食品衛生監視員のつらいこと・大変なこと・苦労

食品衛生監視員のつらいこと・大変なこと

担っている責任の重さ

食品衛生監視員の仕事は、人々の「食の安全・安心」を守るために不可欠なものです。

とくに検査業務に携わる場合、自分の出した検査結果ひとつで食品廃棄といった行政処分につながっていくこともあるため、間違いは許されません。

また検疫業務に携わる食品衛生監視員は、「検疫感染症の拡大を水際で防ぐ」という使命を担っています。

もし食品衛生監視員がいなければ、重大な被害を招くことにつながる可能性があるからこそ、その責任の重さを日々受け止めながら仕事に向き合っていく必要があります。

そのような厳しさを抱えながら、常に集中力を切らさずに仕事を進めなくてはならないところは、この仕事の大変な面だといえます。

学ぶべきことがとても多い

食品衛生監視員の仕事は、輸入食品監視業務、検疫・衛生業務、検査業務など多岐に渡っており、配属先によって幅広い経験ができる反面、学ばなくてはならないことがたくさんあります。

近年、さまざまな食品が海外から輸入されるようになり、正しい検査をするために根拠としている各種法令も状況により日々変わっていきます。

そのため海外の食文化や日本で流行している食品の知識、法令の改正などについて、常にアンテナを張りながら新しい情報を集め続ける必要があります。

また輸入審査の際に提出される書類は英文であることも多く、ときには中国語やポルトガル語など翻訳が困難な書類もあります。

さらに検疫業務に携わる場合には、海外から来航した人が検疫感染症などに感染していないか確認をするなかで、外国の人と接することが多々あるため、語学力を身に付ける必要もあります。

事業者への対応に苦心する

空港などの検疫所では、海外から輸入された食品に対して、食品衛生法に基づいて書類審査や検査を行います。

近年、輸入食品の多様化にともない輸入届出も増加しているので、審査にはスピードと適切な判断力が求められます。

日本の基準に適合していない場合は輸入業者に対して改善の指導を行いますが、法律違反となり日本国内に輸入できないということもあります。

その際は「なぜ輸入できないのか」「どう改善すればいいのか」など論理的に説明し、法律も含めて理解してもらう必要があります。

とくに外国の輸入業者と対応する際は、諸外国との制度の違いを丁寧に説明しなければいけないなど対応に苦慮することもあります。

また自治体の保健所では、飲食店などの事業者に対して衛生状態の監視や指導を行いますが、細菌やウイルスは目では見えず、食中毒が起きたらどうなるかという実感ももちづらいため、食品衛生の大切さをなかなか理解してもらえない場面もあります。

事業者との信頼関係を築き、食品衛生に対する理解を得るのに苦心する食品衛生監視員も多くいます。

食品衛生監視員の悩み

予定にない緊急出勤がある

各自治体の保健所で勤務する場合は、食中毒や食品による事故の通報を受けると、定時後や休日でも、すぐに現場や職場に向かわなければいけないことがあります。

時間が経ってしまうと調査の精度が落ち、原因の追究が難しくなります。

また食中毒だった場合は、感染が広がり新たな被害者が生まれるリスクもあるからです。

緊急出勤があると、楽しみにしていた予定をキャンセルしなければいけないこともあります。

成果が見えづらい

食品衛生監視員の仕事は、道路や橋を作るといった、わかりやすく何かを生み出す仕事ではありません。

人々の健康を陰で支え、衛生意識を少し押し上げるという、どちらかといえば成果が目に見えづらい職種といえます。

そこに生産性のなさを感じ、モチベーションを保てないと悩む人もいます。

食品衛生監視員を辞める理由で多いものは?

転勤の多さ

国家公務員の食品衛生監視員の場合は、全国各地にある検疫所で勤務するため、2年から3年ごとに転勤があります。

検疫所は全国に13ヵ所の本所のほか、支所と出張所をあわせて100ヵ所以上あり、配属先は北海道から沖縄まで日本全国に及びます。

厚生労働省の異動辞令は、転居をともなう場合でも約3週間前に出ることが通例で、自分の次の住居地となる都道府県が直前にならないと分からないこともあります。

転勤により配偶者の勤務先や子どもの通学区域が頻繁に変わってしまうことから、家族への負担を考えて転職する人もいます。

人員不足によるしわ寄せ

現在、輸入食品の輸入件数は急増していますが、それに対して輸入食品検査に携わる食品衛生監視員は全国で400人程度と少なく、その分一人あたりの負担は大きくなっています。

また各自治体の保健所でも、人件費削減を目的とした職員数適正化計画によって、退職した有資格者の補充ができず、慢性的な人員不足に陥っているという指摘があります。

その結果、配属先によっては、食品衛生監視員が環境衛生、動物行政、薬事関係などの仕事を兼任しているところもあります。

厚生労働省の平成30年「衛生行政報告例」によると、食品衛生監視員の資格をもつ職員の総数は8,405人で、そのうち食品衛生監視員の専従者は1,224人となっており、8割を超える職員が食品衛生以外の業務との兼任をしている様子がうかがえます。

食品衛生に関する専門知識や技術が生かせない職場環境から、転職を希望するケースがあります。