【2023年版】自動車整備士試験の難易度・合格率

自動車整備士資格とは

どのような資格か?

「自動車整備士試験(自動車整備士技能検定)」は、自動車整備に携わる人に向けた、国土交通省が実施する国家試験です。

大きく「1級」「2級」「3級」「特殊整備士」の4タイプに分けられ、この試験に合格すると「自動車整備士資格」が得られます。

自動車整備の現場では、多くの人がこの資格を所持した上で働いています。

自動車整備士を目指す学生の場合、自動車整備学校として指定されている大学・短大・専門学校などで整備士養成課程を受講し、この資格取得を目指すパターンが多いです。

ただし、人によっては未資格のまま整備士業に就職し、実務経験を積んだのちに自動車整備士試験に挑戦する人もいます。

資格の必要性

国土交通省は、「自動車整備士になるためには、整備士試験に合格しなければならない」とアナウンスしています。

『自動車整備士になるためには、一定の受験資格を満たしたうえで、国土交通大臣の行う自動車整備士技能検定『学科試験(一級の場合は筆記及び口述試験)及び実技試験』を受け、合格しなければなりません。』
出典: 国土交通省 自動車整備士になるために

参考:国土交通省 自動車整備士になるために

ただし厳密にいえば、自動車整備を行う上で法的に必須となる資格ではありません。

自動車整備士資格は、本来「自動車の分解を伴う整備工場を運営するために必要となる資格」となります。

そのような整備工場を国の認証を受けた上で運営するには、一定数の有資格者が必要となるというものであり、整備工場を運営するための資格となります。

そのため、自動車整備士資格を持っていないと整備士の仕事に就けないわけではありません。

ただし現実的に考えれば、プロとして自動車整備を行うには資格を取得していることが常識とされ、就職時にも資格は重視されます。

また、未資格の人の場合は、たとえ整備士として就職はできても、簡単な整備の仕事や雑用が多くなるでしょう。

整備士として幅広い業務に携わるためにも、資格の取得は必要になってきます。

資格の種類

自動車整備士資格には、大きく「1級」「2級」「3級」「特殊整備士」の4タイプに分けられますが、それぞれの級の中でも扱える車種などによって資格の種類が分かれています。

自動車整備士試験・資格の種類

<1級自動車整備士>
・1級小型自動車整備士

<2級自動車整備士>
・2級ガソリン自動車整備士
・2級ジーゼル自動車整備士
・2級自動車シャシ整備士
・2級二輪自動車整備士

<3級自動車整備士>
・3級自動車ガソリン・エンジン整備士
・3級自動車ジーゼル・エンジン整備士
・3級自動車シャシ整備士
・3級二輪自動車整備士

<特殊自動車整備士>
・自動車タイヤ整備士
・自動車電気装置整備士
・自動車車体整備士

自動車整備士になるには? 必要な資格や免許は?

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自動車整備士の受験資格

自動車整備士試験はだれもがすぐに受験できるわけではなく、「受験資格」を取得しないと受験することができません。

受験資格はさまざまな方法で取得できますが、大きくは「1.学校に進む」、「2.実務経験を積む」「3.その他」の3パターンに分けられます。

学校に進む

<学校に進むと得られる受験資格>
・自動車整備学校の「1級整備士養成課程」で学ぶ:養成課程修了者は1級整備士の受験資格が得られる
・自動車整備学校の「2級整備士養成課程」で学ぶ:養成課程修了者は2級整備士の受験資格が得られる
・自動車整備学校もしくは工業高校の自動車科などで「3級整備士養成課程」で学ぶ:養成課程修了者は3級整備士の受験資格が得られる
※「自動車整備学校」とは、国土交通大臣が「1種養成施設」として指定している
大学・短大・専門学校のこと

このように自動車整備学校に進み、養成課程を受講すると、各自動車整備士試験の受験資格が得られます。

かつ、養成課程修了者の場合は「実技試験」が免除となりますので、「学科試験」のみで自動車整備士試験を受験できるメリットもあります。

実務経験を積む

<実務経験と受験資格>
・実務経験1年以上:3級整備士の受験資格が得られる
・実務経験2年以上:特殊整備士の受験資格が得られる
・3級合格後、実務経験3年以上:2級整備士の受験資格が得られる
・2級合格後、実務経験3年以上:1級整備士の受験資格が得られる

たとえば、未経験・未資格の状態で整備工場などに就職し、その後現場での実務経験を積めば、年数に応じて自動車整備士試験の受験資格を得られます。

注意点としては、実務経験だけで受験する場合は、「実技試験」が免除とならず、「学科試験」+「実技試験」両方を受験する必要があります。

ただし回避策として、実務経験を積んだ人が、国務大臣が認定する「2種養成施設」で指定の講習を受けると、実技試験を免除することも可能です。

その他

その他として、「職業訓練所」などで指定のコースを修了した人であれば、修了時に受験資格が得られます。

また「技能者養成指導員検定合格者」や「航空機関士」などの特定の資格をもつ人の場合は、必要となる実務経験の年数が緩和されることもあります。

詳しくは、以下国土交通省が公表する受験資格をご確認下さい。
参考:国土交通省 受験資格について

受験条件について(年齢など)

