食品衛生監視員の年収はいくら? 平均給料についてくわしく解説
食品衛生監視員の平均年収・給料の統計データ
食品衛生監視員は厚生労働省が所管する検疫所などに配属される国家公務員と、各自治体の保健所などに配属される地方公務員とに分けられます。
国家公務員の食品衛生監視員の給料は、「一般職の職員の給与に関する法律」の規定に基づき、人事院が定める「専門行政職俸給表」に沿って計算されます。
これは国家公務員のなかでも専門性の高い仕事に就く人のための俸給表で、そのため一般的な国家公務員と比較して、やや高い給与水準となっています。
地方公務員の食品衛生監視員の給料は、各自治体の条例で定める給料表に基づいて計算されますが、自治体によって基準となる給料表の適用範囲が異なる場合があります。
食品衛生監視員の平均年収・月収・ボーナス
国家公務員の食品衛生監視員の場合
人事院の「平成31年 国家公務員給与等実態調査」によると、食品衛生監視員を含む「専門行政職」の平均給与月額は445,706円となっています。
国家公務員全体の平均給与月額は417,683円ですので、それと比較して28,000円ほど高いことがわかります。
これは毎月決まった給料(俸給)350,010円に諸手当の95,696円を加えたものです。
手当の内訳は、扶養手当10,272円、俸給の特別調整額12,131円、地域手当等53,581円、住居手当8,927円、その他10,785円となっています。
国家公務員のボーナスは「期末手当」「勤勉手当」として6月・12月の年2回、合計して俸給等の4.5月分が支給されます。(令和2年4月1日現在)
そこから算出すると、国家公務員の食品衛生監視員の平均ボーナス額は1,862,384円、平均年収は7,210,856円と想定されます。
職員数 7,876 人
平均年齢 42.4 歳
平均経験年数 20.0 年
平均給与月額 445,706 円
俸給 350,010 円
手当計 95,696 円
想定平均ボーナス 1,862,384 円
想定平均年収 7,210,856 円
地方公務員の食品衛生監視員の場合
地方公務員の場合は、自治体によって食品衛生監視員を専任で行うケースもあれば、獣医師や薬剤師として採用された職員が食品衛生監視員を兼任しているケースもあり、自治体や採用区分などによって給料体系は異なります。
ここでは例として、薬剤師や栄養士として採用され保健所で勤務する場合のデータを紹介します。
*実際の食品衛生監視員の給料等とは異なる可能性がありますので、あくまでも目安として参考にしてください。
総務省の「平成30年 地方公務員給与実態調査」によると、この職種の平均基本給月額は377,017円で、これは給料表に定められた給料の平均月額306,868円に諸手当の平均月額70,149円 を加えたものです。
手当の内訳は、扶養手当6,306円、地域手当17,188円、住居手当5,656円、初任給調整手当1,099円、その他17,730円となっています。
地方公務員のボーナス支給額は各自治体によって異なりますが、おおむね国家公務員と同じ水準をとる自治体が多いので、基本給の4.5月分として平均値を推計します。
そこから算出すると、平均ボーナス額は1,486,629円、平均年収は5,450,973円と想定されます。
平均給与月額 377,017 円
平均基本給月額 330,362 円
給料月額 306,868 円
諸手当月額 70,149 円
想定平均ボーナス 1,486,629 円
想定平均年収 5,450,973 円
食品衛生監視員の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
公務員も民間企業と同じように、毎月「税金」と「社会保険」が給与から差し引かれます。
上記のデータから国家公務員の食品衛生監視員のおよその手取り金額を算出すると、平均月収が約35万円、平均ボーナス額が149万円、平均年収が約577万円となります。
同様に、地方公務員の食品衛生監視員のおよその手取り金額は、平均月収が約30万円、平均ボーナス額が119万円、平均年収が約436万円となります。
令和元年に発表された国税庁の民間給与実態統計調査から算出した民間の平均手取り年収は約353万円なので、一般的な会社員よりは高い水準といえます。
食品衛生監視員の初任給はどれくらい?
国家公務員の食品衛生監視員の初任給には、「専門行政職俸給表」の1級9号俸が適用されます。
東京都特別区内で勤務する食品衛生監視員の初任給は、地域手当を含めて219,360円です。
地域手当が支給されない地域へ採用された場合は、182,800円となっています。
(令和2年4月1日時点)
このほか以下のような諸手当も支給されます。
- 扶養手当:扶養親族のある者に、配偶者6,500円、子10,000円等
- 住居手当:借家(賃貸のアパート等)に住んでいる者等に、最高28,000円
- 通勤手当:交通機関を利用している者等に、定期券相当額(1箇月当たり最高55,000円)等
- 本府省業務調整手当(本府省に勤務する場合):7,200円
地方公務員の初任給は、地域や採用区分によって異なります。
総務省の「平成30年 地方公務員給与実態調査」によると、大学卒で薬剤師として採用された場合は、都道府県の平均初任給が208,441円、政令指定都市の平均初任給が194,647円となっています。
このほかに国家公務員と同様、「地域手当」「住居手当」「通勤手当」などといった諸手当の支給もあります。
国家公務員、地方公務員ともに地域差はありますが、諸手当を含めた初任給の支給額は、おおむね20万円~25万円程度となります。
食品衛生監視員の福利厚生の特徴は?
