工場」や「指定工場」のみとなっています。

板金・塗装

「板金・塗装」は、自動車のボディ(外装)に手を加える業務です。

・板金:ボディのキズ・凹み・歪みなどを修復する、修復困難な箇所は部品交換する
・塗装:ボディをカラー液で塗装する、下地処理や磨き処理も含める

板金・塗装に関しては、簡単なキズの修復やボディ塗装であれば、素人がホームセンターで道具を調達して行うこともできます。

整備士として行う場合も、自動車整備士の資格はとくに必須とならないことが多いです。

ただし、経験や技術によって仕上がりに差がでる業務でもあるため、プロとして十分な仕事をするためには、資格云々よりも下積みが必要となってきます。

その他の業務

自動車整備士は、その他にも次のような業務を行うことがあります。

・スポイラーやオーディオなどのオプションの取り付け作業
・タイヤ、オイルなどの消耗品の交換作業
・フロント業務(お客さまへ車検や点検の案内、店頭での接客など)
・部品の発注や事務処理
・その他、お客さまの悩みに対して技術的な面からアドバイスやサポートをする
など

自動車整備士の役割

社会的な役割

自動車整備士の社会的役割は、「整備を通して、人の命を守り、安全なクルマ社会を目指す」ことです。

自動車は、一つ間違えれば人の命を奪う危険な乗り物であり、かつそれはたった一つの部品の故障や劣化であったり、ほんの些細なことが原因となることもあります。

専門的な技術や経験を用いて自動車を入念にチェックし、万全な状態の自動車に仕上げることが自動車整備士の役割であり、それはお客さまの命を守り、安全なクルマ社会の実現にも繋がっていきます。

組織、会社内での役割

自動車ディーラーなどでは、大きく以下2つの職種にタイプが分けられます。

1.営業職:セールス職、カーライフアドバイザー職などと呼ばれることもある
2.自動車整備士:技術職、メカニック職、テクニカルアドバイザー職などと呼ばれることもある

営業職は、新車や中古車を販売することがおもな役割となり、訪れたお客さまへの車のセールス活動・購入手続き・納車対応などを行います。

対して自動車整備士は、点検・修理・メンテナンスなどの技術的な仕事を受けもちます。

ただし、営業職と一緒になって、自動車整備士がお客さまに対し技術的な側面から提案やアドバイスなどを行うこともあります。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

自動車整備士の勤務先の種類

おもな勤務先

自動車整備士のおもな勤務先として、次のような場所が挙げられます。

<自動車整備士の勤務先、就職先>
・新車カーディーラー(大手の例:トヨタカローラ〇〇、日産プリンス〇〇販売 など)
・中古車販売店(大手の例:ガリバー、ビッグモーター、ネクステージ など)
・カー用品店(大手の例:オートバックス、イエローハット など)
・地域の自動車整備工場、町工場
・ガソリンスタンド
など

新卒の整備士の就職先としては、新車カーディーラーや中古販売店が人気ではありますが、昔ながらの自動車整備工場や町工場を選ぶ学生もいます。

また、昨今は「カー用品店」や「ガソリンスタンド」でも整備士を積極的に募集しているため、こちらも選択肢の一つとなってきます。

勤務先毎の働き方の違い

勤務先によって、働き方や求められるスキル、磨けるスキルなども変わってきます。

<勤務先別の特徴>
・新車カーディーラー:求められるスキルの水準が高い、給料水準も高め、扱うのはそのメーカーの車種に限定されてくる
・中古車販売店:さまざまなメーカーの車種に触れられ、メーカー問わず整備できるスキルが求められる
・自動車整備工場、町工場:工場によって仕事内容や待遇はさまざま、小さな工場では板金塗装や自動車保険の販売など幅広い業務を経験できることもある

その他の活躍の場

自動車整備士の資格や仕事経験がある人のなかには、次のような職業で活躍する人もいます。

<自動車整備士のその他の活躍の場や働き方>
・自動車査定士
・損害調査員(アジャスター).
・ロードサービスのスタッフ
・カーレースチームのメカニック
・自動車関連の技術ライター
・フリーランスの自動車整備士として活動
など

これらの職業は、新卒でそのまま就くというよりも、一度自動車整備士として働き、整備士としての職務経験を積んだ後に、そのスキルを生かして転身するケースが多いです。

自動車整備士の仕事の流れ

自動車整備士の仕事の流れは、担当する仕事によって変わってきます。

たとえば、オーディオやカーナビといったオプション品の簡単な取り付け作業であれば、小一時間で作業が完了しますので、その日のうちに作業を完了させ、お客さまにクルマを受け渡します。

車検や事故で損傷した車の修理などになると、部品の取り寄せなどで時間も掛かりますので、数日~1週間程度の期間を貰い、その間に他の車の修理と並行しながら作業を進めていくことになります。

繁盛期などには、一人の整備士が同時に多くの仕事を抱え、残業が続くこともあります。

自動車整備士と関連した職業

自動車整備士と自動車検査員の違い

自動車整備士とは別に、「自動車検査員」という職業があります。

自動車検査員は、整備後の検査をする人のことであり、基本的には「車検」を通す際の検査を行うことがおもな仕事となります。

自動車整備士も車検に関わりますが、整備士が担当するのは、車検をする車の状態をチェックし、車検を通すために必要な修理や整備を行うところまでです。

その先の車検を通すための最終的な検査は、自動車検査員が行うことになり、いわば自動車検査員は「試験官」のようなイメージの職業となります。

なお、自動車検査員として検査業務を行うには「自動車検査員資格」が必要になります。

整備士として経験を積んだ人が、将来的なキャリアアップとして、この自動車検査員を目指すケースが多いです。

自動車整備士と自動車開発職の違い

自動車整備士は、自動車に関するメカニカルな知識を用いますが、自動車そのものを作る仕事ではありません。

あくまで、すでに出来上がった車を整備し、維持することが自動車整備士の仕事です。

一方で自動車そのものを作るのは、トヨタや日産など自動車メーカー自動車部品メーカーでの「開発職」となります。

開発職では、エンジンやサスペンションを設計したり、自動車の外観のデザインなどをし、自動車というものを作り上げていきます。

開発職を目指す場合は、整備士学校で自動車整備について学ぶというよりも、4年制大学などで電気工学機械工学を学ぶ方が適したルートとなります。