自動車整備士試験を受験する上で、「年齢」「性別」「国籍」的な条件はありません。

「学歴」についても、特に条件はなく、高卒者や中卒者でも問題なく受験できます。

自動車整備士の難易度・勉強時間

まず、自動車整備士試験は、次のような試験形態となります。

<自動車整備士試験の試験形態>
・1級整備士:学科試験+実技試験+口述試験
・2級、3級、特殊整備士:学科試験+実技試験

難易度は、基本的には級が上がるほど難しくなり、1級が最難関となります。

学科試験

自動車整備士試験の学科試験を受ける上では、目安として高校1年生程度の基礎学力・基礎知識が必要になってきます。

級問わず、独学で勉強し合格することも可能ではありますが、独学の場合は、市販の参考書や過去問題集などを使って反復学習をし、正答率を7~9割程度まで上げておくことが望ましいです。

いくら現場経験豊富な整備士であっても、まったく勉強をせず、もしくは参考書や問題集を用いずに勉強した場合は、不合格となる確率が高まります。

一方、自動車整備学校に入学すると、学科試験対策のカリキュラムなども用意されていますので、まじめに授業を受けていれば大半の人は合格できるようです。

実技試験

実技試験では、自動車の点検、組み立て、修理などの実技的なテスト作業を行います。

実技試験でどのようなテストが行われるかは、その時になってみないとわからず、合格するには臨機応変に対応できる豊富な整備経験が求められてきます。

実技試験の難易度は高く、すでに実務経験のある整備士であっても、不合格となるケースも多いようです。

なお実技試験の突破が難しい人には、回避方法も用意されており、以下条件を満たせば実技試験は免除となります。

<実技試験を免除する方法>
1.国土交通大臣が「1種養成施設」として指定している自動車整備学校(大学・短大・専門学校)などに進学し、整備士養成課程を受講し修了する
2.実務経験を積んだ上で、国務大臣が認定する「2種養成施設」で指定の講習を受ける

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自動車整備士試験の合格率

直近、令和4年度第2回自動車整備士試験の「学科試験」の合格率は次のように公表されています。

<学科試験の合格率>
・一級小型(筆記):53.0%
・二級ガソリン:88.3%
・二級ジーゼル:96.3%
・二級シャシ:73.7%
・三級シャシ:63.8%
・三級ガソリン:71.9%
・三級ジーゼル:60.6%
・三級2輪:84.1%
・電気装置:74.2%
・車体:92.8%
・合計:82.9%

出典:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会 「試験結果(受験者及び合格者数等)

年度によっても差はありますが、おおまかには、1級の合格率は約50~60%、2級は80~90%、3級は約60~70%で推移している傾向が見られます。

3級より2級の合格率が高いのは、2級を受験するのは自動車整備士学校で十分な教育を受けている学生が多く、3級は学校に通わず独学で受験する人、働きながらで十分な勉強時間を得られず受験する人が多いことが、理由の一つとして考えられます。

令和5年度 自動車整備士試験の概要

試験日 令和5年度第1回(第107回)登録試験
学科試験:令和5年10月1日(日)
実技試験:令和6年1月21日(日)

令和5年度第2回(第108回)登録試験
学科(筆記)試験:令和6年3月24日(日)
学科(一級口述)試験:令和6年5月12日(日)
実技試験:令和6年8月25日(日)

受付期間 令和5年度第1回(第107回)登録試験
令和5年7月31日(月)~8月4日(金)
令和5年度第2回(第108回)登録試験
令和6年1月22(月)〜1月26日(金)
試験内容 (1)一級自動車整備士 《二級自動車整備士より高度な自動車の整備ができること。》
    ・ 一級大型自動車整備士
    ・ 一級小型自動車整備士
    ・ 一級二輪自動車整備士

(2)二級自動車整備士 《自動車の一般的な整備ができること。》
    ・ 二級ガソリン自動車整備士
    ・ 二級ジーゼル自動車整備士
    ・ 二級自動車シャシ整備士
    ・ 二級二輪自動車整備士

(3)三級自動車整備士 《自動車各装置の基本的な整備ができること。》
    ・ 三級自動車シャシ整備士
    ・ 三級自動車ガソリン・エンジン整備士
    ・ 三級自動車ジーゼル・エンジン整備士
    ・ 三級二輪自動車整備士

(4)特殊整備士 《各々の分野について専門的な知識・技能を有すること。》
    ・ 自動車タイヤ整備士
    ・ 自動車電気装置整備士
    ・ 自動車車体整備士

試験科目 学科試験の科目
1. 構造、機能及び取扱い法に関する知識
2. 点検、修理、調整及び完成検査の方法
3. 整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱い法に関する知識
4. 材料及び燃料油脂の性質及び用法に関する知識
5. 図面に関する知識
6. 保安基準その他の自動車の整備に関する法規
実技試験の科目
1. 基本工作
2. 点検、分解、組立て、調整及び完成検査
3. 修理
4. 整備用の試験機、計量器及び工具の取扱い
詳細情報 国土交通省