パティシエの需要・現状と将来性
パティシエの需要と現状
パティシエの需要はなくならない
日本において洋菓子が身近なものになってからかなり久しく、現在もケーキを始めとする洋菓子は多くの人に親しまれています。
クッキーやプリンなど日常的に口にするものから、お祝い事やイベントの際に用意されるケーキやムースといったお菓子まで、洋菓子は今後もさまざまな場面で消費されるといえます。
洋菓子が世間の人に親しまれている限り、パティシエの需要がなくなることは考えにくいでしょう。
ただし、洋菓子にもトレンドやブームというものが存在するため、パティシエとして長く活躍するには同じものを同じやり方で作り続けていてはいけません。
たとえば、最近であればSNS映えするようなデザインを考案するなど、いかに時代の流れを読みつつおいしいお菓子を作っていけるかが鍵となるでしょう。
労働環境が厳しく賃金が低い
洋菓子業界におけるパティシエの需要は今後も見込めるといえますが、洋菓子店やホテルといったパティシエの職場は厳しい環境であることが多く、離職率も高いです。
立ちっぱなしの肉体労働や体育会系の職場を経験して華やかなイメージとのギャップを実感する人も少なくありません。
人手不足の店舗では早朝から深夜まで働くこともありますが、長時間の労働に見合った給与が支払われるケースはまれです。
パティシエの需要はあっても労働環境が厳しく人材が不足しているというのが現状です。
オリジナリティあふれる店が増えている
パティシエの成功というと、「大きなお店を一等地に構え、数多くのデパートにテナントを出すこと」と思われがちですが、近年では女性オーナーが自分のセンスで小さな店舗を構え、ナチュラルな雰囲気を演出するアットホームな店舗も話題になっています。
昨今のオーガニックブームの流れを汲み、購入しやすい値段で可愛らしく安全な焼き菓子などを販売したり、休日は主婦向けに料理教室を開催したりと、あえて規模を縮小してリスクを減らす傾向にあります。
今後もこのような流れは続いていくでしょう。
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パティシエの将来性
「職人」以外の役割も求められる
パティシエは、洋菓子作りを専門とする職人として見られることが多い職業です。
もちろん今後も「お菓子作り職人」としての役割がなくなることはありませんが、同時に「職人」以外の能力やスキルも求められるようになるでしょう。
世間のトレンドやブームが売れ行きを左右することが多い洋菓子業界では、ただ注文通りにお菓子を作り続けているだけではやがて行き詰ってしまいます。
流行をいち早く察知する力や、商品をプロデュースする能力、アドバイザーとして活動できるような商売センスなどを養っておくと、お菓子を「作る」以外のさまざまな分野で活躍ができます。
スイーツ好きな男性向けの商品、女性に親しまれる商品の開発が続く
すでに成熟期を迎えているといわれる製菓業界ですが、現代は洋菓子好きな男性をターゲットにした商品の開発で、さらなる市場の発展を目指す傾向も見られます。
一方、女性消費者の存在を無視することはできません。
味だけでなく、見た目の可愛らしさにまでこだわったり、素材の安全性に敏感になったりする女性はとても多いものです。
「女性にウケる商品を提供できるかどうか?」というところも、パティシエが生きる製菓業界においては引き続き重要なポイントとなっています。
パティシエの今後の活躍の場
ネット通販での販売という形も
急速に発展し続けているインターネット。
ネットを使った洋菓子の楽しみ方として、近年話題なのが「お取り寄せ」という形態です。
このブームを利用して、ネット通販専門の洋菓子販売をしている企業もあるほど需要は高まっています。
なかには予約が数か月待ちなど大ヒットを飛ばす商品もあり、その商品を作るパティシエにも期待が寄せられています。
時代の流れとともに、パティシエの活躍の場も変わりつつあることは間違いありません。
また、いくら店が繁盛しても、消費者は「飽きっぽさ」を持ち合わせているため、現状に満足することなく常に新しい商品を創造する心も大切です。
確かな技術を持つことはもちろんですが、柔軟な考えを持ち、時代に対応できるフットワークも持ち合わせていることが、未来のパティシエには求められていくでしょう。
日本の洋菓子は海外でも人気が高い
近年、世界的に日本食ブームが続いており、アジアを始めとした多くの国で日本の食べ物が親しまれています。
日本食ブームというと和食や和菓子が注目されますが、日本の洋菓子も例外ではありません。
洋菓子はもともと欧米のお菓子ではあるものの、日本のパティシエが作るケーキや焼き菓子は世界的にも高い評価を受けています。
日本の洋菓子の繊細な甘さやデコレーション技術は、日本人パティシエがとくに得意とするところで、海外の人たちの目や口にも感動を与えています。
今後は、顧客のターゲットを外国人旅行者に広げて営業をしたり、海外のパティスリーへ日本の製菓技術を伝えたり、外国に自分のお店を持って活躍するパティシエも増えていくはずです。