食品衛生監視員は公務員の身分となるので、福利厚生はかなり充実しているといえます。
国家公務員の場合、いわゆるボーナスは「期末・勤勉手当」として1年間で俸給等の約4.5月分が支給されます。
手当についてはそのほかにも「住居手当」「通勤手当」「扶養手当」「地域手当」などがあり、厚生労働本省で勤務する場合は「本府省業務調整手当」も支給されます。
検疫所で勤務する食品衛生監視員は2~3年ごとに全国規模に及ぶ転勤がありますが、60km以上の広域的な異動があった際は距離に応じて3年間の「広域異動手当」、地域によっては「特地勤務手当」や「寒冷地手当」が支給されることもあります。
休暇制度も充実しており、「年次有給休暇」は年に20日(4月1日採用の場合、採用の年は15日)あります。
そのほかにも「病気休暇」「特別休暇(夏季・結婚・出産・忌引・ボランティアなど)」「介護休暇」などがあります。
またワークライフバランス支援制度として、「育児休業制度」や「職場復帰サポート制度」などもあり、仕事と家庭生活の両立がしやすい環境となっています。
さらに国家公務員の食品衛生監視員は厚生労働省の共済組合が実施している各種制度の利用もできます。
たとえば人間ドックがお得に利用できたり、介護休業中や育児休業中に手当金を受け取ることができたりし、また全国の各種保養施設を利用することも可能です。
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食品衛生監視員の給料・年収の特徴
高めの給与水準
国家公務員として勤務する場合、給料は法律に基づいて、人事院が作成する「俸給表」で明確に定められています。
給与水準は民間企業との差が大きくならないように少なくとも年に1回見直されますが、おおむね上場企業クラスの大企業群に近い水準となります。
そのなかでも食品衛生監視員の給料には、一般の行政職職員より2割程度高い「専門行政職俸給表」が適用されます。
食品衛生監視員の仕事は専門性が高く、国民の健康と食の安全・安心を守るという大きな責任をともなうため、給与水準も高く設定されていると考えられます。
また福利厚生や各種手当は手厚く保証され、退職金も2000万円を超えるため、安定した生活を送ることができるといえます。
引き上げられた初任給
国家公務員の採用試験は平成24年度から従来の制度が廃止され、新たに人事院が行う「専門職試験」として食品衛生監視員の採用試験が始まりました。
それにともなって関連する人事院規則等も改正され、専門職(大卒二群)の初任給基準が「専門行政職1級9号俸」になると定められました。
その結果、食品衛生監視員の初任給の支給額も以前より引き上げられました。
地方公務員の食品衛生監視員の給料事情
地方公務員の給料は、各自治体の条例で定める給料表に基づいて計算され、職務によって異なる給料表が適用されます。
上記にもあるように、保健所などで勤務する場合、衛生監視枠で採用されて食品衛生監視員を専任で行うケースもあれば、獣医師や薬剤師として採用された職員が食品衛生監視員を兼任するケースもあります。
獣医師として採用された場合は、勤務地や業務内容によって、動物取扱業務手当や試験・検査等業務手当などの特殊勤務手当が支給されることもあります。
食品衛生監視員の業務を行う職員にどの給料表を適用させるかは、採用区分によって変わり、その判断は各自治体によって異なる場合があります。
このように地方公務員の食品衛生監視員の給料は、その職場や業務内容によって異なります。
食品衛生監視員が収入を上げるためには?
食品衛生監視員は公務員であるため、基本的には勤続年数に比例して給料は上がっていきます。
公務員の給料を定める俸給表や給料表は「級」と「号」で構成され、その組み合わせで支給額が決まります。
「級」は一定の期間や勤務成績によって上がり、「号」は基本的には1年に4号ずつ上がります。
それらが上がるにつれて給料も上がる仕組みになっています。
食品衛生監視員は、新卒時の給料が一般的な給与水準よりやや低めに設定されていますが、長く勤めていくことでその待遇は改善され、最終的には多くの生涯賃金を得ることができます。
国家公務員の食品衛生監視員の場合、20代新卒時の年収は350万円程度ですが、30代に入るころには約450万円にまで増加します。
さらに40代で約700万円、50代後半には約850万円を超える年収となります。