土地家屋調査士と測量士の違い

土地家屋調査士と測量士の仕事内容の違い

「土地家屋調査士」と「測量士」は、どちらも土地や建物の測量作業を行って、測量図などを作成する専門職です。

作業着や使う機器類なども似通っており、たとえば街中で両者の仕事風景を見たとしても、素人目にはどちらの職業なのか判断がつかないでしょう。

両者の仕事内容の違いは、「なんのために測量するのか」といった、測量の目的の違いにあります。

土地家屋調査士は、法務局への登記申請を目的として測量を行うのに対し、測量士は、地図の作成や公的調査など、登記以外を目的として測量を行います。

また、目的のほかにも両者にはさまざまな違いがあり、たとえば土地家屋調査士は、作業を自身の手で行うことが義務付けられている一方、測量士は、測量作業を測量士補などに任せることができます。

このため、土地家屋調査士は独立開業して自分の事務所を経営し、一人で仕事する人が多いのに対し、測量士は会社員や公務員として組織に所属し、チームで働く人が多いという違いがあります。

測量士の仕事

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す(PR)

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

土地家屋調査士と測量士のなる方法・資格の違い

土地家屋調査士になるには、土地家屋調査士試験を受けて合格するか、法務省職員として登記業務に携わり、法務大臣の認定を得て、国家資格を取得することが必要です。

法務省職員から土地家屋調査士に転職するケースはきわめてまれであるため、実質的に土地家屋調査士になるルートは、国家試験を受ける方法ひとつだけといえます。

一方、測量士になる方法は測量士試験を受ける以外にも複数あり、さまざまなルートから測量士になる人がいます。

代表的なものとしては、指定大学を卒業した後に1年の実務経験を積む方法、専門の養成施設で1年以上学んだ後に2年の実務経験を積む方法、測量士補資格を取得した後に養成施設で学ぶ方法などがあります。

ただし、土地家屋調査士を目指す人の大半は、測量士補の資格を先に取って、一部試験科目の免除認定を受けるため、双方のルートは途中まで共通しているとみなすこともできます。

どちらの職業も、資格を取得した後、登録手数料を支払ってそれぞれの職域団体の名簿に登録することで業務を行えるようになります。

土地家屋調査士と測量士の資格の難易度の違い

土地家屋調査士試験は、不動産登記法などの法律知識や、測量に必要な数学力、製図スキルなど、複数の分野の能力が求められる難関であり、その合格率は近年8%~9%前後で推移しています。

一方、測量士試験で求められるのは、測量に関する知識やスキルのみであるものの、基準点測量や地形・写真測量、地図編集、管理手法、関係法令など、その内容は多岐にわたります。

測量士試験の合格率は10%~15%前後であり、両者を比較すると、土地家屋調査士試験のほうがより難しいといえるものの、試験の難易度にそこまで大きな差はありません。

しかし、測量士については、試験を受ける以外にも、大学や養成施設などで学んだ後に実務経験を積むことで資格を得るという方法もあります。

このため、実質的に難関試験を受ける以外に道がない土地家屋調査士のほうが、無受験で資格を得る方法が複数ある測量士よりも、資格の取得難易度としては上といえるでしょう。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

土地家屋調査士と測量士の学校・学費の違い

土地家屋調査士を目指す場合、試験に学歴などの受験資格はないため、いずれかの学校に通うことは必須ではありません。

しかし、国家試験の難易度が非常に高いために、大半の受験者は民間の資格予備校などを利用して、受験対策を行ってから試験に臨みます。

民間の資格予備校の学費は、通学制の場合は年間30万円~50万円、通信制の場合は年間20万円~30万円くらいが相場です。

一方、測量士の場合、国家試験については土地家屋調査士と同じく学歴不問であるものの、学歴次第では実務経験を積むだけで資格が得られるため、多くの人は進学して無試験での資格取得を目指します。

進学先については、4年制大学や1年制~2年制の専門学校など、さまざまな選択肢がありますが、学費は年間100万円くらいが目安です。

両者を比較すると、測量士のほうが土地家屋調査士よりも学費がかかりやすいといえますが、それはあくまで確実性を重視し、無試験で資格取得する道を選択した場合の話です。

測量士も、土地家屋調査士と同様、通信講座を利用して国家試験に挑む道を選べば、学費を大きく抑えることが可能です。

土地家屋調査士と測量士の給料・待遇の違い

土地家屋調査士の多くは、上述の通り、独立開業して自分の事務所を経営しているため、収入は実力や経営スタイルなどによって個人差があります。

このため、年収1000万円を超える人がいる一方で、食べていくのがやっとという人もいますが、一般的な土地家屋調査士の平均年収は400万円~600万円が相場とされています。

これに対し、測量士は、土地家屋調査士とは対照的に、会社員または公務員として組織に勤める人が大半であり、年収は400万円~500万円前後が相場です。

両者を比較すると、土地家屋調査士のほうが測量士よりもやや高収入といえますが、そこまで大きな差はないようです。

しかし、土地家屋調査士の収入は個人によってばらばらである一方、測量士の収入はほぼ平均値周辺に固まっているため、平均値としては同じくらいでも、その実態はまるで違っているといえるでしょう。

なお、福利厚生などの待遇面をみれば、法人企業や地方自治体に所属する測量士のほうが、個人事務所を経営することの多い土地家屋調査士よりも手厚いといえます。

土地家屋調査士と測量士はどっちがおすすめ?

土地家屋調査士の仕事は、登記申請を前提としているため、測量作業と法務局への申請にかかる事務手続き、どちらもこなすことが必要です。

一方、測量士の場合、測量作業だけでなく、計画策定や管理といった付帯業務もあるものの、仕事内容はほぼ測量のみに特化しています。

このため、測量に限らず、さまざまな仕事を手掛けたいという人は土地家屋調査士が、測量だけに専従し、測量のスペシャリストとなりたい人は測量士が、それぞれおすすめです。

また、その働き方に着目すれば、組織に縛られず自由に働きたいという独立志向の強い人は土地家屋調査士が、組織に所属して働きたいという安定志向の強い人は測量士が、それぞれ向いているでしょう。

どちらを目指すべきか迷う場合は、「測量士補」の資格を取得するところまではどちらも同じであるため、資格取得後に最終的な進路を決断するという方法も考えられます。