食品衛生監視員と食品衛生管理者の違い
食品衛生監視員と食品衛生管理者の仕事内容の違い
「食品衛生監視員」と「食品衛生管理者」は、いずれも「食品衛生」に深く関わる仕事ですが、それぞれ名前が異なる通り、役割にも違いがあります。
食品衛生監視員は、食品衛生法の定めに基づいて、食品に関わる営業施設の立ち入り検査や食品に関しての指導、さらに食品衛生の確保・監視・改善を行うことがおもな仕事です。
全国の港や空港に置かれた検疫所で、輸入食品の監視や検査業務に携わる人もいます。
一方、食品衛生管理者は、乳製品や食肉製品などの食品や添加物の製造・加工施設における衛生管理をおもに行います。
食中毒を防止するために衛生状態を維持し、食品衛生法を遵守するように従業員を指導することがおもな役割と業務になります。
これら特定の食品の製造・加工をする施設には、専任の食品衛生管理者を必ず1名以上置くことが義務づけられています。
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食品衛生監視員と食品衛生管理者の就職先・活躍の場の違い
食品衛生監視員は、公務員として働きます。
国家公務員であれば、厚生労働省が管轄する空港や港湾の検疫所などで勤務します。
また地方公務員であれば、各自治体の職員として採用され、おもに保健所などに配属されます。
一方、食品衛生管理者は公務員ではなく、民間企業に勤める会社員です。
食品メーカーや食品の製造加工工場などがおもな活躍の場となります。
食品衛生監視員と食品衛生管理者のなる方法・資格の違い
食品衛生監視員と食品衛生管理者の資格はいずれも「任用資格」です。
つまり、資格を取得しただけでは職業名として名乗ることができず、これらの資格を生かせる仕事に任命されることで、初めて効力が発揮されます。
ただしこの任用資格を取得する条件が若干違います。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
資格要件の違い
食品衛生監視員の任用資格を得るには、以下の4つのいずれかに該当する必要があります。
(1)都道府県知事の登録を受けた食品衛生監視員の養成施設において、所定の課程を修了した者
(2)医師、歯科医師、薬剤師、獣医師の資格を有する者
(3)学校教育法に基づく大学または高等専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学または農芸化学の課程を修めて卒業した者
(4)栄養士で2年以上食品衛生行政に関する事務に従事した経験を有する者
一方、食品衛生管理者の任用資格を得るには、以下の4つのいずれかに該当する必要があります。
(1)医師、歯科医師、薬剤師、獣医師の資格を有する者
(2)学校教育法に基づく大学において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学または農芸化学の課程を修めて卒業した者
(3)都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設において、所定の課程を修了した者
(4)学校教育法に基づく高等学校もしくは中等教育学校を卒業した者、または厚生労働省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業・加工業において食品・添加物の製造・加工の衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者
(1)~(3)についてはほぼ同じですが、(4)の部分、つまりなる方法に違いがあります。
なる方法の違い
上記のように高校卒業相当以上であれば、実務経験を経ることで、食品衛生監視員や食品衛生管理者になる方法もあります。
食品衛生監視員の場合は、栄養士として食品衛生行政に関わる事務を2年以上経験すれば、任用資格を取得できます。
任用資格を取得してから、公務員として採用され、そのうえで検疫所や保健所に配属され厚生労働大臣または都道府県知事等により任命されることで、食品衛生監視員となることができます。
それに対して食品衛生管理者の場合は、特定の食品を製造・加工する現場で衛生管理業務を3年以上経験し、その後、食品衛生法などを学ぶ講習会を修了すれば、任用資格を取得できます。
ただし講習会には数十万円の費用と1ヶ月程度の時間が必要となり、また食品衛生管理者となることができる施設は経験を積んだ同種の施設に限られます。
なお、食品衛生管理者になるには、医師や薬剤師であっても、講習を受ける必要があります。
その後、採用された施設で、「食品衛生管理者」に選任されることでその職に就くことができます。
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食品衛生監視員と食品衛生管理者の学校・学費の違い
食品衛生監視員と食品衛生管理者の任用資格の取得において、条件となる大学や過程については違いがありません。
また食品衛生監視員の養成施設は、食品衛生管理者の養成施設も兼ねています。
つまり食品衛生監視員の養成施設で所定の課程を修了すれば、食品衛生管理者の任用資格も同時に取得できます。
したがって、食品衛生監視員や食品衛生管理者になるための学校や学費については、違いがないといえます。
食品衛生監視員と食品衛生管理者の給料・待遇の違い
食品衛生監視員は公務員の身分となり、給料は俸給表や給料表で明確に定められています。
基本的には年功序列で昇給し、ボーナスも安定して支給されます。
初任給はやや低い水準に設定されていますが、長く続けることで結果的に多くの生涯賃金を得ることができます。
福利厚生も充実しており、年次有給休暇などの休暇制度や育児休業制度などのワークライフバランス支援制度もあります。
一方、食品衛生管理者は食品メーカーなど民間企業の会社員という立場となり、給料体系や待遇はその会社ごとに異なります。
会社によっては職務手当がつくことがありますが、その職場で食品衛生管理者以外にどのような業務に携わるかによっても給料は変わります。
ボーナスも会社の業績や個人の成果によって支給額が変わり、業績次第では支給されない可能性もあります。
食品衛生監視員と食品衛生管理者はどっちがおすすめ?
食品衛生監視員は公務員のため、ボーナスなどの各種手当や福利厚生も充実しており、安定した生活を送ることができます。
国家公務員として勤務する場合は、2~3年ごとに全国規模におよぶ転勤がありますが、輸入食品や国内流通食品の衛生状況をしっかり監視・指導することで、国民の健康と食の安全・安心を確保するという大きな役割があります。
安定した生活を送りながら、公共性をもって国民の食の安全・安心に貢献したいと思える人には食品衛生監視員がおすすめです。
一方、食品衛生管理者の活躍の場は、乳製品や食肉製品などの加工・製造現場に限られますが、食品衛生管理者がいないとラインを稼働させることができず、そういった現場においてはなくてはならない存在です。
そのためこの資格を持つことで、安定した需要が見込め、転職の際に食品に関連した企業への就職が有利になる可能性があります。
いずれも食品衛生に関して重要な役割を担う仕事ですが、資格を生かして食品業界で働きたい人、転職などでのキャリアアップも視野に入れている人には食品衛生管理者がおすすめです。