農家をはじめるために必要な資金・費用は?
農家をはじめるために必要な資金は約1,200〜1,600万円といわれています。
かなりの資金が必要になりますが、「認定就農者(就農計画などを市町村に申請し認定される)」になると、「青年等就農計画制度」を利用することができ、給付金を受けることも可能です。
ここでは農家をはじめるために必要な資金とその詳細について解説していきます。
農家の独立・企業
認定就農者・認定農業者になるには?
新たに農業をはじめるにあたってまず課題となるのは農地と資金です。
新規就農には大きくわけると
- 個人経営の自営就農
- 雇用就農
- 法人経営
の新規参入という3つのスタイルがあります。
いずれにしても「認定就農者」となることが必要です。
認定就農者になるには、就農計画などを市町村に申請することで認定されます。
「青年等就農計画制度」を利用する
認定就農者と認められると「青年等就農計画制度」を利用して給付金などの支援策が受けられます。
年齢などさまざまな条件をすべて満たす必要はありますが、「青年就農給付金」の「準備型」であれば道府県農業大学校などで研修するあいだの最長2年、「経営開始型」なら就農から最長5年間、年間最大150万円が給付されます。
また機械や施設などの資金を無利子で借入できる「新規就農者に対する無利子資金制度(青年等就農資金)」もあります。
既に農家の人は「認定農業者」を利用する
「認定就農者」は認定から10年以内かつ経営開始から5年以内と期間が定められているため、支援を継続したい場合やすでに農家の方は「認定農業者」になるという方法があります。
認定農業者になるには「認定農業者制度」を利用して農業経営改善計画書という営農計画書などを5年ごとに市町村へ提出します。
農業に従事する人のためには、農林水産省や全国農業会議所、地方農政局などでさまざまな支援を行っているため、ホームページなどで調べたり各機関の窓口などで相談したりしてみるとよいでしょう。
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農業経営の法人化
農林水産省によると個人経営のまま農業の「担い手」を継続して農業所得が400万円以上になったり、あるいは販売を拡大したいと考えたりするのであれば法人化を検討するとよいとされています。
また新規就農する際に「農業法人」を設立して新規参入することも考えられます。
「農業法人」には
・農事組合法人
・会社法人
という大きな区別があり、
「農事組合法人」は
・1号法人
・2号法人
「会社法人」は
・合名会社
・合資会社
・有限会社
・株式会社
に区別されます。
このうち共同施設などの設置を行う「1号法人」は「一般農業法人」という種類になり、それ以外の農業経営を営む「2号法人」と「会社法人」の4形態は「農業生産法人」という種類になります。
農地の取得ができるのは「農業生産法人」であり、実際にもっとも数が多いのは「有限会社」です。
法人の設立は、公証人役場に「定款(ていかん)」を提出して認証されると、法務局で法人登記を行い、税務署などの官庁へ届け出をするという流れになります。
定款や事業計画を作成するためには、まえもって市町村農業委員会などに相談したり、商号に類似のものがないか法務局で確認したりするほうがいいでしょう。
法人化することで持続性や経営能力、信頼度などが高まり、大きなメリットが得られるため法人化を目指す農家も多いようです。
農家をはじめるために必要な資金・費用
勤務形態や経営規模による初期費用の違い
農家として仕事をはじめるときにかかる費用は、「自営就農」なのか「雇用就農」なのかといった勤務形態によって大きな違いがあります。また「個別経営」なのか「組織経営」なのかといった経営規模も関係します。
ほとんど初期費用がかからないのは雇用就農です。
一方多くの資金が必要だと思われるのは個別経営の自営就農や法人経営の新規参入で、農地や機械、設備、住居などの投資代、種苗や肥料などの営農資金、利益を得るまでの生活費などをあらかじめ用意する必要があるでしょう。
育てる品目や農地による初期費用の違い
育てる品目や農地によっても大きな違いがあります。
・水田作
・畑作
・露地野菜作
・施設野菜作
・露地花き作
・施設花き作
・果樹作
といった種類ごとに必要なものは異なりますし、農地の場所や規模、土地をあるいは買うのか借りるのかによってもかかる費用に幅がでてくるのです。
資金・費用のめやす
おおまかな目安
・新規就農者が農業をはじめる際に必要な機械、設備費:約655万円
・営農資金:約220万円
合わせて全国平均約875万円です。
農機具の値段
・水田作で使う機械のトラクター(新品):180~350万円
・田植機:70~200万円
・コンバイン:200~400万円
・乾燥機:100~200万円
・管理機:20~40万円
合計約570~1,190万円、そのほか防除機、揚水機、もみすり機、播種機、育苗箱、育苗ハウスなども必要です。
施設野菜作で使う設備
・10アール(約1反)あたりのハウス類:1,170~1,300万円
・潅水施設:150万円
・暖房施設:100~200万円
・換気排気施設100万円
で合計約1,520~1,750万円がめやすとなります。
必要な資金は約1,200~1,600万円
機械や設備を中古品やリースにしたり、離農した農家からセットで買ったり借りたりすれば費用は安く抑えられます。
設備費800~1,200万円のほか利益を得るまで3年間の生活費400万円を合わせると、農家をはじめるために必要な資金は約1,200~1,600万円といえるでしょう。
現実的には地域によってもさまざまな状況が考えられますので、就農計画や営農計画について既存の農家や地域の農業普及指導センターなどに相談するとよいでしょう。
そのほか農林水産省や地方農政局、各都道府県、農協などの公式サイトにも就農の流れや支援制度などの情報があるため、調べてみることをオススメします。
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農家をはじめるための資金のまとめ
農家をはじめるために必要な資金や費用について解説しました。
資金や費用は、勤務形態や経営規模によって変わってくることがわかりました。また、地域によっても状況が違うので、既に農家をやっている経験者に聞いたり、農業普及指導センターなどの専門機関に相談するとよいでしょう。
自分でインターネットを使って情報収集することも大切です。